日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

2017-01-01から1年間の記事一覧

パリは移動祝祭日 / 『移動祝祭日』 ヘミングウェイ

パリは移動祝祭日 もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ 誰にとっても青春時代はかけがえのないもので、そこでの経験が自分を支える大きなピースになる。…

村上春樹『騎士団長殺し』と又吉直樹『劇場』で新潮社の勢いが止まらない

調子いいんじゃない!?新潮社 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/02/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (31件) を見る 騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹 出版社/メーカ…

同じ歩調で年老いていくことの幸せさ / 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 F・スコット・フィッツジェラルド

時間を逆行して生きるベンジャミン・バトンの数奇な人生 老人として生まれて、どんどん若返っていき、最後には赤ちゃんとなって死んでいく・・・年を取るたびに若返るなんていいじゃない!って思う人もいるだろう。しかし事態はそう簡単じゃない。人と同じ歩…

哲学的ゾンビ / 『ゾンビ』 村上春樹

最近どこの本屋に行っても村上春樹の『騎士団長殺し』が平積みされている。本が売れないと言われる中、ここまで売れる村上春樹は本当にすごいなと思う。小説の発売に並ぶというのはほとんどない気がする。村上春樹以外だとハリー・ポッターぐらいかな。純文…

時の洗礼を受けていないものを読むな/『読書について』

核心をついている読書論 読書とは他人に考えてもらうことで、読書をしすぎると自分で考えなくなっていく。一見するとそんなことはないだろうと思えるが、実は読書の核心を突いている。この『読書について』は多読を推奨するのではなく、思考停止になっている…