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伊坂幸太郎と映画

ミステリーや純文学、さまざまジャンルを越境して最高に面白い小説を書く作家、伊坂幸太郎。今日本でもっとも読まれている作家の一人ではないだろうか。

伊坂幸太郎は映画からの影響が大きいような気がする。伊坂幸太郎自身も映画好きを公言しているし、作品の中にも映画の話がよくでてくる。そんな伊坂幸太郎と映画監督の話を書こうと思う。

 

伊坂幸太郎スタンリー・キューブリック

 

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伊坂作品によくでてくる映画監督にはスタンリー・キューブリックジャン=リュック・ゴダールがいる。スタンリー・キューブリックは『時計じかけのオレンジ』『フルメタル・ジャケット』『2001年宇宙の旅』で有名な映画監督で、『陽気なギャング』や『ラッシュライフ』などで言及されている。

 

伊坂幸太郎ジャン=リュック・ゴダール

 

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一方、ジャン=リュック・ゴダールヌーヴェルヴァーグを代表する監督で、有名な作品に『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』、『小さな兵隊』、『中国女』、『ゴダールのマリア』などがある。とにかく伊坂作品にはゴダールがでてくる。『重力ピエロ』はタイトルが『気狂いピエロ』に近いし、作中でもゴダールが出てくる。『陽気なギャング』の章のはじめに書いてある辞書の定義に出てくる「写真が真実なら、映画は毎秒24倍真実だ」という言葉もゴダールの『小さな兵隊』からの引用である。

 

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ゴダールの『小さな兵隊』には、「悲しみを忘れなければならない。僕にはまだ残された時間があった」という印象的なセリフがある。このセリフがモチーフの一つになっているのが『全部残りバケーション』である。このタイトルは『小さな兵隊』の中で主人公・ブリュノのが拷問を受けているときにバケーションのことを考えたことに由来している。この小説では小さな兵隊が章のタイトルにもなっている。伊坂作品にはゴダールがよく出てくるけど、大半は退屈と説明されていて、もうちょっと持ち上げてもいいんじゃないかなと思う。

 

伊坂幸太郎クエンティン・タランティーノ

 

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直接小説に映画や監督の名前が出てくる訳ではないけど、伊坂幸太郎の小説ってクエンティン・タランティーノの映画と雰囲気が似ているように感じる。登場人物の洒脱な会話、ポップカルチャーの引用、構成の巧みさなどなど。他の共通点としては作品間のリンクがある。タランティーノの映画でレッドアップルというタバコはよく出てくるアイテムだし、別作品の登場人物に隠された関係があるというのはお馴染みである。伊坂作品でもリンクがよく見られる(ほとんどの作品にある)。有名なのをあげると、『ラッシュライフ』の黒澤は『重力ピエロ』にも出てきている。

作品ごとに見ていくと、伊坂の陽気なギャングシリーズ(『陽気なギャングが地球を回す』、『陽気なギャングの日常と襲撃』、『陽気なギャングは三つ数えろ』)とタランティーノの『レザボア・ドッグス』は雰囲気が似ている。『レザボア・ドッグス』は、素性の分からない男たちが集まり、強盗をするも失敗していまい、裏切り者を探すというあらすじである。あらすじを見る限り、論理的に犯人を探しだすミステリーと思うのだが、実際は映画の大半が雑談に費やされている。最初にこの映画を観たとき、「こんな映画もありなんだ」と思ったものだ。陽気なギャングも、登場人物の饒舌な会話が魅力の小説である。響野なんてずっと喋っているイメージ。あと、陽気なギャングの背広で銀行強盗するのは、『レザボア・ドッグス』のオマージュなんじゃないかなと思う。背広で強盗というセンス。痺れる。

あと、『ラッシュライフ』は『パルプフィクション』と似たものを感じる。両作とも巧みな構成の群像劇である。『ラッシュライフ』で最初にラッシュの辞書的意味を載せているのは、『パルプフィクション』のオープニングのオマージュなんだろうかな。

伊坂作品と映画を関連させていくと、解釈が深まって非常に面白い。

 

 

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