日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

「どれくらい好き?」と聞かれたときの最適解を村上春樹から学ぼう

いきなりだが、男子が女子に聞かれて困る質問ってなんだろうか?

 

いきなり来るのはステーキだけにしてくれという人がいるかもしれないが、考えてみて欲しい。ありすぎて、絞りきれないという人もいるかもしれない。

 

男子が女子に聞かれて困る質問の個人的第1位は、「私のことどれくらい好き?」だ(当社調べ)。異論は認めない。ちなみに第2位は「私と仕事どっちが大事なの」だ。

 

私のことどれくらい好き?」って聞かれたら答えに窮してしまうし、羽生結弦トリプルアクセル並みに頭を回転させても最適解が見つからない。いったいこの場合の最適解は何なのだろう。やれやれ。

最悪のケースは、大喜利に走ってしまいIPPONグランプリが突如として開催されてしまう。

 

ポケモンの人気投票でのコイル並に好き」

 

こんなことをして、スベってしまったら大惨事だ。IPPONグランプリを開催したところで女性にモテることはできない。

ではどうやったらこの難局を乗り越えることができるのだろうか。そのヒントを村上春樹から学びたい。

村上春樹といえば、主人公がめちゃくちゃモテることで有名だ。どれくらいモテるかというと、羽生結弦選手の演技終了後スケートリンクに投げ込まれるプーさんの量ぐらいには女性にモテる。

村上春樹の小説でも、「私のことどれくらい好き」問題が発生している。村上春樹作品の主人公たちは洗練されたセリフでこの難局を乗り越えているのだ。この記事では『ノルウェイの森』や『夜のくもざる』から引用して、「私のことどれくらい好き」問題の最適解を紹介したい。

これを読めばあなたも春樹的な言い回しができるようになるといっても過言。

 

 

ノルウェイの森

まずは『ノルウェイの森』から紹介する。主人公・ワタナベは、直子と緑という二人の女性の間で揺れ動いている。これは主人公のワタナベが緑に「私のことどれくらい好き」問題をふっかけられるシーンだ。ワタナベは緑にどんなセリフを返すのだろう。(出典:村上春樹ノルウェイの森 下』p.154-155)

 

「どれくらい好き?」

「春の熊くらい好きだよ」

 

まさかの「春の熊ぐらい好きだよ」である。斜め上すぎる回答だ。これはどういう意味なのか頭にハテナが5つぐらい浮かぶ。ワタナベはこう続ける。

 

「春の熊?」と緑がまた顔を上げた。「それ何よ、春の熊って?」

「春の野原を君が一人で歩いているとね、向うからビロードみたいな毛なみの目のくりっ とした可愛い子熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、 僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱きあってクローバ の茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」

「すごく素敵」

「それくらい君のことが好きだ」

緑は僕の胸にしっかりと抱きついた。「最高」と彼女は言った。

 

どうなることかと思っていたら、春の熊から物語が始まり綺麗に好きにつながった。すごく気の利いた言い回しだ。緑に、春の熊に対する温かい感情を抱かせるというのがポイントだろうか。これは明日から使える。

 

 

『夜のくもざる』

続いては『夜のくもざる』という本に収録されている「夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について」 というショートショートからだ。

ここでは、少年が少女に「私のことどれくらい好き」と聞かれるのだ。少年はこう回答する。

 

女の子が男の子に質問する。 「あなたはどれくらい私のことを好き?」

少年はしばらく考えてから、静かな声で、「夜中の汽笛くらい」と答える。

少女は黙って話の続きを待つ。そこにはきっと何かお話があるに違いない。

 

少年は「夜中の汽笛」ぐらい好きと答えるのだ。またもや、予想を超える回答。

どういう意味なのか気になってしまう。この後、少年は物語を語り初め、「夜中の汽笛」によって「鉄の箱」に閉じ込められた人間を救うことができると語る。文脈に照らし合わせると、孤独から救い出して見せるといった意味の内容だ。結構奥が深い内容なのでぜひ『夜のくもざる』を読んでみて欲しい。

 

 

まとめ

いかがでしたか?ここまで読んできて、「どれくらい好き?」と聞かれたときの回答のコツはつかめたでしょうか?と、謎にアフィリエイトサイトにありがちな文章でまとめに入ってしまった。

村上春樹から学べたのは、

①まず意味深な単語で回答する(例:春の熊、夜中の汽笛)

②その単語から物語を展開し、共感を誘う

という回答の仕方だ。

こんな気の利いた言い回しができたらモテるんだろうなと思う。

皆さんもぜひ明日から使ってみてください。