2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
梅雨の時は外に出かけにくく、家の中で過ごすことが多いだろう。そんな時は、雨が降るのを眺めながら読書に耽るのが趣があって素敵だと思う。梅雨時に読みたい、雨が印象的な小説を紹介したい。 ノルウェイの森 / 村上 春樹 傘を探す / 佐藤 正午 驟雨 / 吉…
死神の精度 (文春文庫) 作者:伊坂 幸太郎 文藝春秋 Amazon 伊坂幸太郎の『死神の精度』に出てくる死神は雨男だ。死神だから、雨男と言って良いものなのか。雨神とでも書いた方がいいのだろうか。それは置いといて、『死神の精度』を読んでいると、雨男につい…
森見登美彦と万城目学ってセットにして語られることが多い作家だなと思う。 2人とも京大出身で、京都にゆかりのある作家だ。 森見登美彦が好きな人は万城目学も好きそうな感じがする。けれど、強いていうならどちらかの方が好きみたいな派閥が存在するとも思…
『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』や『あらゆる場所に花束が…』に衝撃を受けてから、中原昌也をよく読むようになった。『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』の支離滅裂ながらもイメージを繋いでいく手法はバロウズの『裸のランチ』ようだったし、『あら…
乾くるみは、どんでん返しを仕掛けたミステリが魅力的な作家だ。 本格ミステリのギミックを恋愛小説やSF小説に組み合わせた作風はなかなか珍しい。どんでん返しと恋愛小説を組み合わせた『イニシエーション・ラブ』は、芸能人がオススメしたこともありベスト…
ヘミングウェイはエッセイ『移動祝祭日』で、パリで過ごした青春の日々をこう語っている。 もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ 誰にとっても青春時代は…
ミステリあるいは探偵小説では、謎が提示され探偵がそれを解決するという枠組みを持つ。大体の推理小説はこのような枠組みを持つことは納得してもらえると思う。謎がそのまま放置されたら気持ち悪いだろう。 だが、小説の中にはこの探偵小説の枠組みを崩し、…
地方都市の閉塞感や空気感を描かせたら山内マリコの右に出るものはいないだろう。 昔は尖っていたけど歳を重ねて丸くなったマイルドヤンキーや、画一化された国道沿いの風景など山内マリコが描く地方都市の風景は、地方都市に住んだことがある人なら「分かる…
中原昌也は、日本現代文学の作家の中でも異端の作家だと思っている。 紋切り型の文章・表現の多用、ストーリーではなく規則性に従って小説を進行させる技法など同じような作風を持つ作家は日本にいないのではないかなと思う。近い作風だとヌーヴォー・ロマン…
佐藤正午は現代作家の中でも屈指の小説巧者だ。 文章と構成の両方が素晴らしく、小説巧者としか言いようがない。登場人物たちのウィットに富んだ会話はクセになり、緻密でたくらみに満ちた構成に驚かされる。時系列をシャッフルした構成など、技巧的な構成が…
「ファミリー・アフェア」は村上春樹の短編小説の中でも個人的に大好きな小説だ。僕が「ファミリー・アフェア」が好きな理由は、文章のウィットにある。この小説では、主人公が冗談好きというのもあって、とにかく気の利いた表現が多くて面白い。また主人公…
中原昌也は、現代文学の奇才と言ってもいいくらい、尖った小説を書いている小説家だ。 アンチ・クライマックス、無意味な暴力、規則的な反復、紋切り型の表現と普通の小説とは一味違った現代文学を書いていている。今までに、三島由紀夫賞や野間新人文学賞な…
鮮やかな伏線回収、魅力的なキャラクター、ウィットに富んだ文章で人気を集めている伊坂幸太郎。 巧みすぎる伏線回収には毎回驚かせられる。時系列がバラバラであったりと小説の構成が凝っていて、どんでん返しなどが仕掛けられた小説が多い。 伊坂幸太郎の…