村上春樹といえば日本を代表する現代作家だ。村上春樹作品は日本だけでなく世界中で読まれており、多くの人を惹きつけている。
村上春樹の名作といえば『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがあるだろう。
それ以外にも、村上春樹作品には面白い作品がある。この記事では村上春樹の隠れた名作を紹介したい。
ダンス・ダンス・ダンス
『羊をめぐる冒険』から4年、激しく雪の降りしきる札幌の町から「僕」の新しい冒険が始まる。羊男、美少女、そしていくつかの殺人――。渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで、「僕」は奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら、暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
村上春樹の隠れた名作というと『ダンス・ダンス・ダンス』が一番に思い浮かぶ。村上春樹の長編小説の中でも、『ダンス・ダンス・ダンス』は知名度が低いのではと思う。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、青春三部作の『羊をめぐる冒険』の続きにあたる青春小説だ。主人公は「僕」だ。喪失感に満ち溢れた『羊をめぐる冒険』と比べると、かなり救いのある小説になっている。羊男も再登場する。
村上春樹の中で一番おしゃれな小説がどれかと言われたら間違いなく『ダンス・ダンス・ダンス』をあげたい。知名度はないかもしれないが間違いなく名作なので読んでみてほしい。
国境の南、太陽の西
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて―。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作。
『国境の南、太陽の西』は、不倫を描いた大人の恋愛小説だ。絵に描いたような幸せを享受している男性が初恋の女性に再会し不倫にのめり込んでいくという話である。
大学生の頃に読んだときはあまり良さがわからなかったのだが、年を経て読み返してみるとすごく印象に残る作品となった。
『ねじまき鳥クロニクル』から派生的に生まれた作品らしい。そう言われてみれば、『ねじまき鳥クロニクル』に繋がる点がいくつかある。
スプートニクの恋人
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!
『スプートニクの恋人』は、リリカルな文体が魅力の恋愛小説だ。『スプートニクの恋人』は文体がとても実験的で、比喩が多い村上春樹作品の中でも過剰に比喩が使われている。
すみれとミュウと僕のどこにも行くことが出来ない恋をリリカルな文体で描いている。『ノルウェイの森』に雰囲気が近いので、『ノルウェイの森』が好きな人ならはまると思う。
神の子どもたちはみな踊る
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた――。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
短編集だと『神の子どもたちはみな踊る』を推したい。『神の子どもたちはみな踊る』は阪神淡路大震災がモチーフになった作品である。
元々「連作『地震のあとで』」という通しタイトルで発表された作品だ。「地震のあとで (After the quake)」とあるように、『神の子どもたちはみな踊る』は1995年1月17日の阪神淡路大震災に影響を受けて書かれた作品だ。しかし舞台は神戸ではなく、被災地から遠く離れた場所(釧路、茨城、千葉、タイ、東京)が舞台になっており、作品中の設定は1995年2月だ。これは阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件という2つのカタストロフィに挟まれた時期だ。
『神の子どもたちはみな踊る』に収録された作品の中でも、「蜂蜜パイ」「かえるくん、東京を救う」が特におすすめだ。
図書館奇譚
僕と羊男はここから脱出できるのか? 図書館の地下に囚われる不条理を描く名作とカット・メンシックのダークなイラストが響きあう。
不思議な村上春樹ワールドが全開の隠れた名作が『図書館奇譚』だ。
この作品は一般的にはメジャーな作品じゃないと思うけれど、村上作品ではお馴染みの「羊男」というキャラクターが出てきたり、超現実的な展開であったり、異世界に行くストーリーであったりと、村上春樹のエッセンスが詰め込まれている。
村上春樹版の「不思議な国のアリス」のような小説なので、ファンタジーや不思議な人が好きな人なら面白く読めると思う。
遠い太鼓
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。――その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。1986年秋から1989年秋まで3年間をつづる新しいかたちの旅行記。
村上春樹は小説だけではなく、エッセイもいい。エッセイの中でおすすめなのが、『遠い太鼓』だ。『遠い太鼓』は、村上春樹のギリシャ・イタリアへ長い旅について書かれたエッセイである。ちょうどこの時期は、村上春樹が『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げた頃である。
作家としての転換期となった、三年間の異国生活をスケッチした名作エッセイである。
夜のくもざる
海亀の執拗な攻撃から僕らの身を守ってくれた秘密兵器とは? ヒトは死んだらどこにいくのだろう? ――読者が参加する小説「ストッキング」から、オール関西弁で書かれた「ことわざ」まで、謎とユーモアに満ちた「超短篇」小説が36本! (さらに替え歌「朝からラーメン」のおまけ付き! )絶好調の村上春樹=安西水丸“nice & easy"コンビが贈る「村上朝日堂」小説特集号!
『夜のくもざる』は、村上春樹とイラストレーターの安西水丸がコラボレーションした作品である。村上春樹のショートショートが楽しめる本だ。村上春樹のショートショートと安西水丸のイラストが絶妙に絡み合っている。
村上春樹と安西水丸は親交がとても深く、これ以外にもコラボレーションした本を数多く出版している。
収録作品の中では、特に「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」がおすすめだ。村上春樹の物語に対するスタンスが垣間見える良作だ。
夢で会いましょう
強烈な個性と個性がぶつかりあう時、どんな火花が飛び散るか――それがこの本の狙いです。同時代を代表する2人が、カタカナ文字の外来語をテーマにショートショートを競作すると、こんな素敵な世界があらわれました。さあ、2種類の原酒が溶けあってできた微妙なカクテルの酔い心地をじっくりとどうぞ。
『夢で会いましょう』は、村上春樹と糸井重里がコラボレーションを果たした本だ。
同時代を代表する2人がカタカナの外来語をテーマにショートショートを披露している。
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