日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

小説

没入感がすごい!物語世界に浸れるイマーシブな小説8選

最近、イマーシブというキーワードがエンタメを賑わせている。 イマーシブ(immersive)とは、没入感を意味する言葉で日本でも流行りつつある。 現実にいながら物語や芸術の世界に入り込むイマーシブエンタメが大流行中である。 日本だと、印象派やポスト印象…

圧倒的レンガ!鈍器すぎる分厚い小説15選(文庫編)

鈍器本という言葉をご存知だろうか?凶器として使えそうなぐらい分厚い本は鈍器本と言われている。ハードカバーの本に分厚い本が多いイメージがあるかもしれないが、文庫本にも分厚い本がある。 この記事では、特に文庫本の中で特に分厚い小説を集めてみた。…

『秒速5センチメートル』が好きな人におすすめの恋愛小説

www.youtube.com 新海誠の最高傑作は何かという問いがあったら、僕は間違いなく『秒速5センチメートル』をあげる。 『秒速5センチメートル』は、美しすぎる初恋の呪いに囚われてしまった男性を、圧倒的な映像美で描いた名作アニメーション映画だ。新海誠監…

村上春樹の人気は?ブックメーカーを参考にして2023年ノーベル文学賞を予想してみた

もうそろそろ「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というニュースを見かける季節になると思うので、一足先にブックメーカーを参照して今年のノーベル文学賞を予想したいと思う。 「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というのはもはや秋の…

読まないと!伊坂幸太郎の隠れた名作小説4選

鮮やかな伏線回収、魅力的なキャラクター、ウィットに富んだ文章で人気を集めているのが伊坂幸太郎だ。 巧みすぎる伏線回収には毎回驚かせられる。時系列がバラバラであったりと小説の構成が凝っていて、どんでん返しなどが仕掛けられたミステリ小説が多い。…

読まないと!村上春樹の隠れた名作8選

村上春樹といえば日本を代表する現代作家だ。村上春樹作品は日本だけでなく世界中で読まれており、多くの人を惹きつけている。 村上春樹の名作といえば『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがあるだろう。 それ以…

電子書籍化できない?紙媒体ならではの仕掛けが施された小説7選

皆さんは本を読むときは紙派だろうか?それとも電子書籍派だろうか? 最近ならオーディオブック派もあるかもしれない。 最近は利便性ゆえに電子書籍を愛用している人が増えてきているかもしれないが、紙の本には電子書籍にはない魅力がある。ページをめくる…

名曲とミステリ!音楽や音楽家が題材になったミステリ小説まとめ

クラシックやジャズ、Jポップなどの音楽が作中に登場する小説はたくさんある。 その中でも名曲や音楽家が重要な役割を握っているミステリを紹介したい。 ミステリだけではなく、ドビュッシーやラフマニノフといった有名な音楽家についての知識が学べるミステ…

人生の交差路!空港や飛行機が舞台のおすすめ小説

小説の舞台として空港が魅力的に感じるのは私だけだろうか? 新天地へのスタート地点やたくさんの人が行き交う空港や飛行機は小説の舞台としてうってつけだと思っている。 この記事では、空港や飛行機を舞台にした小説を紹介したい。 空港にて / 村上 龍 あ…

ドキドキが止まらない?恋愛ミステリ小説を紹介

小説にはいろんなジャンルがある。 例を挙げてみると、ミステリやSF、ファンタジー、純文学、恋愛小説、歴史といったところか。中にはいくつものジャンルを横断した小説もある。 この記事では恋愛小説とミステリを組み合わせた恋愛ミステリ小説を紹介したい…

梅雨に読みたい!雨がタイトルに入るおすすめ小説5選

梅雨の時期になり、ジトジトとした雨の日が続くようになってきた。こんな日には家でゆっくり本を読むのがいいだろう。 雨が降るのを眺めながら読書に耽るのは趣があっていいかもしれない。この記事では、梅雨時に読みたい、タイトルに雨が入った小説を紹介し…

名前をつけて保存?忘れられない恋愛を描いた恋愛小説まとめ

男女間での恋愛に対するスタンスの違いを示す表現として、男性は『名前を付けて保存』、女性は『上書き保存』という言葉がある。 一般論として、女性よりも男性の方が過去の恋愛を引きずりがちなのではないだろうか。 男性にとって忘れられない過去の女性と…

夫婦の危機をどう乗り越える?セックスレスが題材になった小説まとめ

セックスレスは、夫婦やカップルにとって重大な問題だろう。体のコミュニケーションがなくなってしまったら、二人の関係も冷え込んでしまう。セックスレスの問題を抱えながら、日々を悶々と過ごしている人は多いと思う。 だが、非常にセンシティブな問題故に…

ミステリ界の一発屋!?一作だけの幻のミステリ作家まとめ

一時的にのみ活躍を見せた歌手や芸人を一発屋と読んだりする。一発屋というと芸人のイメージが強いかもしれない。 だが、ミステリ作家にも一発屋はいる。インパクトのあるトリックでデビューしたものの、その後の作品が続かない作家のことだ。 この記事では…

翻訳家としての村上春樹!ハルキが翻訳した海外小説まとめ

村上春樹といえば『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』、『1Q84』などの小説で知られている日本を代表する小説家だ。 それだけでなく海外小説の翻訳も手掛けており、海外文学の紹介や翻訳を手がけるといった一面も持っている。村上春樹が手掛けた翻…

ともにW受賞!第168回芥川賞・直木賞の受賞作が決定!

