日々の栞

生活にカルチャーを。本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

村上春樹原作の映画「アフター・ザ・クエイク」が公開される件について

村上春樹の短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作とする映画「アフター・ザ・クエイク」が公開されるみたいだ。

NHKで「地震のあとで」としてドラマ化されていたが、映画ではドラマの各短編をつなぎ編集して劇場公開されるみたいだ。

今回映画化化されるのは、「UFOが釧路に降りる」、「アイロンのある風景」、「神の子どもたちはみな踊る」、「かえるくん、東京を救う」の4作品だ。NHKのドラマは見たが、この短編たちがどのように繋がっていくのかが気になるところだ。

 

この記事では村上春樹原作映画「アフター・ザ・クエイク」について詳しく書きたい。

 

 

村上春樹原作の映画「アフター・ザ・クエイク」が公開予定

www.bitters.co.jp

村上春樹の短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作とした映画「アフター・ザ・クエイク」が、10月3日(金)に公開されることになった。「アフター・ザ・クエイク」は、4月にNHKで放送された「地震のあとで」とストーリーを共有しつつ、主要キャスト4人を結ぶ新たなシーンが加わり、映画版に編集されて公開されるみたいだ。

主演は、ドラマと同様に岡田将生さん、鳴海唯さん、渡辺大知さん、佐藤浩市さんが務める。監督は連続テレビ小説「あまちゃん」などを手がけた井上剛、脚本は「ドライブ・マイ・カー」の大江崇允さんが担当する。ちょうどNHKドラマの「地震のあとで」はDVDにならないのかなと思っていたところなので、まさか映画化するとは思っていなかった。

 

 

『神の子どもたちはみな踊る』とは?

神の子どもたちはみな踊る』は阪神淡路大震災を題材とした村上春樹の短編集だ。「UFOが釧路に降りる」、「アイロンのある風景」、「神の子どもたちはみな踊る」、「タイランド」、「かえるくん、東京を救う」、「蜂蜜パイ」の六作品が収録されている。

『神の子どもたちはみな踊る』という連作短編集は元々「連作『地震のあとで』」という通しタイトルで発表された作品をまとめた短編集である。

地震のあとで (After the quake)」とあるように、『神の子どもたちはみな踊る』は1995年1月17日の阪神淡路大震災に影響を受けて書かれた作品だ。しかし舞台は神戸ではなく、被災地から遠く離れた場所(釧路、茨城、千葉、タイ、東京)が舞台になっており、作品中の設定は1995年2月だ。これは阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件という2つのカタストロフィに挟まれた時期だ。収録された作品には阪神淡路大震災の影響が色濃く見られ、中にはのちに起こる地下鉄サリン事件の影が垣間見える作品もある。

 

NHKでドラマ化されたが、短編「神の子どもたちはみな踊る」だけは以前にアメリカで映画化されている。

 

 

NHKで放送された『地震のあとで』

www.nhk.jp

NHKで『神の子どもたちはみな踊る』の短編を原作とするドラマ『地震のあとで』が放送された。村上春樹ファンとしては非常に楽しめたドラマである。映画ではなくこういうテレビドラマ形式で実写化されるのは初めてではないだろうか。

原作は1995年を舞台にしているのだが、ドラマでは舞台を1995年だけでなく、2025年にいたる設定に置き換え、「今」に続く「地震のあと」の30年を描いていた。

脚本は映画『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允が担当するようだ。各話の主人公は岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が演じる。個人的には、同じく村上春樹の短編小説を原作とした『ドライブ・マイ・カー』にも出演した岡田将生に注目している。各短編のあらすじを確認したい。

 

UFOが釧路に降りる

plutocharon.hatenablog.com

1995年、東京。阪神淡路大震災のニュース映像を見続けていた未名(橋本愛)は、突然家を出ていく。夫の小村(岡田将生)は、妻の行方も分からないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため釧路へ赴く。妻はなぜ出ていき、どこに行ってしまったのか?小村は、釧路で出会った女性たちに奇妙な旅へと導かれていく。原作では、阪神淡路大震災の余波がとある夫婦まで広がっていく様子と、その後に起こる地下鉄サリン事件の影を感じさせるような内容となっていた。NHKのドラマを見ると、岡田将生の揺れない男が揺れていく演技が非常に良かったなと思う。

 

 

アイロンのある風景

plutocharon.hatenablog.com

2011年、茨城。家出して海辺の町に暮らす順子(鳴海唯)は、流木を集め焚き火をするのが趣味の画家、三宅と出会う。順子は、自分と同じくこの町に流れ着いた三宅に惹かれ、いつしか焚き火を共にするようになる。3月11日の明け方、焚き火の大きな炎を前に、神戸にいた三宅の過去が明かされていく。こちらは時代設定が2011年3月11日に変更になっている。東日本大震災がストーリーにどう絡んでくるのか気になるところだ。

 

 

神の子どもたちはみな踊る

plutocharon.hatenablog.com

善也(渡辺大知)は、熱心な宗教団体の中で、母親から「神の子ども」と言われ育ったが、2011年、東日本大震災を機に信仰をすてた。9年後の2020年、善也は、地下鉄の中で、耳の欠けた男を見つける。それは父親かもしれない男の特徴だった。自分の父親とは誰なのか?はたして神とは?善也は男を追いかけていく。こちらは時代設定が東日本大震災後に変更になっている。

 

 

続・かえるくん、東京を救う

plutocharon.hatenablog.com

2025年、東京。銀行を定年退職し漫画喫茶で暮らす片桐(佐藤浩市)の元へ、突然巨大な“かえる”の姿をした「かえるくん」が現れ、間もなく地震が起こるという。「かえるくん」は30年前にも片桐と共に戦い、東京を地震から救ったと言うが、片桐にはまったく身に覚えがない。再び、2人の戦いが始まる。原作のその後を描いた作品になっているようだ。この「かえるくん」はこの短編集の中でもファンタジー色が強い作品なのでどう映像化するのかが非常に気になる。NHKのドラマでは結構リアルなカエルが登場していた。

 

 

「アフター・ザ・クエイク」は2025年10月3日(金)に公開予定

www.bitters.co.jp


映画「アフター・ザ・クエイク」2025年10月3日(金)に公開予定とのことだ。テアトル新宿やシネスイッチ銀座などで公開予定とのことなので、ミニシアター系の映画館で公開されるのかなと思う。今から公開が待ちきれない。気になる人は事前に村上春樹の原作小説を読んでおくのがいいだろう。やれやれ。

 

 

関連記事

plutocharon.hatenablog.com

plutocharon.hatenablog.com

plutocharon.hatenablog.com