日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

もはや注釈がメイン!?注釈が多い小説まとめ

小説や評論などで、補足のために注釈が付けられていることはよくあることだ。 しかし、本文よりも注釈がメインになっている小説があるといえば驚くだろうか? ポストモダン*1小説と言われる小説には、既存の発想にとらわれない様な小説が数多くある。 その中…

濃密に漂う死の匂い / 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」 村上 春樹

村上春樹の「ニューヨーク炭鉱の悲劇」は、濃密な死の匂いが立ち込める小説だ。 話の意味するところや、構成の意図するところが分からなくても、作中に漂う「死の匂い」を感じ取った人は多いんじゃないかなと思う。この小説では、主人公の周りで多くの人が死…

夏目漱石『こころ』の遺書が長すぎる件について

こころ (ちくま文庫) 作者:夏目 漱石 筑摩書房 Amazon 夏目漱石『こころ』といえば、男女の三角関係を描いた不朽の名作だ。 「友情をとるか、恋愛をとるか」という普遍的なテーマを扱った『こころ』は、同じようなことを経験したことがある人なら深く心に刺…

現代の戦争!戦後生まれの作家が描いた戦争小説まとめ

戦争の形は時代とともに移り変わる。 こんな時代だからこそ、現代作家が描いた戦争小説を紹介したい。 『となり町戦争』 / 三崎 亜記 『小隊』 / 砂川 文次 『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 / 岡田 利規 『ヨハネスブルグの天使たち』 / 宮内 悠…

ホラーすぎる!?人間の怖さを描いた芥川賞受賞作品まとめ

純文学の新人賞として知られている芥川賞。 受賞作品は、恋愛や青春、親子関係など様々なテーマを描いている。 人間の内面を深く描いた作品の中にはホラーにも匹敵するくらい怖いものもある。 芥川賞受賞作品の中から、ホラーすぎる人間の怖さを描いた小説を…

夏目漱石『こころ』を読むならちくま文庫版を推したい件について

こころ 作者:夏目 漱石 Amazon 夏目漱石の『こころ』といえば、男女の三角関係を描いた不朽の名作だろう。 高校の国語で勉強するので、大抵の人は読んだことがあるはずだ。 「友情をとるか、恋愛をとるか」という普遍的なテーマを扱った『こころ』は、同じよ…

心を揺さぶる!感傷的でエモい恋愛小説をまとめてみた

「エモい」という言葉は、英語の「emotional(エモーショナル)」が由来の若者言葉だ。 ニュアンスとしては、「感情が揺り動かされる」・「切ない」といった感じだろうか。昔でいうところの「をかし」かもしれない。いや違うか。 この「エモい」というフレー…

幾何学的な形の「坊っちゃんの塔」を見てきた

東京の飯田橋には東京理科大学がある。 理系の人なら知っているであろう有名な私立大学だ。 大学名に「理科」が入っているということで文系とは無縁な感じがするが、校内には文学にちなんだものがある。 それは「坊っちゃんの塔」だ。 下に実際の写真を貼っ…

考察のお供に!村上春樹の解説本・評論書・研究書を紹介する!

村上春樹作品といえば謎めいた内容が特徴だろう。 村上春樹作品だと謎が多いために内容がよく分からないという人は多いのではないだろうか。また、村上春樹作品を色んな視点から読み解きたい、もっと深く読み解きたいという人も多いのだろうではないか。 そ…

夏目漱石の前期三部作と後期三部作って何?

夏目漱石の前期三部作・後期三部作について解説した記事です。前期三部作の三四郎・それから・門、後期三部作の彼岸過迄・行人・こころの内容についても解説してます。

かけがえのない他人を求めて / 「N/A」 年森 瑛

年森瑛の「N/A」は、安易なカテゴライズを嫌い、何ものにも該当しない純粋な関係性を希求した小説だ。「彼氏」ではなく「かけがえのない他人」を求めていた。 「N/A」は文學界新人賞を受賞したデビュー作で、選考委員が満場一致で受賞を決定したという話題作…

母から娘に与えられたもの / 「ギフテッド」 鈴木 涼美

鈴木涼美の「ギフテッド」はキャバクラや風俗など「夜の街」に生きる女性たちを圧倒的なリアリティで描き、母と娘の関係性をテーマにした王道の純文学作品だ。第167回芥川賞の候補作品にもノミネートされている。 鈴木涼美は、『「AV女優」の社会学』、『体…

第167回芥川龍之介賞の受賞作品を予想する!

7/20に選考会が開催され、第167回芥川賞の受賞作が発表される。 それに先立って、どの作品が芥川賞を受賞するのか予想したい! 芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だろう。純文学というと…

語りによるトラウマの克服 / 「土の中の彼女の小さな犬」 村上 春樹

村上春樹の「土の中の彼女の小さな犬」をトラウマからの回復という観点で考察・解説した記事です。

小人の謎を考察する / 「踊る小人」 村上 春樹

この記事では、村上春樹の不可思議な短編「踊る小人」を考察・解説していきたい。 この「踊る小人」はファンタジー色が強く、童話テイストなのだが、どこか不気味な雰囲気が漂う小説だ。踊る小人というと「白雪姫」の7人の小人が思い浮かぶのだが、その小人…

