『8番出口』は、全世界累計140万ダウンロード から150万ダウンロード を突破する社会現象となったゲームだ。自分もやったことあるが、独特の世界観があって面白い。この異例の大ヒットを受けてか、実写映画化が公開された。
『8番出口』は異変探しながら地下通路から脱出するゲームという、ストーリーよりも「体験」に重きを置いたゲームである。このゲームをいったいどうやって映画化するのか?
実際に映画を見てみたが、非常に面白い作品であった。
この記事では映画『8番出口』に登場した異変について考察している。ネタバレを含むので映画を見ていない人は注意してほしい。
『8番出口』とは?
『8番出口』は、そのユニークなゲームプレイと不気味な雰囲気で話題になった異変探し脱出ゲームだ。プレイヤーは無限に続く地下鉄の地下通路に閉じ込められ、周囲を観察し「8番出口」を目指すゲームである。
ゲームの核となるルールは以下の通りだ。
異変を見逃さないこと。
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。
異変が見つからなかったら、引き返さないこと。
8番出口から外に出ること。
このルールに従い、通路に異変があれば引き返し、なければ進むことで「0番出口」から「8番出口」へと進む。もし一つでも異変を見落とすなどミスをすると、「0番出口」(ふりだし)に戻される。異変を探しながら8番出口からの脱出を目指すゲームだ。
『8番出口』は、プレイステーションやNintendo Switch、iPhoneなどでプレイすることができるので、やったことない人はぜひやってみて欲しい。iPhoneだとアプリストアで400円ぐらいで販売されている。
映画を見る前に『8番出口』をプレイすることをおすすめする。プレイしておくと、原作ゲームの再現度合いに感動できるので、ぜひプレイしてみてほしい。
映画に登場した「異常」
ゲームとは異なって、映画では「8番出口」の世界は主人公・迷う男の内面・心情の象徴として描かれている。8万出口の異常は、彼の悩みやトラウマに基づいている部分がある。
下記にこの映画で登場した異常をリストアップしたい。
原作ゲームにも登場した異変
原作ゲームには31個の異変が登場している。映画でも原作と同じ異変がいくつか登場している。まずは原作ゲームにもあって映画に登場した異変を紹介したい。
天井の看板裏の文字が変わっている
天井から吊り下げられた出口案内板の裏側に、「引き返せ」といった文字が現れる。視点を能動的に変えなければならず、見逃しやすい異変だ。映画でも迷う男・歩く男共に見逃していた。
蛍光灯の並びが乱れている
地下通路の天井の蛍光灯が不規則でバラバラな配置になっている異変。ちなみに東京の清澄白河駅ではこの異変とそっくりに蛍光灯が配置されているので、モデルになったのではないかと言われている。
天井から何か垂れている
原作ゲームでは、右壁上部の換気口から、黒い液体が垂れている異変であった。映画では換気口だけでなく、全体的に天井から血のような液体が垂れてくる演出であった。この血というのも赤ちゃんに関連した主人公の不安を象徴しているのかなと思う。
防犯カメラの貼り紙の目が動く
貼り紙に描かれた目のイラストが、左右に動くという異変。原作ゲームでは、一番奥のポスターだけの目が動くのだが、映画ではポスター全ての目が主人公を追って動いている。
おじさんが笑顔
通路を歩いてくる男性(歩く男)が、不気味な笑顔を浮かべている。映画では、最初の方で登場した異変だ。
清掃員詰所のドアノブの位置がおかしい
通路の右側にある清掃員詰所のドアのドアノブが不自然な位置(中央)に取り付けられているという異変。歩く男が引っかかっていた異変だ。自分もゲームをプレイしている時に火かかっていたなと。
偽物の8番出口
最後の8番出口まで辿り着いていないのに現れる偽物の出口。歩く男はこの異常に気付かず、偽の出口から出てしまったために8番出口の世界に取り込まれてしまう。原作ゲームでも、引き返さずにこの出口から出てしまうと強制的にゲームオーバーとなってしまう。
天井の看板が上下反転している
出口案内板の8が物理的に上下逆さまになっている異変。
清掃員詰所のドアが突然開く
原作では、プレイヤーが一定の地点を通過すると、右側のドアが突然開くという異変。映画では、扉が開いた先に、電車で助けに入らなかった過去の自分が見えている。ここは主人公の過去の後悔や悩みが現れているのだろう。
