日々の栞

生活にカルチャーを。本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

ミステリ界の一発屋!?一作だけの幻のミステリ作家まとめ

一時的にのみ活躍を見せた歌手や芸人を一発屋と読んだりする。一発屋というと芸人のイメージが強いかもしれない。

だが、ミステリ作家にも一発屋はいる。インパクトのあるトリックでデビューしたものの、その後の作品が続かない作家のことだ。

この記事では、デビュー作で爪痕を残したものの次回が出ていない作家を紹介する。

 

 

消失! / 中西 智明

高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全犯罪に名探偵新寺仁が挑む!ミステリマニアの間で伝説と化していた本書が今また甦る。

ミステリにおける一発屋を考えた時に真っ先に思いつくのは、中西智明の『消失!』だろう。中西智明は、『消失!』以外に作品を発表していない。

読者を驚かすことに力点がおかれたこの作品は、衝撃的なトリックが仕掛けられている。どんでん返しの名作と行っても良いかもしれない。こんなトリックは例をみない。是非読んでみて、衝撃的なトリックに挑んで見てほしい。

 

 

ヴィーナスの命題 / 真木 武志

ヴィーナスの命題 (角川文庫)

ヴィーナスの命題 (角川文庫)

  • 作者:真木 武志
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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夏休み、学園のグランドで発見された生徒の死体。自殺? 他殺? 才能溢れる高校生たちの仮説がついにあぶり出す"解"とは? 『読者を選ぶ』ともいわれる難解さゆえに賛否が大きく分かれた野心的、待望の文庫化!

真木武志の『ヴィーナスの命題』は、第20回横溝正史賞の選考会で賛否両論をよんだ作品だ。横溝正史賞の受賞は逃したものの、選考委員の1人である綾辻行人の推薦もあり、刊行されることとなった。ミステリよりも青春小説に近いような内容だ。

 


予告された殺人の記録 / 高原 伸安

ダイイングメッセージは華麗なカトレアの花…。ロサンジェルスの高級住宅街で起こった殺人事件は、密室で自殺した男の犯行なのか。物言わぬ花はいったい何を告げるのか。事件に巻きこまれた“私”推理行は、ありうるべからざる犯人の名前を指し示す。ミステリー最後の放れ業に挑戦した驚天動地の大異色作。

予告された殺人の記録』は、ミステリ最後の放れ技と言われている「読者が犯人」に挑戦した作品だ。

 


鬼に捧げる夜想曲 / 神津 慶次朗

続発する怪死、更には十九年前の失踪事件をも包含する真相が暴かれるとき、満月島は震撼する。第十四回鮎川哲也賞受賞作。

神津慶次朗の『鬼に捧げる夜想曲』は、19歳という史上最年少で第14回鮎川哲也賞に輝いた衝撃のデビュー作だ。戦後間もない昭和21年春の孤島を舞台に、横溝正史を彷彿とさせる因習と新婚初夜の密室殺人が織りなす本格ミステリーである。

奇妙な風習や「鬼女伝説」が事件のおどろおどろしさを増し、読者は物語の世界に深く引き込まれることだろう。その若き才能が生み出した、時代を超えた本格推理の傑作をぜひ体験してほしい。

 

 

Y駅発深夜バス / 青木 知己

運行しているはずのない深夜バスに乗り、彼は摩訶不思議な光景に遭遇した――奇妙な謎とその鮮やかな解決を描く表題作、中学生の淡い恋と不安の日々が意外な展開を辿る「猫矢来」、〈読者への挑戦〉を付したストレートなフーダニット「ミッシング・リング」、怪奇小説と謎解きを融合させた圧巻の一編「九人病」、アリバイ・トリックを用意して殺人を実行したミステリ作家の涙ぐましい奮闘劇「特急富士」。あの手この手で謎解きの面白さを提供する、著者会心の〈ミステリ・ショーケース〉。いいミステリ、あります。

青木知己の短編集『Y駅発深夜バス』は、ミステリの多様な魅力を凝縮した一冊だ。この短編集は、著者青木知己のデビュー作であり、日本推理作家協会や本格ミステリ作家クラブの年間アンソロジーにも選出され高い評価を得た表題作「Y駅発深夜バス」を含む、趣の異なる5編を収録している。

表題作では、あるはずのない深夜バスで摩訶不思議な光景に遭遇する男の物語が展開され、奇妙な謎とその鮮やかな解決が描かれる。その他にも、怪奇小説と謎解きが融合した「九人病」、読者への挑戦を挟んだ犯人当て「ミッシング・リング」、女子中学生の淡い恋を描く青春ミステリ「猫矢来」、アリバイ・トリックを駆使するミステリ作家の奮闘を描くユーモラスな「特急富士」など、粒ぞろいの作品が読者を待っている。

どの短編も予測不能な展開と巧みなトリックが光り、読後には心地よい驚きと満足感が残るだろう。本格ミステリから怪奇、青春ものまで、さまざまなジャンルが楽しめる、まさにミステリ・ショーケースと呼ぶにふさわしい傑作集だ。

 

 

おまけ:火蛾 / 古泉 迦十

十二世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。男が語ったのは、姿を顕わさぬ導師と四人の修行者たちだけが住まう山の、閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。未だかつて誰も目にしたことのない鮮麗な本格世界を展開する。第十七回メフィスト賞受賞作。

クセの強いミステリが受賞することに定評があるメフィスト賞で一発屋といえば古泉迦十だろう。

古泉迦十はメフィスト賞受賞作『火蛾』しか発表していない。『火蛾』は一発という名が相応しいほど完成度の高いミステリだ。中世の中近東を舞台に修行者たちの間で起こる密室殺人を描いた本作は、本格ミステリ史上に残る伝説的傑作と評価されてる。

『火蛾』はイスラム世界を舞台にした幻想ミステリである。ミステリ要素よりも、イスラムの特異な世界観に魅力がある小説だ。「本格ミステリこれがベストだ!」2001年版第一位を初めとして、「本格ミステリ・ベスト10」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」などあらゆるミステリー・ベスト10にランクインしている。

 

この記事を元々書いた時には古泉迦十の新作は出ていなかったのだが、新作『崑崙奴』が発売された。晴れて一発屋から卒業である。

 

 

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