日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

芥川賞

第169回芥川龍之介賞の受賞作を予想する

第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」…

第169回芥川龍之介賞の候補作を紹介する

第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」…

第169回芥川龍之介賞の候補作を予想する

六月になったということで、もうすぐ芥川賞の候補作が発表される。恒例行事にはなってきたが、芥川賞の候補作を予想してみた。上半期で印象に残った小説や推したい小説を中心に挙げている。 芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えら…

意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ

芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 実力のある作家に賞を与えて世に送り出してきた芥川賞だ…

社会現象にも!話題になった芥川賞受賞作品まとめ

芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。 純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。 芥川賞は文学賞の中でも特に有名な賞である。それもあっ…

ともにW受賞!第168回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!

第168回芥川賞・直木賞の受賞作が1/19に決定した。 芥川賞は井戸川射子の「この世の喜びよ」(群像7月号)と佐藤厚志の「荒地の家族」(新潮12月号)のW受賞に決まった。 直木賞は小川哲の「地図と拳」と千早茜の「しろがねの葉」に決まった。こちらもW受…

第168回芥川龍之介賞の受賞作を予想する!

2023年が始まって数日が経ったが、そろそろ気になってくるのが芥川賞の受賞予想だろう。 大半の人は気になっていないかもしれないが、芥川賞受賞作を予想していこうと思う。年末年始に候補作を読んだので感想も合わせて書きたい。 皆さんご存知かもしれない…

第168回芥川龍之介賞の候補作を紹介する!

本日早朝(朝五時)に、第168回芥川賞の候補作が発表された。 なぜこの時間帯なのかと毎回思う。話を戻そう。 第168回芥川賞候補作は、安堂ホセ『ジャクソンひとり』、井戸川射子『この世の喜びよ』、グレゴリー・ケズナジャット『開墾地』、佐藤厚志『荒地…

ホラーすぎる!?人間の怖さを描いた芥川賞受賞作品まとめ

純文学の新人賞として知られている芥川賞。 受賞作品は、恋愛や青春、親子関係など様々なテーマを描いている。 人間の内面を深く描いた作品の中にはホラーにも匹敵するくらい怖いものもある。 芥川賞受賞作品の中から、ホラーすぎる人間の怖さを描いた小説を…

かけがえのない他人を求めて / 「N/A」 年森 瑛

年森瑛の「N/A」は、安易なカテゴライズを嫌い、何ものにも該当しない純粋な関係性を希求した小説だ。「彼氏」ではなく「かけがえのない他人」を求めていた。 「N/A」は文學界新人賞を受賞したデビュー作で、選考委員が満場一致で受賞を決定したという話題作…

第167回芥川龍之介賞の受賞作品を予想する!

7/20に選考会が開催され、第167回芥川賞の受賞作が発表される。 それに先立って、どの作品が芥川賞を受賞するのか予想したい! 芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だろう。純文学というと…

Audible(オーディブル)で聴ける芥川賞受賞作品をまとめてみた

最近、聴く読書ことAudible(オーディブル)が話題になっている。聴くことができる本がどんどん増えており、ジャンルの幅広い。 Audible(オーディブル)で聴くことができる本の中から、芥川賞を受賞した作品をまとめてみた。オーディブルライフの参考になれ…

第167回芥川龍之介賞の候補作を紹介する!

第167回芥川賞の候補作が発表された。有力視されていた作品が候補になったり、意外な作品が候補になっていた。芥川賞の候補予想は難しい。 候補作は、小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像 6月号)、鈴木涼美「ギフテッド」(文學界 6月号)、高瀬隼子「おい…

第167回芥川龍之介賞の候補作を予想する

plutocharon.hatenablog.com もうすぐ芥川賞の候補作が発表されると言うことで、芥川賞の候補作を予想してみた。上半期で印象に残った小説や推したい小説を中心に予想した。 芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の…

意外すぎる?村上春樹が芥川賞を受賞していないことについて

現代日本文学を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で広く読まれ愛されている。 それもあってか、ノーベル賞が発表される時期になると、「ノーベル文学賞最有力候補」ともてはやされている。まあ、ノーベル文学賞の候補は公表されて…

先見性がありすぎる!元自衛隊の異色作家・砂川文次の小説を紹介!

