佐藤友哉なりの小説賛歌
佐藤友哉の三島由紀夫賞受賞作。ラノベと純文学のハイブリッドみたいな作品。小説とは何か、何のために小説を書くのかということテーマにしたファンタジー。随所に佐藤友哉らしい言い回しがあり、はまる人にははまる。1000の小説や、バックベアード、片説、図書館などの設定にも心惹かれる。「小説を書く気持ちで書くとそれは小説」強引であるが、魅力を感じることば。これがこの小説が提示する答えなのかもしれない。また、最後の場面は、ミイラと化した「日本文学」に対する佐藤友哉の所信表明のように思えた。