日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

中国のカフカ!?現代中国文学を代表する作家・残雪について紹介する

残雪 (Can Xue)という作家を知っているだろうか?

中国を代表する現代作家で、非常に独創的な作風が特徴だ。その独創的な作風から、カフカやピンチョンと並び称される作家である。

日本では知名度は低いかも知れないが、現代中国文学を代表する残雪を紹介したいと思う。

 

 

 

残雪(Can Xue)ってどんな作家?

残雪(Can Xue)は中国を代表する現代作家だ。

名前の読み方だか、残雪(ツァンシュエ)と読むらしい。ペンネームの由来は、「まわりの雪が消えても最後まで融けずに残っている冷たい雪」であると本人が語っている。

残雪は独創的な作風が特徴の作家で、その作風はカフカ不条理文学の系譜に連なると言ってもいいかもしれない。その作風故か、カフカやピンチョンと並び称されることが多い。

最近ではノーベル文学賞を受賞するのではと注目を集めている。残雪が最近注目を集める理由としては、長編小説「新世紀愛情故事」のスウェーデン語版が出版されたためだ。「新世紀愛情故事」はスウェーデンで出版されると、同国の多くのメディアが取り上げ、スウェーデン最優秀翻訳文学賞の最終候補にも選ばれた。残雪がノーベル賞を取る日も近いかもしれない。

 

 

残雪の作品を紹介する

それでは、残雪の作品を紹介しよう。

日本ではいくつかの残雪作品が邦訳されている。『黄泥街』、『最後の恋人』などがある。ぜひ読んでみてほしい。

 

 

黄泥街

黄泥街は狭く長い一本の通りだ。両側には様々な格好の小さな家がひしめき、黄ばんだ灰色の空からはいつも真っ黒な灰が降っている。灰と泥に覆われた街には人々が捨てたゴミの山がそこらじゅうにあり、店の果物は腐り、動物はやたらに気が狂う。この汚物に塗れ、時間の止まったような混沌の街で、ある男が夢の中で発した「王子光」という言葉が、すべての始まりだった。その正体をめぐって議論百出、様々な噂が流れるなか、ついに「王子光」がやって来ると、街は大雨と洪水に襲われ、奇怪な出来事が頻発する。あらゆるものが腐り、溶解し、崩れていく世界の滅びの物語を、言葉の奔流のような圧倒的な文体で語った、現代中国文学を代表する作家、残雪(ツァンシュエ)の第一長篇にして世界文学の最前線。

 

蒼老たる浮雲

異様なイメージと夢の中のように支離滅裂な出来事の連鎖が衝撃を呼ぶ中篇『蒼老たる浮雲』に、初期短篇「山の上の小屋」「天窓」「わたしの、あの世界でのこと」を収録。アヴァンギャルドな文体によって既存の文学の枠組を打ち破り、現代中国の社会と精神の構図を深い闇の底から浮かび上がらせた残雪(ツァンシュエ)作品集。

 

カッコウが鳴くあの一瞬

わたしは駅の古いベンチに横になっていた。わたしにはわかっている、カッコウがそっと三度鳴きさえすれば、すぐにも彼に逢えるのだ。「カッコウはもうじき鳴く」とひとりの老人がわたしに告げた……。姿を消した“彼"を探して彷徨い歩く女の心象風景を超現実的な手法で描いた表題作。毎夜、部屋に飛び込んできて乱暴狼藉をはたらく老婆の目的は、昔、女山師に巻き上げられた魔法の靴を探すことだった……「刺繡靴および袁四ばあさんの煩悩」ほか、全九篇を収録。

 

 

突囲表演

突囲表演 (河出文庫)

突囲表演 (河出文庫)

  • 作者:残雪
  • 河出書房新社
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若き絶世の美女であり皺だらけの老婆、煎り豆屋であり国家諜報員――X女史が五香街(ウーシャンチェ)をとりまく熱愛と殺意の包囲を突破する!世界文学の異端にして中国を代表する作家が紡ぐ想像力の極北

 

最後の恋人

残雪が2005年に発表した注目の長篇小説。服装会社営業部長のジョーは本の虫。様々な物語が頭の中で充満している。現実と読書が次第に浸透する中、何かを探し始める――。