日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

最近、佐藤正午が気になる

最近、直木賞を取った佐藤正午 月の満ち欠け 第157回直木賞受賞 作者: 佐藤正午 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/04/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (23件) を見る 最近、『月の満ち欠け』で直木賞を受賞して、注目を集めている佐藤正午…

恋する男子はみんな阿呆 /『恋文の技術』 森見 登美彦

拝啓 未だ見ぬあなたへ 恋文の技術 (ポプラ文庫) 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2011/04/06 メディア: 文庫 購入: 25人 クリック: 474回 この商品を含むブログ (84件) を見る 四畳半に燻り、単位を湯水のように落とす腐れ大学生にとっ…

小説とは何か?/ 『1000の小説とバックベアード』 佐藤 友哉

佐藤友哉なりの小説賛歌 佐藤友哉の三島由紀夫賞受賞作。ラノベと純文学のハイブリッドみたいな作品。小説とは何か、何のために小説を書くのかということテーマにしたファンタジー。随所に佐藤友哉らしい言い回しがあり、はまる人にははまる。1000の小説や、…

ゴドーにタタールにシルト/世界の待ちぼうけ小説

待ちぼうけ小説とは 待ちぼうけ小説とは、僕が勝手に呼んでいる名前だけど、待っている人やものがやってこないことを主題にした小説のことだ。待っているのに来ない、いつ来るか分からない。気になる女の子をデートに誘ったけど、やってこないときに読みたい…

ここではないどこかへ / 『アズミ・ハルコは行方不明』 山内 マリコ

地方都市に住む人々の鬱屈を描き切った傑作 『パリ行ったことないの』が凄く良かったので、同じ著者の山内マリコ作品を読んでみたけど、この『アズミ・ハルコは行方不明』も大当たり。地方都市に住む人々の鬱屈や閉塞感、上辺だけの関係、そして可能性が閉ざ…

日本三大奇書、あるいは第四、第五の奇書

日本三大奇書という言葉は本好きではない人でも聞いたことがあるのではないだろうか。日本三大奇書とは、『ドグラ・マグラ』を筆頭に、日本の推理小説におけるアンチミステリの傑作とされる三つの小説の総称だ。その三つの小説とは『ドグラ・マグラ』、『黒…

「意識高い系」と李徴の共通点 / 『山月記』 中島 敦

世の中の人は『ライ麦畑でつかまえて』、『人間失格』、『山月記』のどれかには深く心を揺さぶられるのではないかと思っている。どれも、いわゆる中二病といわれそうな内容だ。 でも、人って中二病的なものを心にいくらか抱えて生きていくんじゃないかなって…