日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

90分deシネマ / 90分で観れる雰囲気がおしゃれな映画

映画はストーリーに入り込むことで、驚きや楽しみ、ワクワク、ドキドキ、などの色んな感情を体験できる優れたエンターテイメントだ。だが、時間に追われる現代社会では2〜3時間の映画を見ている余裕がないという人も多いだろう。なので大体90分程度で観れる映画をテーマに合わせて紹介していきたいと思う。今回はセンスが抜群のおしゃれな映画を紹介したい。

 

 

 

  

コーヒーをめぐる冒険(85分)

2年前に大学をやめてから、ベルリンでただ“考える"日々を送っているニコ。恋人の部屋でコーヒーを飲みそこねた朝、ツイてない1日が幕を開ける。車の免許は停止になり、アパートの上階に住むオヤジに絡まれる。行く先々でコーヒーにふられ─と災難は続き、逃げ出した夜の街で、ナチス政権下を生き抜いた老人と出遭う。果たして、ツイてない1日の幕切れは?

タイトルの様にコーヒーを巡り歩いている男の話というわけではないが、行く先々でコーヒーをコーヒーを飲み損ねる主人公・ニコのある不運な1日を描いた映画。ヌーヴェル・ヴァーグや、ウディ・アレン、ジム・ジャームッシュの映画に近い様な雰囲気だ。ベルリンが舞台になっていて、全編モノクロになっていてとてもスタイリッシュなドイツ映画だ。人生のモラトリアム真っ盛りのニコのモノクロームな青春を描いている。劇中の音楽(ジャズ)がすごく良く、モノクロとジャズが相まってすごく雰囲気がいい。人生に時々ある不運な一日を描いた映画であり、色んな人に会う中でニコが自分探しをしていく。登場人物それぞれ何か抱えているけど、観終わった後は決して暗い気持ちにはならない。温かいコーヒーを飲んだ時の様に、心に染み渡る映画だ。

 


映画『コーヒーをめぐる冒険』予告編

 

 

コーヒー&シガレッツ(97分)

コーヒー&シガレッツ(字幕版)

コーヒー&シガレッツ(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

コーヒーを一杯 タバコを一服 会話を楽しむ 人生を楽しむ 疲れたココロとカラダを癒してくれる、至福のリラックス・ムービー。 “コーヒー”と“タバコ”にまつわる愛すべき11のエピソード。コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、様々な登場人物たちが、どうでも良さそうで、良くない、でもひとクセある会話を繰り広げていく・・・。

おしゃれな映画を撮る監督といえば真っ先に思いつくのがジム・ジャームッシュ監督とウディ・アレン監督だ。まずはジム・ジャームッシュ監督の映画を紹介したい。『コーヒー&シガレッツ』はコーヒーとタバコにまつわる短いエピソードをまとめたオムニバス映画だ。コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら登場人物たちがとりとめのない会話を繰り広げる。全編モノクロでセンスが良く、コーヒーを片手に観たくなる映画だ。

 

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ミッドナイト・イン・パリ(94分)

ミッドナイト・イン・パリ(字幕版)

ミッドナイト・イン・パリ(字幕版)

  • オーウェン・ウィルソン
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天才ウディ・アレンが真夜中のパリに魔法をかけた!作家志望のアメリカ人男性が、ひょんなことからヘミングウェイやフィッツジェラルド、ピカソなど、伝説の作家や芸術家たちが集う憧れの1920年代のパリに迷い込んだ…。誰しもをめくるめくおとぎ話の世界へトリップさせる至福のロマンティック・コメディ!

『ミッドナイト・イン・パリ』は、おしゃれ映画の代名詞ウディ・アレン監督の作品だ。ヘミングウェイのエッセイ『移動祝祭日』で描かれている1920年代のパリを舞台にしたロマンチックファンタジーである。

作家志望の主人公・ギルはジャズエイジのパリにタイムスリップしてしまい、色んな芸術家と交流するようになる。タイムスリップしたギルは昔のパリでアドリアナという魅力的な女性に恋をするのだが...。ジャズエイジに活躍したヘミングウェイやフィッツジェラルドやピカソといった芸術家が登場し文化的なセンスに満ちている。この映画がテーマにしているのは「過去へのノスタルジー」だ。過去はいつだって美しい。現在から振り返る過去は多かれ少なかれ美化されているもの。いつでも未来は不安なもので、今は苦しく、過去は甘美な郷愁に満ちているものであることを教えてくれる。

 


映画『ミッドナイト・イン・パリ』予告編

 

 

アニー・ホール(93分)

アニー・ホール [Blu-ray]

アニー・ホール [Blu-ray]

  • 発売日: 2014/07/02
  • メディア: Blu-ray
 

ニューヨークのTVやナイトクラブで活躍する漫談家のアルビー(ウディ・アレン)は、テニスクラブでアニー(ダイアン・キートン)と意気投合し、同棲生活を始めるようになるが、すぐさまお互いの嫌な部分が目立ってみえるようになっていき、そして…。 

次に紹介するのもウディ・アレン監督作品。ウディ・アレン監督の代表作『アニー・ホール』だ。『アニー・ホール』は1977年アカデミー賞の主要4部門を受賞した映画史に残る傑作だ。主人公たちのファッションがレトロでお洒落。観客に突然話しかけたり、アニメーションが入ったり、時系列シャッフルをしたりと、様々な表現技巧が使われており、センス抜群の映画となっている。数々の名作恋愛映画を残してきたウディ・アレンらしく単に甘い恋愛映画ではない。ユーモアでシニカルな会話の中にも、恋愛の本質を突いた台詞が散りばめられている。「恋愛はサメと同じだ。前進し続けないと死んでしまう」