砂川文次という作家をご存知だろうか? 「市街戦」でデビューした、元自衛官という異色の経歴を持つ作家だ。元自衛官とあってか、戦争や自衛隊、軍隊をモチーフにしたミリタリー小説が多く、リアリティある描写が魅力だ。文章の緻密さがすごく、戦争の場面で…

理解できる??難解すぎる芥川賞受賞作品を紹介

芥川賞受賞作品って難しいっていうイメージがあるかもしれない。実際は『パークライフ』や『コンビニ人間』、『火花』のような読みやすくて分かりやすい小説もある。 一方で、難解な芥川賞受賞作品も確かに存在する。余程の文学好きじゃないと分からない前衛…

栄冠は誰の手に!?第166回芥川龍之介賞の候補作のまとめと紹介

年が明けて1月になり、芥川賞の季節になりました。候補作が発表されたので、簡単にまとめてみようと思う。 石田さんと九段さん、島口さんは2021年に新人賞を受賞し、今回初めて芥川賞候補に選ばれた。新人賞を受賞してから1年以内でありフレッシュな顔ぶれだ…

第165回芥川龍之介賞の候補作まとめと受賞作の予想

第165回芥川龍之介賞の候補作が発表された! 7月と言えばそう、芥川賞発表の季節ですね。 今回の候補作品は偶然か必然か東日本大震災をテーマにした作品が多くノミネートされている。様々な視点から震災を振り返った作品だ。 候補者を見てみると、今回初めて…

孤独な少女たちの魂の邂逅 / 『至高聖所』 松村 栄子

新構想大学という無機質な世界で出会った孤独な少女たちの魂の邂逅を描いたのが、松村栄子の『至高聖所』だ。『至高聖所』は、センター国語でも話題になった『僕はかぐや姫』の作者・松村栄子の小説で、第106回芥川賞受賞作である。この小説でも研ぎ澄まされ…

第164回芥川賞受賞作を全力で予想してみた!

第164回芥川龍之介賞受賞作を予想してみた! 1月といえば芥川賞受賞作発表の月だ。今回の候補作品を全部読んでみて芥川賞受賞作を予想してみた。今回の候補作はどれもレベルが高く甲乙付け難かった。今回の候補作は、クリープハイプの尾崎世界観の『母影』や…

「歩く、書く、蹴る」の練習の旅 /『旅する練習』 乗代 雄介

中学入学を前にしたサッカー少女と小説家の叔父。 2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、 ふたりは利根川沿いに、徒歩で 鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。 新型コロナウイルスが流行してから、日常の景色が一変した。マスクは必需品になっ…

クリープハイプ尾崎世界観も芥川賞候補に!第164回芥川龍之介賞の候補作まとめ

第164回芥川龍之介賞の候補作が発表された! 1月といえば芥川賞受賞作発表の月ですね。今回の候補作品は話題作が豊富。クリープハイプの尾崎世界観も芥川賞候補にノミネートされています。今回の芥川賞候補って「新潮」・「群像」・「文藝」・「文學界」・「…

ピアスやタトゥを通じて描かれる、生きることの痛み / 『蛇にピアス』 金原 ひとみ

蛇のように舌を二つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。恋人アマとサディスティックな刺青師シバさんとの間で揺れる心はやがて…。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞W受賞作。 歳をとらないと深く理解できない小説…

知性を守るための戦い / 『赤頭巾ちゃん気をつけて』 庄司 薫

優しさ世代のためのバイブル 学生運動の煽りを受け、東大入試が中止になるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ愛犬が死に、幼馴染の由美と絶交し、踏んだり蹴ったりの一日がスタートするが―。真の知性とは何か。戦後民主主義はどこまで…

学生運動で揺らぐ「僕」のアイデンティティ /『僕って何』 三田 誠広

他人との関係性の中で揺らいでいく「僕」のアイデンティティについて描いた小説が、『僕って何』だ。「僕」はセクト争いに翻弄される中で、自分のアイデンティティを見失っていく。現代版の三四郎だ。「僕」は部活やサークルの延長線上で、学生運動に参加し…