僕はエッセイはほとんど読まないし、海外の地も踏んだことがない。この御時世、海外旅行もなかなか行きづらいので、海外旅行についてのエッセイを読んで旅行気分に浸ってみた。その他にも、村上春樹の小説をほとんど読んでしまって、読んでいないのはエッセイぐらいだったという理由もあるけども。
この『雨天炎天』はギリシャ正教の聖地アトスとトルコを一周した旅行について綴られたエッセイだ。文体もいつも通りのハルキ節で、ユーモアある表現も楽しめた。
この一冊読んだだけでギリシャとトルコを旅行した気分。途中では、トラブル続きで船が来なかったり、知らず知らずのうちに政治的にひどくややこしい場所に来てしまったりと、旅に付き物のトラブルも他人の読者からしてみれば面白い。当人は大変だろうと思うけど。
アトスの巡礼の旅
ギリシャ編では、ギリシャ正教の聖地アトスでの巡礼の旅が描かれている。アトスってどこにあるのか?ということで、Googleマップで場所を確認してみた。
ギリシャの東側にあるようだ。アトスという名前はこのエッセイで初めて知った。
海外旅行についてのエッセイを読みながら、Googleマップで場所を確認すると、ちょっとした旅行気分に浸れる。
さらに地図を拡大してみると、アトスはちょっとした半島になっている。
このアトスだが、女性が立ち入ることが許されていない。海外のことに疎い僕は、ギリシャにそんなところあるんだと頭が少し賢くなった気分で読んでいた。エッセイってガイドブックには載っていないニッチな情報や観光者に寄り添った目線で書かれている。
ふむふむ、実際の旅の参考になるなと、海外旅行に行ったこともないのにそんなことを考えていた。このギリシャの旅ではアトス半島にある修道院を巡っていく。行く先々の修道院で出されるルクミとコーヒーとウゾーが美味しそう。これのためだけにアトスに行ってみたいなと思う。読んでいるだけでアトスという場所の魅力が伝わってくる。
トルコ一周の旅
トルコ編では、トルコの広大な土地を国境沿いにぐるりと一周する旅が描かれている。
トルコといったらイスタンブールとかケバブぐらいしか知らなかったから、黒海沿いの地域や中東寄りの地域の旅は凄く新鮮で刺激的だった。トルコ人の度を超えた親切さや、チャイの文化、トルコの政治的な状況など目から鱗だった。こういった海外の文化も学べるところも良いよなと思う。トルコに行くなら、マルボロが必需品なんだな。いいことを学んだ。明日使えるムダ知識である。
旅の醍醐味
上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの・不思議なもの・唖然とするようなものに巡り合えるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。
引用元『雨天炎天』p85
これはギリシャ編で帰りの船が来なかったときの文章だけど、旅の醍醐味を言い当てているような気がして、一番印象に残っている。出不精の僕でも、この『雨天炎天』を読んで、ギリシャやトルコに行ってみたくなった。早く気軽に海外旅行に行けるようになって欲しいな。
栞の一行
上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの・不思議なもの・唖然とするようなものに巡り合えるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。