日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

2018-01-01から1年間の記事一覧

アラン・ロブ=グリエの映画が公開 /『アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ』

『アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ』が公開 www.youtube.com アラン・ロブ=グリエという作家は一般的に知られてないかもしれない。知ってるとしたら、余程の文学好きか文学部の学生ぐらいだろう。それもそのはずで、大衆受けするようなエンタメを書…

学生運動を背景とした青春小説まとめ

学生運動を背景とした青春小説 学生運動は、昔の日本で盛んに行われていた社会現象だ。日米安保条約の反対闘争やベトナム戦争の反戦運動など、全国的に行われていた。東京大学の安田講堂事件など、有名な事件も多い。中には、過激派の内ゲバが発生して、死傷…

「ストーリー展開がバツグンに秀逸な映画紹介するから興味ある奴ちょっとこい」というスレが有能すぎる件

「ストーリー展開がバツグンに秀逸な映画紹介するから興味ある奴ちょっとこい」 blog.livedoor.jp 僕はどんでん返しや脚本が凝った映画が好きだ。映画監督で言ったら、クリストファー・ノーランとか。そんな脚本が凝った映画を観るのに参考にしていたのが「…

風の教会に行ってきた

安藤忠雄の風の教会 Casa BRUTUS特別編集 安藤忠雄 ザ・ベスト (マガジンハウスムック) 作者: マガジンハウス 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 2014/11/10 メディア: ムック この商品を含むブログ (1件) を見る 日本を代表する建築家・安藤忠雄。安…

就活をしていて思ったことを殴り書きしてみた

就活のときに思っていたことをひたすらに書いてみた。 僕は理系の大学院生で、メーカーの技術職を中心に就活をしていた。まったく就活をしていなかったけれどなんやかんやで大手のメーカーに内定を頂くことが出来た。理系ならではの話や、就活のときに思った…

理系就活生におすすめの就活本

就活は大学生活の中でもメインイベントの一つに入る。 僕は理系大学院生で就活をし、色々大変なこともあったけれど(研究と就活の両立とか)、なんとか大企業と言われるメーカーに内定を頂いた。このご時世、大企業に行くことにあまりメリットがないかもしれ…

森見登美彦の『熱帯』がついに発売!

森見登美彦の『熱帯』がついに発売 森見登美彦の『熱帯』がついに発売されるようだ。ブラキオサウルスなみに首を長くして待ったかいがあった。『熱帯』という小説はAmazon.co.jpで連載されていたものである。森見氏のブログを見る限り、単行本にするのがかな…

その驚きはプライスレス!隠れたどんでん返しの名作10選

衝撃的な結末で読者を驚かせるどんでん返し小説。小説でしか味わえない体験があって、見事に騙されるとその快感がやみつきになる。どんでん返しの小説と言えば、『イニシエーション・ラブ』であったり、『十角館の殺人』、『ハサミ男』、『ロートレック荘事…

ストリートからモードへの転換期 BALENCIAGA 2019ssを読み解いてみた

ストリートからモードへの方向転換をみせたバレンシアガ BALENCIAGA SUMMER 19 会場全体に映像作品を流し、近未来的な演出をみせた2019ssのバレンシアガ。今回のショーは、ストリートの次のトレンド、ファッションの近未来を示唆する内容だった。ストリート…

「Céline」から「CELINE」へ  エディによる新しいセリーヌの始まり

今回の2019年春夏のパリコレクションで最も注目を集めていたのはエディ率いる新生セリーヌだろう。大方の予想通り、ショーで示されたのは、前任のフィービー・ファイロの築き上げてきた「Céline」ではなく、エディ色が強い「CELINE」だった。やっぱり、エデ…

そうだ、村上春樹を読もう!初心者におすすめの村上春樹作品

今や日本を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で読まれている。洒脱な表現や比喩と、巧みなストーリーテリング、魅力的な謎解き要素などの魅力が詰まった村上春樹作品。これから村上春樹を読むという人のために、初心者におススメ…

「第三の新人」って知ってる?

「第三の新人」とは? 第三の新人名作選 (講談社文芸文庫) 作者:安岡 章太郎,阿川 弘之,庄野 潤三,遠藤 周作,吉行 淳之介,小沼 丹,近藤 啓太郎,小島 信夫,島尾 敏雄,三浦 朱門 講談社 Amazon 「第三の新人」という文学史上の用語がある。高校生の時に国語の…

「左翼」ではなく「サヨク」 / 『優しいサヨクのための嬉遊曲』 島田 雅彦

「サヨク」を描いた島田雅彦のデビュー作 僕は「左翼」が流行った時代を知らない。生まれたときには冷戦は終わっていたし、ソ連はロシアになっていた。日本でも左翼運動が盛り上がったらしいけれど、歴史の教科書や小説ぐらいでしか見たことがない。『僕って…

「村上春樹が新ノーベル文学賞最終候補」について思うこと

村上春樹が正式に候補に!? www.jiji.com もはや秋の風物詩ともいえる「村上春樹はノーベル文学賞を受賞するのか」祭り。ハルキストたちがカフェに集まって、今年こそは受賞するとインタビューに答えている風景は見慣れた景色だ。そして、村上春樹が受賞を逃…

美禰子という謎 / 『三四郎』 夏目 漱石

恋愛のアマチュア・三四郎の恋 夏目漱石の小説には恋愛小説が多い。しかも、どれも一筋縄ではいかない恋愛小説だ。『それから』では三角関係の果ての不倫が描かれているし、『門』では略奪婚のその後、『こころ』では三角関係の果ての悲劇を描いている。『そ…

