日々の栞

生活にカルチャーを。本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

第174回芥川龍之介賞の受賞作鳥山まこと『時の家』と畠山丑雄 『叫び』について紹介する

第174回芥川賞の受賞作が鳥山まこと『時の家』と畠山丑雄 『叫び』に決まった。

第174回芥川賞の候補作は下記の五作品だ。

 

久栖博季 「貝殻航路」(文學界12月号)
坂崎かおる「へび」(文學界10月号)
坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(文藝冬季号)
鳥山まこと「時の家」(群像8月号)
畠山丑雄「叫び」(新潮12月号)

 

第174回芥川龍之介賞の候補作だが、5人中4人が初ノミネートだった。

芥川賞をざっくり簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番有名な賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品となる小説の長さは中編程度が多い。

この記事では芥川賞を受賞した作品、鳥山まこと『時の家』と畠山丑雄 『叫び』を紹介したい。

 

 

芥川賞とは?

まず、芥川賞について簡単に説明しよう。芥川賞とは、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。純文学における登竜門的な賞で、文学賞の中で一番知名度がある賞かもしれない。純文学界のM−1グランプリみたいなものだ。

純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。他の文芸誌に載った作品も候補になることがあるが非常にまれだ。

 


第174回芥川龍之介賞受賞作

それでは第174回芥川龍之介賞受賞作を紹介したい。

 


鳥山まこと「時の家」(群像 8月号)

時の家

時の家

Amazon

鳥山まことの『時の家』は、第47回野間文芸新人賞を受賞した作品である。芥川賞初候補作『時の家』は、そのタイトルの通り、「家」と「時間」を主人公に据えた異色の建築文学だ。
物語の焦点は、ある一軒の平屋そのものに当てられている。人間はその家の住人や設計者として登場するが、あくまで家を構成する要素の一部として扱われる。柱の籐巻、屋根の勾配、壁の石膏ボードといった建築的なディテールが、そこに刻まれた生活の痕跡や記憶とともに、緻密かつ静謐な筆致で記述される。過去の震災の記憶や、世代を超えて受け継がれる家の変遷を、人間中心主義を排した視点から描くことで、物質と記憶の深遠な関係性を浮かび上がらせた傑作である。

 


畠山丑雄「叫び」(新潮 12月号)

叫び

叫び

Amazon

畠山丑雄は、2015年に『地の底の記憶』で文藝賞を受賞してデビューした。約10年のキャリアを経て満を持しての芥川賞初候補となった『叫び』は、大阪・茨木市を舞台に、土地の記憶と個人の再生を描いた骨太な作品である。2025年に話題になった大阪万博がモチーフの作品である。
自暴自棄な生活を送る主人公・早野ひかるは、ある夜、鐘の音に導かれて生活保護受給者の男と出会う。早野はこの男を「先生」と呼び、彼から弥生時代の祭器である「銅鐸」作りや、茨木の歴史について学ぶことになる。1970年の大阪万博、そして来るべき2025年の大阪・関西万博。二つの万博と古代の銅鐸が、時空を超えて共鳴し合う中で、早野は自らの「叫び」を取り戻していく。戦後日本が抱える空虚さと、それに対する個人の祈りを、圧倒的な熱量で問う小説だ。

 

 

 

 

plutocharon.hatenablog.com

 

plutocharon.hatenablog.com

 

plutocharon.hatenablog.com