日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

第167回芥川龍之介賞の候補作を紹介する!

第167回芥川賞の候補作が発表された。有力視されていた作品が候補になったり、意外な作品が候補になっていた。芥川賞の候補予想は難しい。

候補作は、小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像 6月号)、鈴木涼美「ギフテッド」(文學界 6月号)、高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(群像 1月号)、年森瑛「N/A」(文學界 5月号)、山下紘加「あくてえ」(文藝 夏号)の5作品だ。

芥川賞を簡単に説明すると、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だろう。純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品となる小説の長さは中編程度が多い。

各候補作品の詳細について紹介したい。

 

 

 

 

小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像6月号)

小砂川チトの「家庭用安心坑夫」は、群像文學新人賞を受賞した作品だ。芥川賞には初めてのノミネートとなる。

 

 

鈴木涼美「ギフテッド」(文學界 6月号)

ギフテッド

ギフテッド

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「ギフテッド」は鈴木涼美の小説デビュー作だ。鈴木涼美は、『「AV女優」の社会学』、『体を売ったらサヨウナラ』などの著作で知られている。

「ギフテッド」は、歓楽街のビルに暮らすホステスの「私」が、重い病に侵された母を看病し始めるという話だ。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出していた。「夜の街」に生きる住人たちを圧倒的なリアリティで描いた作品だ。

 

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高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(群像 1月号)

高瀬隼子の「おいしいごはんが食べれますように」が候補に入ると予想。高瀬隼子は2回目のノミネートになる。

 

 

年森瑛「N/A」(文學界 5月号)

N/A

N/A

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今回の芥川賞候補作の中で一番の話題作が、年森瑛の「N/A」だと思う。今年度の文學界新人賞を受賞した小説だ。しかも選考委員が満場一致で受賞を決定したという話題作だ。

文學界新人賞受賞作がいきなり単行本になるのはかなり珍しいのだが、芥川賞候補作が発表される前に単行本化が決定している。

 

 

山下 紘加「あくてえ」(文藝 夏号)

あくてえ

あくてえ

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山下紘加の「あくてえ」は、90歳の憎たらしいばばあと母親と暮らすゆめの過酷な日常を描いた作品だ。山下紘加は、『ドール』で第52回文藝賞を受賞しデビュー。著書に『クロス』『エラー』などがある。山下紘加は芥川賞初ノミネートだ。

 

 

個人的には、高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」、年森瑛「N/A」あたりで接戦になるのではないかと予想。芥川賞予想についてはしたの記事に書きました。

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芥川賞の選考会は7月20日に行われ、受賞作が決定する。栄光はどの作品に!

 

 

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