日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

夏目漱石の最後の作品『明暗』について紹介

日本の国民的作家といえば夏目漱石だろう。

 

吾輩は猫である』や『坊っちゃん』、『三四郎』、『こころ』などの多くの名作を夏目漱石は生み出した。『こころ』や『夢十夜』は高校の国語で扱われることが多いので、読んだことがある人は多いはずだ。

夏目漱石は三角関係を題材とした小説を数多く残した。後期三部作『彼岸過迄』『行人』『こころ』では人間のエゴイズム知識人の苦悩を描いた。

 

そんな国民的作家・夏目漱石だが、最後の作品が何かご存知だろうか?

夏目漱石の最後の作品は『明暗』という小説だ。この小説は未完で終わっている。

この記事では、最後の小説『明暗』について紹介したい。

 

 

夏目漱石の最後の作品『明暗』

『明暗』は夏目漱石の最後の作品だ 。『明暗』の執筆中に夏目漱石は持病の胃潰瘍が悪化してしまい、そのまま帰らぬ人となってしまった。執筆中に夏目漱石が亡くなってしまったので、『明暗』は未完となっている。主人公の夫婦関係の中に、人間のエゴイズムを追った近代小説だ。漱石の小説中最長の作品である。

また、『明暗』は則天去私の境地を描こうとした作品としても読まれている。平凡に見える夫婦のエゴを「則天去私」の境地から鋭く描いているのだ。

 

 

『明暗』のあらすじ

会社員の津田と妻のお延は、結婚後半年ほど経つ夫婦だ。津田は、勤め先の社長夫人の仲立ちで現在の妻お延と結婚した。話は、津田の痔が再発し、手術を受けることになったところから始まる。

津田は費用の当てがないまま入院してしまうが、夫婦の贅沢を快く思っていない父からは送金を止められてしまう。

平凡な毎日を送る津田には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。

ある日突然津田を捨て、自分の友人に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、秘かに彼女の元へと向かった。

 

 

未完ではあるけれども、漱石作品のその先が描かれた『明暗』。夏目漱石の最後の作品をぜひ読んでみては。

 

 

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