三大純文学新人賞の一つである第45回野間文芸新人賞の受賞作が発表された。
受賞作は、朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」の2作だ。
特に朝比奈秋は今回の受賞で新人賞三冠にリーチとなった。
この記事では第45回野間文芸新人賞の受賞作について」紹介したい。
野間文芸新人賞とは?
野間文芸新人賞は純文学の新人賞である。簡単に言うと「芥川賞」や「三島由紀夫賞」と同じような文学賞である。過去の受賞作には村上春樹『羊をめぐる冒険』などがある。
第45回野間文芸新人賞の受賞作を紹介する
今回の候補作品は、朝比奈秋『あなたの燃える左手で』、安堂ホセ『迷彩色の男』、石田夏穂『我が手の太陽』、九段理江「しをかくうま」、小池水音『息』、長島有里枝『去年の今日』の6作品だ。
今回の受賞作は、朝比奈秋「あなたの燃える左手で」と九段理江「しをかくうま」の2作だ。
順に紹介していこう。
あなたの燃える左手で / 朝比奈秋
朝比奈秋「あなたの燃える左手で」は、ハンガリーで白人男性の左手を移植された日本人が共存する道を探っていくという話だ。その中で、ウクライナでの侵略の歴史が語られるというのが意欲的な仕掛けだ。
しをかくうま / 九段 理江
九段理江の「しをかくうま」は、人類の歴史と馬を絡めた壮大な競馬小説だ。
九段理江は文學界新人賞を「悪い音楽」で受賞しデビュー。太宰治の「女生徒」を下敷きにし、世代間ギャップのある母と娘の邂逅を描いた「School girl」は芥川賞候補にもなっている。
こちらはまだ単行本化されていないので、早く出版されるのが楽しみだ。
朝比奈秋の勢いがすごい
野間文芸新人賞を受賞した朝比奈秋だが、今年に入ってから『植物少女』で三島由紀夫賞も受賞している。三島由紀夫賞も純文学三大新人賞の一つだ。
なので、芥川賞を受賞すれば純文学新人賞3冠を達成することになる。凄すぎる…
ちなみに純文学新人賞三冠を達成した男性作家はまだいない。
最近で言うと乗代雄介が純文学新人賞三冠のリーチがかかっている。乗代雄介も残りは芥川賞だけだ。
次の芥川賞候補になる可能性も?!
純文学新人賞三冠にリーチがかかっている朝比奈秋だが次回の芥川賞で候補になる可能性がある。12月号の文學界に「受け手のいない祈り」が掲載されている。文學界に掲載されているということもあって芥川賞候補になる可能性は非常に高いのではないかと思う。
一年で純文学新人賞三冠を達成するという偉業が現実味を帯びてきたように思う。
また九段理江の方も12月号の新潮に新作「東京都同情塔」を発表している。こちらも芥川賞候補になる可能性があるので要チェックだ。
朝比奈秋の躍進に目が離せない。