ウディ・アレンがギリシャ悲劇を映画にしたら /『誘惑のアフロディーテ』 ウディ・アレン

『誘惑のアフロディーテ』はギリシャ悲劇のパロディ!? Mighty Aphrodite Trailer 1995 ウディ・アレンは、人生の不条理や悲劇をコミカルに描いてきた映画監督だ。『誘惑のアフロディーテ』がテーマとするのも、ある男の運命の悲劇に他ならない。タイトルのア…

大学生のうちに読んでおきたい本リスト

大学を卒業するまでに読んでおきたい本 大学を入る前は、名作古典小説をどんどん読んでいくと意気込んでいたけれども、いざ大学に入ってみると、なかなか本が読めない。バイトやら、部活やら、実験レポートやらなんやらで、時間がどんどん削られていく。まあ…

螢の旋律にあなたは騙される / 『螢』 麻耶 雄嵩

オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中…

ヌーヴォー・ロマンって知ってる?

ヌーヴォー・ロマンって知ってる? 早稲田文学1 作者:川上 未映子,蓮實 重彦,中原 昌也,福嶋 亮太,芳川 泰久,島田 雅彦,水谷 真人,大杉 重男,田中 りえ,萩山 洋文,アラン ロブ=グリエ,篠山 紀信 太田出版 Amazon 「ヌーヴォー・ロマン」という言葉をご存じだ…

U-NEXTにはウディ・アレンの映画が意外と多い説

最近、動画配信サービスの比較をしている 最近、無料体験期間を利用して、ネットフリックスやU-NEXTなどのサービスの比較をしている。比較する基準の一つに、ウディ・アレンの映画がどの位観れるかがある。ネットフリックスだと、『マジック・イン・ムーンラ…

超絶技巧の問題作 / 『黒い仏』 殊能 将之

超絶技巧の問題作 九世紀、天台僧が唐から持ち帰ろうとした秘法とは。助手の徐彬を連れて石動戯作が調査に行った寺には、顔の削り取られた奇妙な本尊が。指紋ひとつ残されていない部屋で発見された身元不明の死体と黒い数珠。事件はあっという間に石動を巻き…

子どもには読ませたくない / 『神様ゲーム』 麻耶 雄嵩

これは子どもに読ませたくない 神降市で猫殺しがおこるのだが。 ここから下はネタバレ 結局、父親と母親のどちらが共犯者なのか? 結論から言うと、共犯者は「母親」だ。だって、神様がそう言っているから。神様はすべての事を知っている。だから、神様であ…

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

ほろ苦い一夏の思い出を描いたお洒落ミュージカル映画 映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』予告編 『ラ・ラ・ランド』とも『シング・ストリート』とも違った、お洒落でガーリーなミュージカル映画。この映画を一言で表すと、お洒落!サントラから、衣装、演…

今年は印象派の展覧会が充実している~プーシキン美術館展とビュールレ・コレクション~

今年は印象派の展覧会が充実している! 今年はプーシキン美術館展と至上の印象派展ビュールレ・コレクションの展覧会がある。どちらもモネ、ルノワールといった印象派の絵画が充実している。 プーシキン美術館展は、フランス絵画コレクションで有名なモスク…

この世で一番無駄な時間は食器を洗っている時間だと思う。

この世で一番もったいない時間ってなんだろ 貧富の差が広がる現代において、かろうじて平等と言えるのは、一日は24時間しかないということだろうか。時間は誰にとっても平等である。限られた時間をどう使うかが、人生を有意義に過ごすことに直結すると思う。…

トラウマに向き合うということ / 「七番目の男」 村上 春樹

「七番目の男」は村上春樹の短編の中でも最高傑作の一つだと思う 「七番目の男」は『レキシントンの幽霊』に収録された短編で、村上春樹の短編の中でも印象に残る小説だ。「七番目の男」は、別の「鏡」という短編と同じスタイルを踏襲している。そのスタイル…

いつの間にか安部公房『けものたちは故郷をめざす』が復刊していた件

いつの間にか復刊していた そのときの僕は 書店でフラフラしていて、なんとなく新潮文庫の安部公房の辺りをみていた。『砂の女』、『箱男』、『他人の顔』、『けものたちは故郷をめざす』、『燃えつきた地図』と文庫本が棚に並んでいた。 ん、ん、ん。なにか…

ブックオフでひたすらに島田雅彦の絶版本を集める

ブックオフって意外にレアな本がある ブックオフって意外と絶版になった純文学作品や、ミステリーを扱っていることに最近気づいた。ブックオフで買っても作家にお金が入らないので、本を買ったことはなかったけれど、絶版本を買うにはうってつけだなと思った…

意外と絶版になっている安部公房の小説

意外と絶版になっている安部公房の小説 砂の女 作者: 安部公房 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1962/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 僕は安部公房が好きだ。人生で一番感銘を受けた本は何かと問われると、安部公房の『砂の女』と…

そろそろ服からサイズという概念がなくなってもいいんじゃないか?

そろそろオートクチュールが復権してもいいんじゃない? 服を買うときに重要なのは、何といっても服のサイズ。自分にあったサイズを選ぶために何度も試着したり、鏡の前でにらめっこしたりする。はたまた無理して自分が服にサイズを合わせにいったことがある…