この場面で助けられなかった自分が「父」になれるのかといった悩みが現れているのだろうと思う。
突然、真っ暗になる(停電)
突然、全ての蛍光灯が消え、通路が完全な暗闇に包まれる。映画では停電に加えて、冒頭のXを見るシーンでも登場した奇形のネズミが登場している。これも赤ちゃんに関連した、「迷う男」の不安を象徴しているのではないかと思う。
水が押し寄せてくる
轟音と共に通路の奥から赤い液体が押し寄せる異変。これはラストあたりで登場した。ゲームだとこの津波に引っかかってしまうと強制的にゲームオーバーとなってしまう。
映画オリジナルの異変
映画『8番出口』には、原作ゲームにはないオリジナルの異変も登場している。この異変は特に主人公の心の葛藤や不安のメタファーとして描かれている。
赤ちゃんの鳴き声
ゲームには存在しないが、コインロッカーから赤ちゃんの鳴き声がするという異変。これは主人公の赤ちゃんに対する悩み・不安が具現化したものではないかと思う。
元カノからの電話
通路内で元カノから電話がかかってくるのだが、これも異変であった。
通路が黄色くなる
照明がおかしくなってしまい、8番出口の通路が全体的に黄色くなる異変。
女子高生が話しかけてくる
これは「歩く男」パートの異変だが、普段は話しかけてこない女子高生が話しかけてくるという異変。
映画に登場しなかった原作ゲームの異変
最後に、映画には登場しなかった原作ゲームの異変を紹介したい。
双子が立っている
通路の中ほどに、古典的ホラー映画『シャイニング』を彷彿とさせる双子の少女が立っている。静かな恐怖を演出する。
分電盤室のドアがない
通路右側にあるはずの分電盤室のドアが壁になっている。「あるべきものがない」という欠落型の異変。
防犯カメラの貼り紙が移動する
左壁の「防犯カメラ作動中」の貼り紙が、プレイヤーの動きを追ってスライドする。歩行中に真横を意識しないと見逃しやすい。
天井の防犯カメラが赤く点灯している
貼り紙の上にある防犯カメラのランプが赤く点灯する。注意深い観察が求められる。
点字ブロックが顔になっている
床の点字ブロックが、人間の顔のような不気味な模様に変化している異変。視線を下に向けないと気づかない。
おじさんがこっちを見てくる
おじさんがプレイヤーを凝視しながら歩いてくる。些細な行動の変化がプレイヤーの警戒心を刺激する。
おじさんが早足
おじさんが異常な速度でプレイヤーに迫ってくる。捕まるとゲームオーバー(0番に戻る)となってしまうので、発見次第ダッシュで引き返す必要がある。
ポスターが全て同じものになる
左壁の複数のポスターが、全て「MAKEUP ART」の一種類に統一される。
点字ブロックが増えている
点字ブロックが異常に増殖し、床に「八」の字のような模様を形成している。
アルバイト募集のポスターがおかしい
バイト募集ポスターに描かれたキャラクターの顔が、不気味なものに変化している。細部の変化であり見逃しやすい。
ポスターがだんだん大きくなる
左壁のポスター群が、通路を進むにつれてゆっくりと巨大化する。変化が緩慢なため、最も発見が困難な異常の一つ。
蛍光灯が点滅し始める
天井の蛍光灯が一斉に点滅を始める。
天井に顔型のシミがある
天井の中央付近に、人の顔に見えるシミが出現する。見逃しがちな異変だ。
おじさんがデカい
おじさんの身長が通常よりも明らかに高くなっている。背景のドアなどとの比較で認識できる。
分電盤室のドアが暴れている
ドアが開くことはないが、内側から激しく叩かれているような大きな音と振動が発生する。音による異常検知が求められる。
おっさんの顔がバグっている
おじさんの顔のテクスチャが崩壊し、デジタルノイズのような表示になる。この異変が映像化したら結構面白かったのではと思っている。
禁煙のポスターが増殖している
右壁に、大量の禁煙ポスターが隙間なく貼られる。
突き当たりの壁に何かがいる
通路の突き当たりの壁に、黒い人影のようなものが張り付いている。
ポスターが変化している
ポスターが、恐ろしい内容の画像に差し替えられている。
従業員専用のドアから何かが覗いている
右壁の従業員用ドアの窓から、何者かがこちらを覗いている。
まとめ
映画版『8番出口』は、「主人公が8番出口/人生の迷いから抜け出す物語」として描かれていた。8番出口の異変は主人公の不安を象徴するものとして描かれていた。
映像化されなかった異変も多くあるけど、映像化されたものはかなり再現度が高かったなと思う。