日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

2023-01-01から1年間の記事一覧

朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」が第45回野間文芸新人賞を受賞した件について

三大純文学新人賞の一つである第45回野間文芸新人賞の受賞作が発表された。 受賞作は、朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」の2作だ。 特に朝比奈秋は今回の受賞で新人賞三冠にリーチとなった。 この記事では第45回野間文芸新人賞の…

没入感がすごい!物語世界に浸れるイマーシブな小説8選

最近、イマーシブというキーワードがエンタメを賑わせている。 イマーシブ(immersive)とは、没入感を意味する言葉で日本でも流行りつつある。 現実にいながら物語や芸術の世界に入り込むイマーシブエンタメが大流行中である。 日本だと、印象派やポスト印象…

ノーベル文学賞を受賞したヨン・フォッセの日本語で読める作品は?

ヨン・フォッセ(Jon Fosse)というノルウェーの劇作家が2023年のノーベル文学賞を受賞した。 日本では知名度がないかもしれないが、ヨン・フォッセはノルウェーを代表する劇作家で、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き…

圧倒的レンガ!鈍器すぎる分厚い小説15選(文庫編)

鈍器本という言葉をご存知だろうか?凶器として使えそうなぐらい分厚い本は鈍器本と言われている。ハードカバーの本に分厚い本が多いイメージがあるかもしれないが、文庫本にも分厚い本がある。 この記事では、特に文庫本の中で特に分厚い小説を集めてみた。…

川端康成が中国で流行っている件について

雪国(新潮文庫) 作者:川端康成 新潮社 Amazon 「国境のトンネル」でお馴染みの作家といえば川端康成だ。 日本で初めてノーベル文学賞を受賞した作家であり、代表作の『雪国』や『伊豆の踊り子』は非常に有名だ。 川端康成だが、今中国でブームになっている…

『秒速5センチメートル』が好きな人におすすめの恋愛小説

www.youtube.com 新海誠の最高傑作は何かという問いがあったら、僕は間違いなく『秒速5センチメートル』をあげる。 『秒速5センチメートル』は、美しすぎる初恋の呪いに囚われてしまった男性を、圧倒的な映像美で描いた名作アニメーション映画だ。新海誠監…

知る人ぞ知る?オーストラリアを代表する作家ジェラルド・マーネインを紹介する

ジェラルド・マーネイン(Gerald Murnane)という小説家を知っているだろうか? ジェラルド・マーネインはオーストラリアの小説家で、知る人ぞ知る作家だ。世界的に有名な作家ではないが、一部でカルト的な人気を得ている。 最近では、ノーベル文学賞も受賞す…

中国のカフカ!?現代中国文学を代表する作家・残雪について紹介する

残雪 (Can Xue)という作家を知っているだろうか? 中国を代表する現代作家で、非常に独創的な作風が特徴だ。その独創的な作風から、カフカやピンチョンと並び称される作家である。 日本では知名度は低いかも知れないが、現代中国文学を代表する残雪を紹介し…

ノルウェーを代表する現代劇作家ヨン・フォッセについて紹介する

ヨン・フォッセ(Jon Fosse)という劇作家を知っているだろうか? ノルウェーを代表する劇作家で、グローバルに大きな関心を集めている。ヨン・フォッセは、イプセンに続き最も頻繁に上演されるノルウェー人劇作家である。ミニマリズムを特徴とする演劇で国…

村上春樹の人気は?ブックメーカーを参考にして2023年ノーベル文学賞を予想してみた

もうそろそろ「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というニュースを見かける季節になると思うので、一足先にブックメーカーを参照して今年のノーベル文学賞を予想したいと思う。 「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というのはもはや秋の…

まさに裏技!絶版本を探す方法

本好きあるあるだと思うけど、読みたい本が絶版になっているってよくあることだと思う。本屋でバイトしていた経験から言うと、十年前に出版された本でも結構絶版になっていた。読みたいだけなら図書館で借りればいいけれど、手元に置いておきたい本や棚に並…

読まないと!伊坂幸太郎の隠れた名作小説4選

鮮やかな伏線回収、魅力的なキャラクター、ウィットに富んだ文章で人気を集めているのが伊坂幸太郎だ。 巧みすぎる伏線回収には毎回驚かせられる。時系列がバラバラであったりと小説の構成が凝っていて、どんでん返しなどが仕掛けられたミステリ小説が多い。…

映像化不可能と言われていたが映画化されたミステリ小説まとめ

ミステリ小説の中にはトリックの性質がゆえに映像化できないと言われてるものがいくつかある。映像化してしまうとトリックがばれてしまうからだ。だが、趣向をこらすことによって映像化不可能と言われていたけれど、映画化に成功した作品もある。この記事で…

読まないと!村上春樹の隠れた名作8選

村上春樹といえば日本を代表する現代作家だ。村上春樹作品は日本だけでなく世界中で読まれており、多くの人を惹きつけている。 村上春樹の名作といえば『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがあるだろう。 それ以…

『逆転美人』の両肩読みの仕掛けとは?

