日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

現実離れしたトリックが魅力!おすすめのバカミス12選

バカミスというミステリのカテゴライズをご存知だろうか?

この「バカ」だが、決して小説をバカにした意味合いではなく、「そんなバカな!」という驚きの意味を込めたものだ。思わず「そんなバカな!」と驚いてしまうほどの意外性のあるトリックや、現実性をガン無視したアクロバティックなトリックが特徴だ。人によっては怒ってしまうかもしれない。

「普通のミステリじゃ満足できない」「意外性のあるトリックに驚きたい」という人にこそバカミスを薦めたい。バカミスは意外性・娯楽性を過剰に追求した結果、ありえない展開が多々起こるがそこは多めにみてほしい。

普通のミステリに満足できなくなり、バカミスをこよなく愛している僕が厳選したバカミスを紹介したい。

 

 

『スティームタイガーの死走』 / 霞 流一

C63―それは戦時に設計されるも、幻に終わった蒸気機関車。玩具メーカーの創業者、小羽田伝介は会社の宣伝のためにC63を完全再現させた。しかも本物の中央本線で東京まで走らせる計画を発表する。その記念すべきお披露目の日、出発駅で変死体が発見される。不穏な空気の中走り出したC63だが、間もなく虎の覆面を被った二人組によって乗っ取られ、C63は忽然と消失してしまった!! 

怒濤の展開と驚愕のラストが度肝を抜く、ノンストップ本格推理!!

霞流一の『スティームタイガーの死走』は、幻のC63型蒸気機関車を巡って起こる不可解な事件を描いたバカミスだ。作者の霞流一はバカミスで有名で、数多くの名作バカミスを書いている。

玩具メーカーの創業者、小羽田は幻のC63型蒸気機関車を完全再現させ、本物の中央本線で東京まで走らせるイベントを開催する。だが、そのイベントに待ち受けていたのは不可能犯罪のオンパレードだった。人間消失に列車消失、謎の死体と次々に不可解な事件が多発する。その事件の裏には驚愕のトリックが隠されていた。

『スティームタイガーの死走』では、人間消失に密室殺人、列車消失と本格ミステリを彩る不可解な事件がてんこ盛りとなっている。怒涛の展開と驚愕のトリックのオンパレードはまさにノンストップ本格推理。機関車消失のトリックは予想の斜め上、遥か頭上過ぎた。また、メイントリックだけではなく、読者のハードルを軽く超えるくらいには色々な仕掛けが施されていて、全て見破るのは不可能だろう。実に濃厚なバカミスである。

 

 

『六枚のとんかつ』 / 蘇部 健一

空前絶後のアホバカ・トリックで話題の、第3回メフィスト賞受賞作がついに登場! 新作『五枚のとんかつ』も併録。またノベルス版ではあまりに下品だという理由でカットされた『オナニー連盟』もあえて収録した、お得なディレクターズ・カット版。トリックがバレないように、必ず順番にお読みください。

蘇部健一の『六枚のとんかつ』は、ミステリ史に燦々と輝くバカミスだ。『六枚のとんかつ』はメフィスト賞受賞作品だが、この作品がメフィスト賞のある種のイロモノ路線を規定したと言われている。

ダジャレというかとんちの効いたミステリになっていて、空前絶後のアホバカ・トリックで話題というのも頷ける。

 

 

『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』 / 倉阪 鬼一郎

「4月9日(金)午前0:20にお越しください。お目にかかれるときを楽しみにしております。黒鳥館主人」招待状を手に東亜学芸大生・西大寺俊は黒鳥館と名づけられた壮麗な洋館に赴く。招待客は全員無作為に選ばれたという。ウェルカムドリンクを主人から受け取った西大寺は、館内の完全な密室で怪死!!呪われた館を舞台とした凄惨な連続殺人の火蓋が切って落とされる!

バカミスで有名な倉阪鬼一郎の作品の中でも特に傑作と言われるのが『三崎黒鳥白鳥館連続密室殺人』だ。この作品は、青山ブックセンターで開催された世界バカミス☆アワードで受賞作となっている。

脱力必死のトリックは、人によっては壁に本を投げつけたくなるかもしれない。作者の頑張る方向性が間違っているのではと思うのは私だけだろうか。

 

 

『四神金赤館銀青館不可能殺人』 / 倉阪 鬼一郎

花輪家が所有する銀青館に招待されたミステリー作家・屋形。嵐の夜、館主の部屋で密室殺人が起きる! さらに続く不可能殺人。一方、対岸にある四神家の金赤館では、女の「殺して!」という絶叫を合図に凄惨な連続殺人の幕が切って落された! 両家の忌まわしい因縁が呼ぶ新たなる悲劇! 二つの館が響き合うかのような死の連鎖。鬼才が送る、驚天動地のトリックとは!?

またまた倉阪鬼一郎の作品を紹介したい。『四神金赤館銀青館不可能殺人』も負けず劣らずバカミスの傑作だ。

金赤館と銀青館という2つの館で起こる事件を同時並行で描いたミステリとなっている。金赤館と銀青館は湾で隔てられているのだが、被害者の死体が有り得ない飛行をするという事件が起こる。このトリックもかなりバカミスレベルが高いものである。バカミス好きなら必ず読んでほしい名作だ。

 

 

『黒い仏』 / 殊能 将之

9世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、1つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える2つの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する2つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)は、導き出せるのか? 賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作

殊能将之の『黒い仏』もバカミスの名作だ。殊能将之の代表作といえばどんでん返しで有名な『ハサミ男』だろう。だが、驚愕の展開という意味では『黒い仏』も負けていない。方向性はかなり異なるが。衝撃度でいえば『ハサミ男』よりも『黒い仏』の方が大きいのではないだろうか。あまりの超絶展開ゆえに、本を壁に投げつけてしまう人がいると思う

唐の秘宝と身元不明死体。無関係に見える2つの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡の裏では2つの力が跋扈していた。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)は、解決できるのか?

