大人気ディズニー作品『ズートピア』の続編が12月5日に公開された。
『ズートピア』が話題を集めたのは、その愛らしいビジュアルの裏に、現代社会が抱える「偏見」や「差別」、「ステレオタイプ」という重いテーマが描かれていた点である。
『ズートピア』は、肉食動物と草食動物の対立を、人間世界における人種差別や偏見のメタファーとして描いていた。うまくポリコレ的なメッセージをストーリーに取り込んだ作品だった。
続編の『ズートピア2』では前作では登場しなかった爬虫類が登場し、ズートピア。今回はどんなメッセージ性が込められているのか。
また、作品自体のメッセージ性に加え、ジュディとニックのコンビがお互いの価値観でぶつかり成長していく姿は非常に素晴らしかった。
個人的には今年見た映画の中でベスト3に入るぐらい良かったな。
この記事では『ズートピア2』のネタバレ感想・考察を書いている。ネタバレが含まれるので、未視聴の人は気をつけて。
ズートピアとは?
『ズートピア』は、人間が存在せず、進化した動物たちが高度な文明社会を築いて共存する世界を描いたディズニー作品だ。2016年に公開され、非常に人気を集めた作品だ。
舞台は、誰もが夢を叶えられるとされる大都会ズートピア。主人公のジュディは、正義感が強く「世界をより良くしたい」と願うウサギの女性だ。彼女は努力の末、ウサギとして初の警察官になるが、警察組織は大型動物が中心であり、小さく可愛らしい彼女は周囲からの偏見に晒され、重要な捜査を任せてもらえない。
そんな中、彼女はひょんなことから詐欺師のキツネ、ニックと出会う。夢を信じるジュディと、過去のトラウマから夢を諦めた現実主義者のニック。種族も性格も正反対の「凸凹コンビ」は、ズートピアを揺るがす肉食動物の連続行方不明事件の捜査に乗り出すことになる。
『ズートピア』の面白いところは、ユーモア溢れるエンターテインメント作品でありながら、その根底には「差別」「偏見」「ステレオタイプ」といった現代社会が抱える深刻な問題が鋭く描かれているところだ。
互いの違いを認め、自分の中にある無意識の偏見と向き合うことの大切さを説くこの物語は、子供のみならず大人にこそ響く、深いメッセージ性を持った傑作である。ディズニー作品でここまでメッセージ性が強い作品はないんじゃないかな?
ズートピア2のあらすじ
『ズートピア2』では、前作から1週間ほど時間が経ち、ジュディとニックは正式にズートピア警察の一員として活躍している。ジュディとニックが正式なバディとして活動開始するものの、手柄を立てようと躍起になってミスを犯し、ボゴ署長からパートナー・セラピーへの参加を命じられる。
冒頭の事件の中で、ジュディはズートピアにいるはずのないヘビがズートピアに侵入していることに気づく。ヘビのゲイリーが日記を狙っていることに気づいたジュディとニックはリンクスリー家が主催する100周年記念ガラに潜入する。リンクスリー家はズートピアの繁栄を支える「気候制御壁(Weather Walls)」の発明者だ。そこでヘビのゲイリーと遭遇し、会場は大混乱となる。混乱の中でジュディとニックはゲイリーの仲間だと勘違いされ、逃走する羽目になる。
捜査の中で、ジュディとニックは価値観の対立から喧嘩してしまい、事故もあって離れ離れになってしまう。
ジュディはゲイリーとリンクスリー家のパウバートに助けられる。パウバートは蔑ろにする家族に一泡吹かせるためにゲイリーに協力していたのだ。
ジュディがゲイリーを捜索する中で、ズートピアの歴史に隠された暗い真実を知る。ゲイリーたち爬虫類がかつて住んでいたレプタイル渓谷の上にツンドラ・タウンが建設されていたのだ。
