日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

村上 春樹

『街とその不確かな壁』が待ちきれない人におすすめの村上春樹作品5選

街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶり…

村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』を予想する試み

www.nikkei.com 村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。英語でのタイトルは、「The city and its uncertain walls」だ。2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる書下ろし長編である。 街とその不確か…

村上春樹の新刊が発売!『街とその不確かな壁』が楽しみすぎる件について

www.nikkei.com 読書界隈をざわつかせるビックニュースが入ってきた。村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行されることが決定したのだ。新潮社から発表されたこのニュースは本好きに衝撃を与えた。 街とその不確かな壁 …

翻訳家としての村上春樹!ハルキが翻訳した海外小説まとめ

村上春樹といえば『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』、『1Q84』などの小説で知られている日本を代表する小説家だ。 それだけでなく海外小説の翻訳も手掛けており、海外文学の紹介や翻訳を手がけるといった一面も持っている。村上春樹が手掛けた翻…

二本の直線のように交わる人生 / 「石のまくらに」 村上 春樹

村上春樹の小説世界では、すんなりと男女が関係を持つ。それはもう息を吸うように。「石のまくらに」という短編も村上春樹にありがちな男女が流れで関係を持つ系の話だ。この短編は最新刊の短編集『一人称単数』に収録されている。元は文學界に掲載された「…

映画でムラカミワールドを堪能!村上春樹原作の映画まとめ

日本を代表し、世界中で読まれている村上春樹作品。卓越した比喩と、謎めいたストーリー、ムラカミワールドとしか形容のできない唯一無二の世界観、村上春樹の魅力を語り出すとキリがない。 村上春樹作品が持つ雰囲気は映像化するのが難しいと思うのだが、こ…

デタッチメントという観点からの考察 / 「TVピープル」 村上 春樹

「TVピープル」は、タイトル通りTVピープルという不思議な小人が登場する村上春樹の短編小説だ。世にも奇妙な物語にありそうなストーリーだなと思う。短編集『TVピープル』の表題作でもあるので、村上春樹の短編の中でも有名ではなかろうか。 『ノルウェイの…

村上春樹とゴダール

村上春樹作品にはよく映画が登場する。映画そのものが登場するときもあれば、比喩表現として登場するときもある。村上春樹作品は映画から多大なる影響を受けていると言われることも多い。最近では村上春樹と映画の関係について考察した「村上春樹 映画の旅」…

「みみずくん」との戦い / 「かえるくん、東京を救う」 村上 春樹

村上春樹の小説には動物をモチーフとした個性的なキャラクターが登場する。『羊をめぐる冒険』の羊男が有名だろう。あるいは、「かえるくん、東京を救う」に登場する「かえるくん」も印象に残るキャラクターだろう。 村上春樹の「かえるくん、東京を救う」は…

父親と戦争 / 『猫を棄てる 父親について語るとき』 村上 春樹

ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長いあいだ思っていた―――村上文学のあるルーツ 『猫を棄てる 父親について語るときに僕の語ること』は、村上春樹が自らの父について語った…

なぜ村上春樹はノーベル賞受賞に近い作家と言われるようになったのか?

10月になってノーベル賞が発表される季節になった。 こうなると話題になるのが、「村上春樹ノーベル文学賞受賞なるか」だ。テレビでハルキストの集まりが中継され、受賞者発表後に落胆するという光景が秋の風物詩となっている。 毎年ブックメーカー(賭け屋…

一番売れているのは?村上春樹の売上・発行部数ランキング

現代日本文学を代表する作家といえば村上春樹だろう。 その人気は日本にとどまらず、世界中で広く愛されている。村上春樹は日本の現代作家の中で世界で最も翻訳されている作家だと言っても過言ではない。アメリカやロシア、中国、韓国、イスラエル、イギリス…

今年も村上春樹が人気?ブックメーカーを参考にして2022年ノーベル文学賞を予想してみた

news.yahoo.co.jp 「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というニュースを見かける季節になった。 もう10月になったんだなと思う。「村上春樹、今年こそノーベル賞受賞なるか?」というのはもはや秋の風物詩だ。 産経新聞によると、村上春樹は今年も…

喪失からの再生と人生の肯定 / 「ドライブ・マイ・カー」 村上 春樹

村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録された「ドライブ・マイ・カー」は、主人公が亡くなった妻の秘密や自分が負ってきた心の傷に向き合う小説だ。濱口竜介監督によって映画化もされ、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞するという快挙も成し遂げてい…

濃密に漂う死の匂い / 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」 村上 春樹

村上春樹の「ニューヨーク炭鉱の悲劇」は、濃密な死の匂いが立ち込める小説だ。 話の意味するところや、構成の意図するところが分からなくても、作中に漂う「死の匂い」を感じ取った人は多いんじゃないかなと思う。この小説では、主人公の周りで多くの人が死…

考察のお供に!村上春樹の解説本・評論書・研究書を紹介する!

