日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』が映画化される件について

happinet-phantom.com

東野圭吾の小説は数多く映画化されているけれど、中には「この小説は絶対映像化できないだろう」と思うものがいくつかある。

その一つが『ある閉ざされた雪の山荘で』だ。『ある閉ざされた雪の山荘で』は東野圭吾のどんでん返しの名作としてあげられる作品である。この作品は映像化できないだろうと思っていたのだが、なんと2024年に映画化されるようだ。これにはかなり驚いた。

主演は、重岡大毅(ジャニーズWEST)だそう。隠遁して読書生活している私にとってはどんな俳優なのかはわからない。きっと有名な人なのだろう。

この記事では、映像化される『ある閉ざされた雪の山荘で』について紹介したいと思う。

 

 

 

『ある閉ざされた雪の山荘で』ってどんな作品?

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

東野圭吾の『ある閉ざされた雪の山荘で』はどんでん返しの名作として知られる小説だ。『仮面山荘殺人事件』と並んで、東野圭吾のどんでん返しの名作と言われている。

ある閉ざされた雪の山荘で』は、孤立した環境に閉じ込められ、どんどん人が死んでいくというクローズドサークルもののミステリだ。孤島や吹雪で閉じ込められた山荘でどんどん人が死んでいく系のやつだ。

だが、『ある閉ざされた雪の山荘で』は普通のクローズドサークルと違って、かなり捻られた設定が使われている。それは「仮想の雪の山荘でのクローズドサークル」という異色の設定だ。

ここでの仮想というのは、実際に雪が降っているわけではなく、演じる劇の設定として雪が降っているということだ。舞台の山荘にはオーディションに合格した男女7人が集められる。この7人が舞台の練習をするのだ。

雪は降っていないのだが、舞台の練習として雪で閉じ込められたという設定を登場人物たちが受け入れている。

雪の山荘に閉じ込められると起こりがちなのだが、中盤ではどんどん仲間が消えていく。死体が見つからず、舞台の練習ということもあって、実際に殺人が起きているのか、それとも芝居なのか分からないのである。

このように『ある閉ざされた雪の山荘で』は斬新なクローズドサークルになっている。

 

 

映像化できないトリック

このようなあらすじを聞くと「簡単に映像化できそうじゃないか」と思うかもしれない。

だが、『ある閉ざされた雪の山荘で』には映像化不可能なトリックがしけかられているのだ。頑張れば映像化できそうな気はするのだが、小説で味わうほどの衝撃を映像で表現するのは厳しいと思う。どうやって映像化するのか楽しみである。

余談だが、この作品で使用されている「映像化できないトリック」はとあるフランスの前衛文学に使われている。このフランスの小説に使用されたのが初めてなので、ミステリに応用したのは東野圭吾が初めてなのかなと思う。

 

 

映像化できないと言われていたが映像化された小説

『ある閉ざされた雪の山荘で』のように、映像化できないと言われていたけど映像化された小説はいくつかある。少し紹介してみようと思う。

 

乾くるみの『イニシエーション・ラブ』はどんでん返しの名作として知られ、映像化不可能な作品として知られていた。だが、驚くべき手法を使って映像化されている。

 

 

殊能将之の『ハサミ男』も映像化できない作品として知られていたが、映画化されている。

意外と映画化できるものなんだな。

 

 

『ある閉ざされた雪の山荘で』は2024年新春に公開

happinet-phantom.com

『ある閉ざされた雪の山荘で』は2024年新春に公開予定とのことだ。どのような映像表現で、あのトリックを再現するのか非常に楽しみだ。

 

 

plutocharon.hatenablog.com

plutocharon.hatenablog.com