日々の栞

生活にカルチャーを。本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

雰囲気がリアルすぎる!就活・就職活動が題材の小説まとめ

人生における重大なイベントの一つが就活(就職活動)だろう。

自分も就活を経験したが、就活中はなかなか余裕がなかったなと思う。就活を終えてから就活を題材にした小説を読むと、就活の頃の自分を客観視でき、懐かしい気持ちやらいろんな感情が込み上げている。

前置きが長くなったが、この記事では就活を題材にした小説を紹介したい。

 

 

『何者』 / 朝井 リョウ

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。

就活を題材にした小説として真っ先に上がるのは朝井リョウの『何者』だと思う。『何者』は就活小説の金字塔だ。『何者』は、就職活動を控えた大学生たちの葛藤や自意識を描いた小説である。

物語は、主人公の拓人が同居人の光太郎の引退ライブに参加するところから始まる。彼は、光太郎の元恋人である瑞月や、彼女の留学仲間の理香、そして理香の恋人である隆良と共に、就活を通じて自らのアイデンティティを模索する。登場人物たちはSNS(Twitter)を介して本音を隠し、互いの関係が徐々に変化していく様子が描かれる。この小説は就活小説であると同時にTwitter小説でもある。

就活経験者なら「こういう人就活にいるよな」と思いながら小説を読み進めると思うのだが、そんな読者にブッ刺さってしまう仕掛けがこの小説に仕掛けられている。就活を題材にした小説なのだが、就活生にはあまりにも内容が刺さってしまうので就活中に読むのはお勧めしない。

 

 

『「ワタクシハ」』 / 羽田 圭介

高校生でメジャーデビューを果たしたものの、バンド解散後は売れないギタリストとして燻っていた太郎。大学三年の秋、慌しく動き出す周囲の言動に違和感を覚えながらとりあえず始めたシューカツだったが……。「元有名人」枠などどこにもないというキビしい現実の中、太郎は内定獲得に向けて走り出していく。

ワタクシハ』は、芥川賞作家・羽田圭介による就職活動をテーマにした小説である。主人公の山木太郎は、高校生でギタリストデビューを果たしたが、バンド解散後は売れない日々を送っている。大学三年の秋、彼は就職活動に身を投じる決心をするが、周囲の慌ただしさに違和感を覚える。リアルな描写で、厳しい就職氷河期を生き抜く若者の葛藤を描き出している。内定を求める一方で、夢を追い続ける姿が印象的な作品である。

 

 

『シューカツ!』 / 石田 衣良

1人の女子大生がマスコミ志望の男女7人の仲間たちで「シューカツプロジェクト」を発動した。若者たちの葛藤、恋愛、苦闘を描く青春模様

石田衣良の『シューカツ!』は、就職活動を舞台にした青春小説である。主人公は、現実の自分とネット上の自分とのギャップに苦しみながら、就職活動を通じて成長していく。『シューカツ!』では、就職活動の厳しさや、成功と失敗の背後にある人間関係の複雑さをリアルに表現しているので就活真っ只中の人が読むと辛いところもあるかもしれない。

作品では、他人の意見に流されず、自分自身を見つめ直すことの重要性が強調されている。読者は、主人公の葛藤を通じて、自己理解や自己表現の大切さを考えさせられる作品である。

 

 

『六人の嘘つきな大学生』 / 浅倉 秋成

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。

浅倉秋成の『六人の嘘つきな大学生』は、IT企業の就職試験を舞台にした青春ミステリである。物語は、最終選考に残った六人の大学生が、内定を勝ち取るために協力し合うところから始まる。しかし、選考のルールが変更され、彼らは互いに競い合うことになる。密室での心理戦が繰り広げられ、各キャラクターの隠された過去や真実が次第に明らかになる。緊迫感あふれる展開と巧妙な伏線が特徴で、読者を引き込む作品である。映画化もされた話題作である。

 

 

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