日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

驚きの連続!?どんでん返しが凄いミステリまとめ

ミステリの醍醐味の1つと言えるどんでん返し。

今まで見ていた世界がひっくり返る感覚は面白いものだ。ミステリにはどんでん返しが秀逸なことで有名な作品が数多くある。そんなどんでん返しがすごいミステリを紹介したい。

 

 

 

十角館の殺人 / 綾辻 行人

どんでん返しの代名詞ともいえるのが綾辻行人の『十角館の殺人』。孤島に立つ十角館で起こる連続殺人。奇妙な館を舞台にした「館シリーズ」の第1作品目だ。孤島でどんどん人が死んでいくクローズドサークルの設定は、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』のオマージュ。とにかく一行の衝撃が凄い。本当に一行で世界がひっくり返ってしまう。どんでん返しの本を勧めるならまずはこの一冊だ。

 

 

迷路館の殺人 / 綾辻 行人

『十角館の殺人』に引き続いて「館シリーズ」3作目の『迷路館の殺人』もどんでん返しの名作だ。「迷路館」では、館内が迷路になっている。 どんでん返しが特徴の「館シリーズ」の中でも、『十角館の殺人』に匹敵するくらい衝撃度が高い。最後までページから目が離せない!「館シリーズ」では順番に読まないとネタバレを知ってしまう可能性があるので、『人形館の殺人』や『時計館の殺人』などの前に読むのがおすすめ。

 

 

葉桜の季節に君を想うということ 

葉桜の季節に君を想うということ』は、恋愛小説のようなタイトルだが、大どんでん返しが待ち受けているミステリだ。「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎が主人公の話だ。果たして印象的なタイトルの意味はなんだろうか?ちなみにだが、Amazonには堂々とネタバレを書いている悪質なレビューが多いので読まない方がいい。私は読んでしまった… 

 

 

 イニシエーション・ラブ / 乾 くるみ

どんでん返しの傑作を上げると必ず名前が挙がるのが乾くるみの『イニシエーション・ラブ』だ。最後から二行目までは普通の恋愛小説だけど、最後から二行目で全く違う話になる恋愛ミステリだ。読み終わると、もう一回読み直して作中に散りばめられた伏線を確かめたくなる。最後の展開については男子と女子で感想が分かれそう...。そして、著者の乾くるみが、女ではなく男というのが一番の叙述トリック

 

 

セカンド・ラブ / 乾 くるみ

セカンド・ラブ』は、 『イニシエーションラブ』と同じく乾くるみの恋愛ミステリだ。『イニシエーション・ラブ』と同様にちょっとしたどんでん返しが仕掛けられている。『イニシエーション・ラブ』と違って、これは人によって評価が分かれそうな印象。

 

 

リピート / 乾 くるみ

またまた、乾くるみの小説を紹介。 『そして誰もいなくなった』と『リプレイ』を組み合わせた、新感覚のクローズドサークル系ミステリ。特殊な状況下で起こる不可解な死についての真相が明かされる時、衝撃がおそう。 

 

 

ラッシュライフ / 伊坂 幸太郎

伊坂幸太郎の構成の妙が光るのが『ラッシュライフ』だ。交錯する5人の登場人物とバラバラ死体の物語。一見するとなんの繋がりもない5人のストーリーだが、ジグソーパズルのように一つ一つピースがはまっていくと、一枚の騙し絵のように見えてくる。ラストになるにつれて、ジグソーパズルのピースがぴったりとはまっていくような快感が味わえる。まさに、エッシャーのだまし絵のような緻密な小説。映画で例えたらタランティーノ監督の『パルプ・フィクション』。

 

 

 アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂 幸太郎

 どんでん返しの名作として名前が挙がることが多いのが『アヒルと鴨のコインロッカー』。引っ越してきたアパートで出会った青年に持ちかけられたのは本屋の襲撃だった。1冊の広辞苑を狙った書店襲撃とそれに協力する主人公。事件の全貌が明らかになった時、全てがひっくり返る衝撃に襲われる。衝撃の展開、明かされる真実。現在と過去が繋がるとき、切なさが胸に込み上げてくる。切ない余韻を残す、名作ミステリだ。

 

 

ホワイトラビット  / 伊坂 幸太郎

伊坂マジックが冴え渡っているのが『ホワイトラビット』だ。仙台の高級住宅地で人質事件が発生する。犯人と警察との緊迫した交渉戦や事件の鍵を握るオリオン座の秘密など、鮮やかな展開に目が離せなくなる。怒涛の展開に圧倒される小説だ。個人的には『ラッシュライフ』と並ぶくらいの名作だと思っている。