第168回芥川賞・直木賞の受賞作が1/19に決定した。 芥川賞は井戸川射子の「この世の喜びよ」(群像7月号)と佐藤厚志の「荒地の家族」(新潮12月号)のW受賞に決まった。 直木賞は小川哲の「地図と拳」と千早茜の「しろがねの葉」に決まった。こちらもW受…

売れない劇作家の不器用な恋 / 『劇場』 又吉 直樹

売れない劇作家の青春と焦燥と挫折 高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてく…

スペインの雨はどこに降る?/ 『スペインの雨』 佐藤 正午

『月の満ち欠け』で直木賞を受賞し注目を集める佐藤正午の短編集 知る人ぞ知る作家・佐藤正午が直木賞受賞で注目を集めている。直木賞の授賞式は欠席したらしいが。『スペインの雨』はそんな佐藤正午の短編集だ。佐藤正午本人を思わせるような小説家を主人公…

二本の直線のように交わる人生 / 「石のまくらに」 村上 春樹

村上春樹の小説世界では、すんなりと男女が関係を持つ。それはもう息を吸うように。「石のまくらに」という短編も村上春樹にありがちな男女が流れで関係を持つ系の話だ。この短編は最新刊の短編集『一人称単数』に収録されている。元は文學界に掲載された「…

『〇〇夫人』と言うタイトルの小説はほとんどが不倫の話になっている説

〇〇夫人というタイトルを聞くと幼い頃にちらっと見た『真珠夫人』のことを思い出す。このドラマは、the昼ドラと言えるような内容だった。『真珠夫人』には原作小説があって、菊池寛が同名タイトルで小説を書いている。 こんな感じで小説には〇〇夫人という…

読書好き必見!文豪が愛した温泉旅館を紹介!

文豪と温泉には深い関係がある。川端康成などの文豪は旅館に泊まりながら執筆することが多かった。今も読まれ続ける名作の誕生の裏には、日本の温泉地があったのだ。 僕も温泉に浸かり旅館で優雅に在宅勤務をしたい…そんな僕のささやかな夢は叶いそうにない…

小説で今年を振り返る!2022年話題になった小説まとめ

2022年もあと少しで終わる。 年初には新型コロナの流行が収まって回復の年になるかと思っていたが、蓋を開けてみればロシアのウクライナ侵攻や安倍元首相の殺害事件と混迷の一年となった。また、各国でインフレが止まらず、日本においては円安が止まらなくな…

意外と三角関係が多い?夏目漱石のおすすめ小説5選!

夏目漱石の前期三部作・後期三部作について解説した記事です。前期三部作の三四郎・それから・門、後期三部作の彼岸過迄・行人・こころの内容についても解説してます。

子どもたちから公園を奪ったのは誰か? / 「公園」 三崎 亜記

「子どもがうるさい」との住民の苦情により、子どもたちが利用する公園が廃止されることになったというニュースが話題を集めている。 廃止となったのは長野市にある青木島遊園地。市側は改善を続けたが、住民から騒音の訴えは変わらず、公園を利用する子ども…

白色って200色あるねん!表紙が白い本をまとめてみた

皆さんご存知だろうか、白には200色あるということを。 某アンミカさんによると白色には200色の違いがあるようだ。(出典:2021年8月20日『人志松本の酒のツマミになる話』) この名言は、テレビ番組でアンミカさんの「小っちゃい物の良い所をコップ一個でも…

友情と恋愛、どちらを取る?/ 『友情』 武者小路実篤

『友情』というタイトルから、友情の素晴らしさを描いた小説だと思った人は多いだろう。僕もそうだった。しかし、武者小路実篤の『友情』という小説は、爽やかな青春小説の対極にあるような、友情と恋愛の間での葛藤を描いた恋愛小説だ。夏目漱石の『こころ…

奇々怪々!世にも奇妙な物語みたいな短編小説10選

「世にも奇妙な物語」をご存知だろうか? 「恐怖系」、「コメディ系」、「感動系」 、「意味不明系」といった奇妙なテイストのオムニバスドラマだ。ストーリーテラーのタモリが印象的なフジテレビのご長寿シリーズである。 この記事では、「世にも奇妙な物語…

まさに変化球!一風変わったポストモダン野球小説まとめ

野球をモチーフにした小説と言えば何を思い浮かべるだろうか? 大抵の方は、『バッテリー』といった王道の野球青春小説を思い浮かべるかもしれない。だが、個人的に野球小説といえば一癖も二癖もあるポストモダン的な野球小説が思い浮かぶ。『バッテリー』が…

現実離れしたトリックが魅力!おすすめのバカミス12選

バカミスというミステリのカテゴライズをご存知だろうか? この「バカ」だが、決して小説をバカにした意味合いではなく、「そんなバカな!」という驚きの意味を込めたものだ。思わず「そんなバカな!」と驚いてしまうほどの意外性のあるトリックや、現実性を…

デタッチメントという観点からの考察 / 「TVピープル」 村上 春樹

「TVピープル」は、タイトル通りTVピープルという不思議な小人が登場する村上春樹の短編小説だ。世にも奇妙な物語にありそうなストーリーだなと思う。短編集『TVピープル』の表題作でもあるので、村上春樹の短編の中でも有名ではなかろうか。 『ノルウェイの…