黒い仏』のどこにバカミス要素があるのかというと、中盤から明かされる真相に問題がある。普通のミステリでは起こらないことが起こってしまうのだ。ミステリが好きな人ほど最後の仕掛けが楽しめるだろう。だんだん雲行きが怪しくなってきて、「この小説ミステリとして成立するのか?」と思いながらページを進めて行くと斜め上すぎる展開が待ち受けている。人によっては怒りそうな人もいそうだ。とにかく、斜め上すぎる展開とクセの強さは保証します。個人的には『ハサミ男』よりも『黒い仏』を推したい。

 

 

『名探偵の掟』 / 東野圭吾

完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。

ミステリで有名な東野圭吾もクセが強いミステリを過去に書いている。その小説が『名探偵の掟』だ。『名探偵の掟』は、ミステリ界隈の身内ネタみたいな内容だ。

ミステリは様式美や形式美を重んじるジャンルで、クローズドサークルや密室殺人、ダイニングメッセージなど本格ミステリ特有のモチーフは頻繁に使用されている。そんな本格ミステリの形式を大胆にパロディして見せたのが『名探偵の掟』である。

密室や見立て殺人などのミステリの「お約束」にどんどん切り込んでパロディ化しているのだ。東野圭吾先生ここまでやっていいんですか?と読者の側が心配になってしまう。ミステリ界隈の自虐ネタやブラックユーモアが面白くて、読んでいると結構笑ってしまうので電車で読むのは気をつけて。

 

 

『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』 / 早坂 吝

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は? そしてこの作品のタイトルとは? 「タイトル当て」でミステリランキングを席巻したネタバレ厳禁の第50回メフィスト賞受賞作

世にも珍しいタイトル当てのミステリが早坂吝の『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』だ。メフィスト賞を受賞というだけで身構えるのだが、この作品は予想を斜め上に超えてくる。

「タイトルが何か当てるミステリなんてクセが強いな」と思うかもしれないが、問題はそこではない。終盤にある事実が明かされるのだが、それを知ってしまうとタイトル当てとかどうでも良くなってしまう。当たり前すぎる前提が崩れる瞬間は呆気にとられる。

 

 

『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』 / 早坂 吝

続いても早坂吝の作品で、紹介したいのは『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』だ。この小説は短編集になっているのだが、各短編のトリックがとてもアクロバティックだ。

この短編集がバカミスだと思うのは、各短編の繋げ方だ。よくある短編集としては連作になっていて全て内容が繋がっているというのが一般的かなと思う。だが、この作品では想像をしたこともないような方法で各短編を繋いでみせるのだ。トリックは超絶技巧なのだが、頑張る方向が斜め上なのであっけに取られる。

 

 

『斜め屋敷の犯罪』 / 島田 荘司

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!?

本格ミステリの重鎮・島田荘司も現実離れしたトリックを披露している。特に現実離れした大掛かりなトリックといえば『斜め屋敷の犯罪』だろう。

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館「斜め屋敷」で起こる連続殺人。クリスマスにこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見される。人々がパニックになる中、さらに続く惨劇。探偵・御手洗潔はこの事件をどのように解決するのか。

建物自体が傾いているという不思議な館で起こる連続密室殺人事件。色んな不可能犯罪が組み込まれており、読者への挑戦状もあり、まさに本格ミステリギミックを数多く搭載した小説だ。メインのトリックは、誰がこんなの分かるんだと思うような奇想天外のアクロバット技。うん、これは分からないわ。屋敷とトリックの融合。このトリックが解けた人はいるのだろうか。
 
 

『北の夕鶴2/3の殺人』 / 島田 荘司

北の大地で壮大なトリックが展開される傑作ミステリー。 『占星術殺人事件』『奇想、天を動かす』などと並び称される名作! 離婚した妻・通子から掛かってきた一本の電話。 ただ、「声が聞きたかった」と言うだけの電話を不審に思った吉敷は、通子を追って上野駅へ向かう。

島田荘司作品でトリックが壮大すぎると言われるのが『北の夕鶴2/3の殺人』だ。この小説は島田荘司の隠れた名作だ。壮大すぎるトリックには笑うしかない。

 

 

『消失!』 / 中西 智明

高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全犯罪に名探偵新寺仁が挑む!ミステリマニアの間で伝説と化していた本書が今また甦る。

中西智明の『消失!』は、ミステリファンの間で話題になっていたミステリだ。驚愕すぎるトリックが最後読者に襲いかかる。

 

 

『屍の命題』 / 門前 典之

とある湖畔の別荘に集められた6人は、やがて全員が死体となって発見された。なぜか死亡時刻も死因もバラバラだった。「犯人」は何を意図していたのか。究極の「雪の山荘」ミステリついに刊行。

「雪の山荘」でどんどん人が死んでいくとなると『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせるが、この小説はかなり馬鹿げたトリックを使用している。

 

 

以上、おすすめのバカミスの紹介でした。

この中のうち『六枚のとんかつ』、『三崎黒鳥白鳥館連続密室殺人』、『黒い仏』、『消失!』など、いくつかの作品はAmazon unlimitedに登録すると読めるので、気になる人はチェックしてみて。(2022年11月30日時点)

 

 

 

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