 

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フランシス・ハ(86分)

フランシス・ハ(字幕版)

フランシス・ハ(字幕版)

  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: Prime Video
 

ニューヨークで親友ソフィーとルームシェアをして、楽しい毎日を送る27歳のフランシス。ところが、ソフィーとの同居も解消となり、自分の居場所を探してニューヨーク中を転々とするはめに! 周りの友人たちが落ち着いてきていることに焦りを覚え、もがいて壁にぶつかりながらも前向きに歩き出そうとするフランシス。不器用で大雑把だけどチャーミングな彼女の姿に、誰もが共感を覚え、不思議なタイトル"フランシス・ハ"の意味が明らかとなるラストに胸を打たれる。

 『フランシス・ハ』という不思議なタイトルのモノクロ映画。BGMや雰囲気といいヌーヴェルヴァーグの映画(特にトリュフォー)っぽい。っとあらすじは主人公・フランシスが人生のモラトリアムの中で自分探しをする話。不器用なフランシスが悩みながらも自分の道を模索していく姿は誰もが共感を覚えるだろう。最後の最後に『フランシス・ハ』というタイトルの意味が分かるのだが、意味を知ると不器用なりにも自分の道を進むことを肯定できる様な前向きな気分になれる。タイトルの意味が気なる人は是非観てみて。

 


Frances Ha Official Trailer #1 (2013) - Noah Baumbach Movie HD

 

 

ヴァージン・スーサイズ(98分)

ヴァージン・スーサイズ [DVD]

ヴァージン・スーサイズ [DVD]

  • 発売日: 2001/02/02
  • メディア: DVD
 

1970年代、アメリカ郊外の静かな住宅地。両親は保守的で厳しいが、何不自由なく暮らす美しい5人姉妹の末娘が自殺を図る。そしてその死から1年も経たないうちに、残りの姉妹もすべて自殺してしまう…。姉妹に憧れていた少年たちが回想する形を取りながら、少女の危うさとエロチシズムを繊細な映像と音楽で描いている。   

 ガーリーな世界観が魅力のソフィア・コッポラ監督のデビュー作。10代の女の子の儚さや死への憧憬が描かれていて、BGMといいアンニュイな雰囲気を醸し出している。キルティン・ダンスト演じるラックスがガーリーかつ大人びていて魅力的だった。

 

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シェルブールの雨傘(91分)

シェルブールの雨傘(字幕版)

シェルブールの雨傘(字幕版)

  • 発売日: 2014/10/01
  • メディア: Prime Video
 

フランス北西部の港町シェルブールで、ささやかだけれど美しい恋を育む自動車修理工の若者ギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴ。恋に恋する年頃のジュヌヴィエーヴに未亡人の母エムリー夫人は心配顔。出かけるたびに嘘をつきながらもジュヌヴィエーヴはギイと出会う時間が嬉しかった。だがある日、アルジェリア戦争の徴集礼状がギィに届き、二人は離れ離れとなってしまい ―。

フランス映画の黄金期であったヌーヴェルヴァーグ を代表するミュージカル映画。全編にわたってセリフが歌になっているという珍しい特徴がある。この映画のおしゃれポイントは、何と言っても色彩のカラフルさとミシェル・ルグランの音楽にある。豊かな色彩と音楽が、悲劇的なストーリーに彩りを添えている。 

 

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勝手にしやがれ(95分)

勝手にしやがれ [Blu-ray]

勝手にしやがれ [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray
 

警官を殺してパリに逃げて来た自転車泥棒常習犯ミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとの自由な関係を楽しんでいた。ある日、彼の元に警察の手が及んでくる。新聞に「警官殺し逃走犯」として大きく顔写真が載ったのだ…!ヌーヴェル・ヴァーグの雄ジャン=リュック・ゴダール監督が贈る、奔放に生きる若者たちの姿を描いた傑作青春映画。

ヌーヴェルヴァーグ を代表するジャン=リュック・ゴダール監督の 代表作。刹那的に生きる若者たちの姿を描いた青春映画だ。ジャンプカットといった表現技法が使われており、センスが溢れる映像になっている。

 


映画『勝手にしやがれ』予告編

 

 

女は女である(84分)

女は女である

女は女である

  • メディア: Prime Video
 

巨匠ジャン=リュック・ゴダールの初カラー映画となった、鮮やかな色彩とミシェル・ルグランの音楽で男女の恋のもつれを描く、幸福感あふれるミュージカルコメディ。

 ゴダールのミュージカル映画。鮮やかな色彩とミシェル・ルグランの音楽がおしゃれ。また独特の映像表現もセンスがある。

 

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ビフォア・サンライズ(108分)

ユーロトレインの車内で出会った二人がお互いに心惹かれ合い、一緒に過ごした別れの時間までの14時間を描いた、リチャード・リンクレイター監督が贈るラブ・ロマンス。

この映画は100分なのだが、おしゃれすぎる映画なので許してほしい。『ビフォア・サンライズ』は電車で出会った男女が惹かれ合い一緒に過ごした一晩を描いた映画だ。互いの好意が恋に発展していく様子が描かれている。旅行先で出会った男女が色々な会話をしながら夜通し散歩するというシチュエーションが既におしゃれ。二人が交わす会話の内容も些細なことから人生について、哲学的な話題と多岐にわたる。一度でもいいからこんなシチュエーションを体験していみたい。

 


Before Sunrise - Original Theatrical Trailer

 

 

 以上、90分で観れる雰囲気がおしゃれな映画の紹介でした。

 

 

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