村上春樹作品といえば謎に満ちたストーリーが特徴だろう。 村上春樹作品を読んでみたが、謎が多いために内容がよく分からないという人は多いのではないだろうか。また、村上春樹作品を色んな視点から読み解きたい、もっと深く読み解きたいという人も多いと思…

語りによるトラウマの克服 / 「土の中の彼女の小さな犬」 村上 春樹

村上春樹の「土の中の彼女の小さな犬」をトラウマからの回復という観点で考察・解説した記事です。

小人の謎を考察する / 「踊る小人」 村上 春樹

この記事では、村上春樹の不可思議な短編「踊る小人」を考察・解説していきたい。 この「踊る小人」はファンタジー色が強く、童話テイストなのだが、どこか不気味な雰囲気が漂う小説だ。踊る小人というと「白雪姫」の7人の小人が思い浮かぶのだが、その小人…

村上春樹をオーディオブックで聞こう!Audible(オーディブル)で配信予定の村上作品を紹介!

村上春樹作品が待望のAudible化!『1Q84』、『ねじまき鳥クロニクル』、『騎士団長殺し』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『東京奇譚集』、『神の子どもたちはみな踊る』、『職業と…

春樹のススメ!初心者におすすめしたい村上春樹の短編小説集5選

今や日本を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で読まれている。洒脱な表現や比喩と、巧みなストーリーテリング、魅力的な謎解き要素などの魅力が詰まった村上春樹作品。これから村上春樹を読むという人のために、初心者におススメ…

自分の人生に対する違和感 / 「一人称単数」 村上 春樹

村上春樹の「一人称単数」という短編では、人生の可能性を絞り込んだ先に待ち受けていた一人称単数の世界が描かれている。「一人称単数」で描かれているのは自分の人生に対する違和感だ。

今日もビッグマックを食べた!読むとビッグマックが食べたくなる小説2選

前を向きたい時、僕はビッグマックを食べる。 買った後読めずに積んでいた単行本が文庫化した時、ビッグマックを食べた。 本を買って帰ったら同じ本が本棚にあった時、ビッグマックを食べた。 雨に降られて鞄に入れていた文庫本がふにゃふにゃになってしまっ…

もう一度18歳に戻りたい? / 「32歳のデイトリッパー」 村上 春樹

皆さんは18歳に戻りたいだろうか? 僕としては、戻りたい気もするし、戻りたくない気もする。今の記憶を持って戻ったら、未熟な18歳の僕でももっとマシな立ち回りができたんだろうなと思う。 村上春樹の短編「32歳のデイトリッパー」では、18歳に戻りたいか…

意外すぎる?村上春樹が芥川賞を受賞していないことについて

現代日本文学を代表する作家・村上春樹。その人気は日本にとどまらず、世界中で広く読まれ愛されている。 それもあってか、ノーベル賞が発表される時期になると、「ノーベル文学賞最有力候補」ともてはやされている。まあ、ノーベル文学賞の候補は公表されて…

村上春樹がチノ・デルドゥカ世界文学賞を受賞した件について

www.jiji.com 村上春樹がチノ・デルドゥカ世界文学賞を受賞したと言うおめでたいニュースが入ってきた。 イタリアの文化人の名前を冠した「チノ・デルドゥカ世界文学賞」は「現代のヒューマニズムのメッセージ」を表現する人に授与される賞のようだ。賞金は…

偶然の大地を彷徨う / 「彼女の町と、彼女の緬羊」 村上 春樹

村上春樹の小説によく登場する動物といえば、やっぱり羊だと思う。 タイトルに羊と入る『羊をめぐる冒険』は村上春樹の代表作だ。『羊をめぐる冒険』に登場する羊男は有名なキャラクターで、『羊男のクリスマス』や『図書館奇譚』にも登場している。その他に…

「どれくらい好き?」と聞かれたときの最適解を村上春樹から学ぼう

いきなりだが、男子が女子に聞かれて困る質問ってなんだろうか? いきなり来るのはステーキだけにしてくれという人がいるかもしれないが、考えてみて欲しい。ありすぎて、絞りきれないという人もいるかもしれない。 男子が女子に聞かれて困る質問の個人的第…

過去の輝きが喪失することの哀しさ / 「駄目になった王国」 村上 春樹

小中学校の同級生にとてもサッカーが上手い子がいた。運動神経がとても良くて、走りも早い。ドリブルをすれば誰も止めることができなかった。おまけに顔がカッコよくて、女の子にとてもモテた。まさしく神童だった。 高校からは名のしれた強豪校に推薦で入学…

物語は暗闇を照らす光 / 「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」 村上 春樹

「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」は『夜のくもざる』に収録された村上春樹の超短編小説だ。いや、ショートショートと言った方がいいのかもしれない。 『夜のくもざる』は、村上春樹とイラストレーターの安西水丸がコラボレーションした本…

女性を失うということ /「女のいない男たち」村上 春樹

「女のいない男たち」は村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録された短編小説である。『女のいない男たち』という短編集は、何かしらの理由で女を失ってしまった男たちを描いた、コンセプトアルバムのような作品だ。「女のいない男たち」という短編は…