最近、紙ならではのトリックが仕掛けられたミステリ小説が話題を集めている。 一つ例を挙げてみると、杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』などがあるだろう。 この小説は、紙ならでは仕掛けが話題になり、ベストセラーとなった。 この他にも藤崎翔の…

東野圭吾『仮面山荘殺人事件』が舞台化される件について

prtimes.jp 東野圭吾の小説は数多く映画化されているけれど、中には意外とまだ映像化されていないのだなと思うものがいくつかある。 その一つが『仮面山荘殺人事件』だ。 『仮面山荘殺人事件』は東野圭吾のどんでん返しの名作としてあげられる作品である。『…

電子書籍化できない?紙媒体ならではの仕掛けが施された小説7選

皆さんは本を読むときは紙派だろうか?それとも電子書籍派だろうか? 最近ならオーディオブック派もあるかもしれない。 最近は利便性ゆえに電子書籍を愛用している人が増えてきているかもしれないが、紙の本には電子書籍にはない魅力がある。ページをめくる…

『世界でいちばん透きとおった物語』の献辞に書かれているA先生は誰のことか

prtimes.jp 最近、電子書籍化不可能ということで話題になっている小説がある。 その作品が、杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』だ。この小説には、紙ならでは仕掛けが施されている。この仕掛けを電子書籍化することは不可能だろう。 この本の献辞で…

一番売れているのは?東野圭吾の売上・発行部数ランキング

東野圭吾は、ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズでお馴染みの大人気ミステリー作家だ。知らない人は恐らくいないだろう。 東野圭吾は、ガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞している。『探偵ガリレオ』などガリレオシリーズは福山雅治主演…

東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』が映画化される件について

happinet-phantom.com 東野圭吾の小説は数多く映画化されているけれど、中には「この小説は絶対映像化できないだろう」と思うものがいくつかある。 その一つが『ある閉ざされた雪の山荘で』だ。『ある閉ざされた雪の山荘で』は東野圭吾のどんでん返しの名作…

名曲とミステリ!音楽や音楽家が題材になったミステリ小説まとめ

クラシックやジャズ、Jポップなどの音楽が作中に登場する小説はたくさんある。 その中でも名曲や音楽家が重要な役割を握っているミステリを紹介したい。 ミステリだけではなく、ドビュッシーやラフマニノフといった有名な音楽家についての知識が学べるミステ…

人生の交差路!空港や飛行機が舞台のおすすめ小説

小説の舞台として空港が魅力的に感じるのは私だけだろうか? 新天地へのスタート地点やたくさんの人が行き交う空港や飛行機は小説の舞台としてうってつけだと思っている。 この記事では、空港や飛行機を舞台にした小説を紹介したい。 空港にて / 村上 龍 あ…

ドキドキが止まらない?恋愛ミステリ小説を紹介

小説にはいろんなジャンルがある。 例を挙げてみると、ミステリやSF、ファンタジー、純文学、恋愛小説、歴史といったところか。中にはいくつものジャンルを横断した小説もある。 この記事では恋愛小説とミステリを組み合わせた恋愛ミステリ小説を紹介したい…

第169回芥川龍之介賞の受賞作を予想する

第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」…

クリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』についてまとめてみた

www.youtube.com クリストファー・ノーラン監督が新作映画『オッペンハイマー(Oppenheimer)』が今年公開される。キリアン・マーフィー主演で、原爆の父として知られるロバート・オッペンハイマーを描いた映画だ。 公開が待ちきれないので、現状分かっている…

驚きの連続!?どんでん返しが凄いミステリまとめ

ミステリの醍醐味の1つと言えるどんでん返し。 今まで見ていた世界がひっくり返る感覚は面白いものだ。ミステリにはどんでん返しが秀逸なことで有名な作品が数多くある。そんなどんでん返しがすごいミステリを紹介したい。

第169回芥川龍之介賞の候補作を紹介する

第169回芥川賞の候補作が発表された。候補作は下記の五作品だ。 石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)乗代雄介「それは誠」…

梅雨に読みたい!雨がタイトルに入るおすすめ小説5選

梅雨の時期になり、ジトジトとした雨の日が続くようになってきた。こんな日には家でゆっくり本を読むのがいいだろう。 雨が降るのを眺めながら読書に耽るのは趣があっていいかもしれない。この記事では、梅雨時に読みたい、タイトルに雨が入った小説を紹介し…

名前をつけて保存?忘れられない恋愛を描いた恋愛小説まとめ

男女間での恋愛に対するスタンスの違いを示す表現として、男性は『名前を付けて保存』、女性は『上書き保存』という言葉がある。 一般論として、女性よりも男性の方が過去の恋愛を引きずりがちなのではないだろうか。 男性にとって忘れられない過去の女性と…

村上春樹がアストゥリアス皇太子賞の文学部門賞を受賞した件について

www.jiji.com 村上春樹がアストゥリアス皇太子賞の文学部門を受賞したというめでたいニュースが入ってきた。スペインの文学賞・アストゥリアス皇太子賞は、ヨーロッパで最も権威がある賞の1つで、日本人作家が文学部門で受賞したのは初めてのようだ。 この記…