ブログ再開。アクセス数に大事件が…

皆さん、お久しぶりです。なおひとです。 ブログを再開しました。 特に病気などになったわけでなく、シンプルに忙しかったので、なかなかブログを更新できずにいました。 ブログを書いてなかったのは2週間ぐらいかな?それまでは忙しい中でも毎日更新してた…

超上級者向け!現代文のおすすめ参考書4選

現代文が得意あるいは現代文を強みにしたいという人に向けておすすめの現代文参考書を紹介したい。僕は現代文の参考書を数多く使ってきた。その中でもレベルが高かったものを紹介したい。 なんで現代文を極めてきたかというと、僕は理系だったけど国語が大好…

華やかなセレブの裏側は? / 『セレブリティ』 ウディ・アレン

www.youtube.com 作家志望の芸能記者リーは、なんとかセレブリティの仲間入りをしようと、女優、モデル、人気俳優に近づくが、ことごとく振り回される。その彼と離婚した元妻ロビンは、自分の生きかたをマイペースで貫き、いつのまにかセレブリティの仲間入…

Audible(オーディブル)で聴ける芥川賞受賞作品をまとめてみた

最近、聴く読書ことAudible(オーディブル)が話題になっている。聴くことができる本がどんどん増えており、ジャンルの幅広い。 Audible(オーディブル)で聴くことができる本の中から、芥川賞を受賞した作品をまとめてみた。オーディブルライフの参考になれ…

パリは移動祝祭日 / 『ミッドナイト・イン・パリ』 ウディ・アレン

www.youtube.com 『ミッドナイト・イン・パリ』は、ヘミングウェイのエッセイ『移動祝祭日』で描かれている1920年代のパリを舞台にしたロマンチックファンタジーだ。ウディ・アレン監督の作品の中でもベスト3に入るんじゃないかなと思う。 あらすじは、主人…

前進しないサメは死んでしまう / 『アニー・ホール』 ウディ・アレン

Annie Hall Official Trailer #1 - Woody Allen Movie (1977) HD - YouTube ウディ・アレン監督作品の代表作といえば、『アニー・ホール』だ。ちなみに、この『アニー・ホール』は1977年アカデミー賞の主要4部門を受賞している。 数々のおしゃれな恋愛映画…

第167回芥川龍之介賞の候補作を紹介する!

第167回芥川賞の候補作が発表された。有力視されていた作品が候補になったり、意外な作品が候補になっていた。芥川賞の候補予想は難しい。 候補作は、小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像 6月号)、鈴木涼美「ギフテッド」(文學界 6月号)、高瀬隼子「おい…

ウディ・アレン監督はどのようにして生まれた? / 『映画と恋とウディ・アレン』

『アニー・ホール』や『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の名作を残してきたウディ・アレン監督。多作な映画監督として知られるウディは、アカデミー賞に何度もノミネートされ、今でも第一線で映画を撮り続けている。名作を生み出し続けてきた彼の映画作…

本棚は自分の興味関心の「地層」 (あるいはチバニアンと孫氏の兵法)

本棚は自分の興味関心の「地層」だと思う。 本棚に本が山ほど積み上がっているから地層に見えたのかというとそうではない。 そうでもないと言ったが、3割ぐらいはその理由もあるかもしれない。 じゃあ、残り7割の理由は何かというと、本棚の中身を見ている…

村上春樹をオーディオブックで聞こう!Audible(オーディブル)で配信予定の村上作品を紹介!

村上春樹作品が待望のAudible化!『1Q84』、『ねじまき鳥クロニクル』、『騎士団長殺し』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『東京奇譚集』、『神の子どもたちはみな踊る』、『職業と…

「映える」本棚を求めて (あるいは岩波書店とみすず書房の徳の高さについて)

僕は本を買うとき、頭のどこかで「映える」本棚を意識しているように思う。 ここで言う「映える」本棚というのは、Instagramで沢山の「いいね」がもらえるお洒落な本棚のことではない。 逆にインスタ映えする本棚が見てみたい。蔦屋書店のような間接照明を活…

春樹のススメ!初心者におすすめしたい村上春樹の短編小説集5選

今や日本を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で読まれている。洒脱な表現や比喩と、巧みなストーリーテリング、魅力的な謎解き要素などの魅力が詰まった村上春樹作品。これから村上春樹を読むという人のために、初心者におススメ…

ピース又吉の現代文学ブックガイド / 『第二図書係補佐』 又吉 直樹

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 作者:又吉 直樹 幻冬舎 Amazon ピース又吉といえば、芸人で初めて芥川賞を受賞した作家だ。又吉直樹が芥川賞を受賞した時はちょうど本屋で働いていたのだけれど、『火花』の売り上げは本当に凄かった。在庫がなくて入荷…

自分の人生に対する違和感 / 「一人称単数」 村上 春樹

村上春樹の「一人称単数」という短編では、人生の可能性を絞り込んだ先に待ち受けていた一人称単数の世界が描かれている。「一人称単数」で描かれているのは自分の人生に対する違和感だ。

ウディ・アレン版「罪と罰」 / 『教授のおかしな妄想殺人』 ウディ・アレン

Irrational Man www.youtube.com 教授のおかしな妄想殺人!?正直に言うと、初めてみたとき、おかしなタイトルだなと思った。原題はIrrational Manで、日本語にすると『不合理な人』といった感じになるだろうか。ウディ・アレンの映画には原題と違った邦題が…