ズートピアの繁栄を支える「気候制御壁(Weather Walls)」の発明者が、実はリンクスリー家の祖先エベネーザではなく、ヘビのアグネス・デ・スネーク(ゲイリーの曾祖母)であったことが判明する。エベネーザはアグネスの発明を盗み、彼女に殺人の濡れ衣を着せ、爬虫類全体を危険分子として都市から追放したのである。ジュディたちはリンクスリー家による歴史改竄を知る。
リンクスリー家の悪事を暴くために、アグネスの特許書を手に入れようと気候制御壁に向かうのだが、仲間だと思っていたパウバートの裏切りに遭遇する。パウバートは家族に認めてもらうために特許書を探し、処分することが目的だった。ジュディが死の危機に瀕するるものの、間一髪でニックが助けに来る。ジュディとニックは和解し、リンクスリー家の悪事は暴かれ、ズートピアにまた平和が訪れるのであった。
この続編では、ズートピアの多様性や社会問題、特に植民地主義のテーマが扱われ、観客に深いメッセージを伝える。ジュディとニックの冒険を通じて、彼らはただのバディではなく、互いに成長し合う存在であることが強調される。
前作で描かれなかった 「爬虫類」の登場
前作『ズートピア』は、肉食動物と草食動物の対立を、人間世界における人種差別や偏見のメタファーとして描いていた。うまくポリコレ的なテーマをストーリーに取り込んだ作品であった。
前作では「草食動物」と「肉食動物」が登場し、「偏見」や「差別」という問題が取り上げられていた。ただ、『ズートピア』ではあくまで同じ「哺乳類」しか登場しなかった。
『ズートピア2』では、『ズートピア』では登場しなかった「爬虫類」が登場した。作中で明らかになるが、ズートピアができる前の土地には爬虫類も住んでいた。
しかも、ズートピアの繁栄を支える「気候制御壁(Weather Walls)」の発明者は、実はリンクスリー家の祖先エベネーザではなく、ヘビのアグネス・デ・スネークだった。ズートピアは爬虫類の発明が元となってできた都市なのだ。
ただ、リンクスリー家が富を独占するために、アグネスから特許を奪い取り、爬虫類自体も『ズートピア』から追放した。理想郷として描かれるズートピアだが、根本には先住民族(爬虫類)からの搾取とその追放があったのだ。
前作では「偏見」や「差別」がテーマとして上がっていたが、今作では「植民地主義」や「歴史修正」が「先住民族からの搾取」がテーマになっているのかなと思う。
テーマは「植民地主義」や「先住民族の搾取」?
『ズートピア2』では、リンクスリー家が元々住んでいた爬虫類から土地を奪い追放する様子が描かれていたが、現実世界でいうところの「植民地主義」や「先住民族の搾取」に当たるんじゃないかなと思う。
アメリカの国の成り立ちを考えてみると、アメリカ建国時にはヨーロッパ人が入植した際には、ネイティブアメリカンは自らの土地を追われることになった。アメリカ政府は、彼らの権利を無視し、土地を強制的に取り上げる政策を進めた。これにより、多くの部族が移住を余儀なくされ、文化や社会が破壊された。ズートピア=アメリカという解釈で考えると、ヨーロッパ人=リンクスリー家、ネイティブアメリカン=爬虫類という解釈が成り立つんじゃないかなと思う。
他に類似する例を考えると、現在のイスラエル・パレスチナ問題のことも示唆しているように思える。毎回『ズートピア』は重いテーマを寓話的に描いているなと思う。
『ズートピア3』を示唆するラストシーン
『ズートピア2』のラストシーンには、続編を匂わせる描写があった。エンドロール後にジュディがニンジンペンを再生し続けるシーンがあるのだが、最後に上から羽根が落下していた。これは、『ズートピア3』ではこれまで描かれてこなかった鳥類に焦点が当たることを暗示しているのかなと思う。いつになるか分からないが、ぜひ『ズートピア3』を見てみたいな。
