日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

映像化不可能と言われていたが映画化されたミステリ小説まとめ

ミステリ小説の中にはトリックの性質がゆえに映像化できないと言われてるものがいくつかある。映像化してしまうとトリックがばれてしまうからだ。
だが、趣向をこらすことによって映像化不可能と言われていたけれど、映画化に成功した作品もある。
この記事では、映像化不可能と言われていたけど、映画化されたミステリ小説を紹介したい。

 

 

 

 

ハサミ男 / 殊能 将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。

どんでん返しの名作として名前が上がる小説といえば、殊能将之の『ハサミ男』だろう。この小説に使われるトリックの性質から、映像化は無理だろうと言われていた。しかし、が主演で映画化されている。

 

 


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イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ

「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。僕がマユに出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。理系学生の僕と、歯科衛生士の彼女。夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説──と思いきや、最後から二つめのセリフ(絶対に先に読まないで!)で、本書はまったく違った物語に変貌してしまう。

どんでん返しの傑作を上げると必ず名前が挙がるのが乾くるみの『イニシエーション・ラブ』だ。最後から二行目までは普通の恋愛小説だけど、最後から二行目で全く違う話になる恋愛ミステリだ。読み終わると、もう一回読み直して作中に散りばめられた伏線を確かめたくなる。最後の展開については男子と女子で感想が分かれそう...。そして、著者の乾くるみが、女ではなく男というのが一番の叙述トリック

 


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 アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂 幸太郎

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!

どんでん返しの名作として名前が挙がることが多いのが『アヒルと鴨のコインロッカー』だ。引っ越してきたアパートで出会った青年に持ちかけられたのは本屋の襲撃だった。1冊の広辞苑を狙った書店襲撃とそれに協力する主人公。事件の全貌が明らかになった時、全てがひっくり返る衝撃に襲われる。衝撃の展開、明かされる真実。現在と過去が繋がるとき、切なさが胸に込み上げてくる。切ない余韻を残す、名作ミステリだ。

 


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ある閉ざされた雪の山荘で / 東野 圭吾

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

ある閉ざされた雪の山荘で』も『仮面山荘殺人事件』と並んで、どんでん返しの名作と言われている。仮想の雪の山荘でのクローズドサークルという異色の設定が使われたミステリー。実際に殺人が起きているのか、それとも芝居なのか分からないという、斬新なクローズドサークルになっている。

『ある閉ざされた雪の山荘で』には映像化不可能なトリックがしけかられているのだ。頑張れば映像化できそうな気はするのだが、小説で味わうほどの衝撃を映像で表現するのは厳しいと思う。どうやって映像化するのか楽しみである。

余談だが、この作品で使用されている「映像化できないトリック」はとあるフランスの前衛文学に使われている。このフランスの小説に使用されたのが初めてなので、ミステリに応用したのは東野圭吾が初めてなのかなと思う。

 


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