 

 

 ロートレック荘事件

SF、実験小説、純文学など様々な分野で傑作を残している小説家・筒井康隆の傑作ミステリー。ロートレックいう画家の作品に彩られた別荘で起こる殺人事件。高い筆力がないと成り立たない素晴らしいトリック。さすが筒井康隆。種明かしのシーンでは得意げな顔をしている筒井康隆の顔が思い浮かぶ。

 

 

 星降り山荘の殺人

雪に閉ざされた山荘で起こる殺人事件。クローズドサークルもののミステリー。この小説の特徴は、著者が事件解決となる情報を読者に提示してくれるところだ。まさにフェアに読者に勝負を挑んでいるミステリーだが、きっとあなたは騙される。フェアそれともアンフェア!?是非読んで確かめてみて!

 

 

仮面山荘殺人事件 / 東野 圭吾

どんでん返しの名作としてよく話題に上る『仮面山荘殺人事件』。どんでん返しにこだわった、クローズドサークルものである。仮面山荘の面白いところはクローズドサークル(閉ざされた空間での殺人)が生まれる状況にこだわり、より必然的にクローズドサークルが生じるようにしているところだ。吹雪で閉じ込められたり、孤島に閉じ込められるというのはクローズドサークルのお約束だが、パターンが決まっているし設定に穴が多いのもある。都合よく吹雪起こりすぎじゃねとか、頑張ったら逃げれるとかツッコむところが多いものもある。まあ、クローズドサークルはミステリー好きには堪らない設定だけど。

この仮面山荘では古典的なミステリーの設定をそのまま使うのではなく、八人の男女が集まる山荘に逃亡中の銀行強盗が侵入したために外に出られなくなったという斬新な理由でクローズドサークルになる。そして衝撃のどんでん返し!

 

 

ある閉ざされた雪の山荘で / 東野 圭吾

ある閉ざされた雪の山荘で』も『仮面山荘殺人事件』と並んで、どんでん返しの名作と言われている。仮想の雪の山荘でのクローズドサークルという異色の設定が使われたミステリー。実際に殺人が起きているのか、それとも芝居なのか分からないという、斬新なクローズドサークルになっている。最後にはほんのり感動する。余談だけど同じトリックがフランスの前衛文学にも使われていたりする。

 

 

 向日葵の咲かない夏

どんでん返しミステリといえば道尾秀介も外せない。『向日葵の咲かない夏』は、タイトルから爽やかな青春小説を想起する人がいるかもしれないが全く違う。 むしろ、憂鬱展開が待ち受ける鬱小説だ。なので、気分がすぐれない時には読まない方がいい。

ストーリーは、自殺したS君が姿を変えて「僕」の前に現れるところから始まる。S君は「僕は殺されたんだ」と訴える。「僕」は妹のミカと、S君を殺した真犯人を探し始める。どんでん返しが素晴らしく、まさしく世界がひっくり返る感覚が味わえる。ただ、ミステリ好きの間では賛否両論になりそうな内容でもある。

 

 

『アリス・ミラー城』殺人事件 

『鏡の国のアリス』と『そして誰もいなくなった』にオマージュが捧げられたミステリ。チェスの進行に沿って、命を落としていく探偵たち。最後に生き残るのは誰か?

 

 

弁護側の証人

タイトルからしてアガサ・クリスティーの『検察側の証人』を意識している。内容も『検察側の証人』に引けを取らないような小説になっている。大胆なトリックは一読の価値あり。

 

 

○○○○○○○○殺人事件

○○○○○○○○殺人事件』は、世にも珍しいタイトル当てのミステリだ。これでもかと本格ミステリのギミックを詰め込んでいるが、メフィスト賞受賞作ということもあり、かなり癖が強い。どちらかというと壁本の部類に入るミステリだ。ネタバレになるからあまり言えないが、メインの仕掛けは本当に賛否両論だ。初めて読んだときはこんなのありかよと 思った。どんでん返しレベルが高いことは保証できるが、壁に叩きつけないかは保証できかねます。著者の早坂吝は異色のミステリを書き続けていて、個人的には注目しているが、他人には勧めずらい。おすすめしにくい理由は、この『○○○○○○○○殺人事件』を読めば分かる。

 

 

以上どんでん返しがすごいミステリのまとめでした。

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