日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

90分deシネマ / 90分で観れるモノクロ映画

映画はストーリーに入り込むことで、驚きや楽しみ、ワクワク、ドキドキ、などの色んな感情を体験できる優れたエンターテイメントだ。だが、時間に追われる現代社会では2〜3時間の映画を見ている余裕がないという人も多いだろう。なので大体90分程度で観れる映画をテーマに合わせて紹介していきたいと思う。今回はセンスが抜群のモノクロ映画を紹介したい。

 

 

コーヒー&シガレッツ(97分)

コーヒーを一杯 タバコを一服 会話を楽しむ 人生を楽しむ 疲れたココロとカラダを癒してくれる、至福のリラックス・ムービー。 “コーヒー”と“タバコ”にまつわる愛すべき11のエピソード。コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、様々な登場人物たちが、どうでも良さそうで、良くない、でもひとクセある会話を繰り広げていく・・・。

おしゃれな映画を撮る監督といえば真っ先に思いつくのがジム・ジャームッシュ監督。最近では『パターソン』という映画が話題になっていた。ジム・ジャームッシュ監督の代表作でもある『コーヒー&シガレッツ』はコーヒーとタバコにまつわる短いエピソードをまとめたオムニバス映画だ。コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら登場人物たちがとりとめのない会話を繰り広げる。全編モノクロでセンスが良く、コーヒーを片手に観たくなる映画だ。

 

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コーヒーをめぐる冒険(85分)

2年前に大学をやめてから、ベルリンでただ“考える"日々を送っているニコ。恋人の部屋でコーヒーを飲みそこねた朝、ツイてない1日が幕を開ける。車の免許は停止になり、アパートの上階に住むオヤジに絡まれる。行く先々でコーヒーにふられ─と災難は続き、逃げ出した夜の街で、ナチス政権下を生き抜いた老人と出遭う。果たして、ツイてない1日の幕切れは?

タイトルの様にコーヒーを巡り歩いている男の話というわけではないが、行く先々でコーヒーをコーヒーを飲み損ねる主人公・ニコのある不運な1日を描いた映画。ヌーヴェル・ヴァーグや、ウディ・アレン、ジム・ジャームッシュの映画に近い様な雰囲気だ。ベルリンが舞台になっていて、全編モノクロになっていてとてもスタイリッシュなドイツ映画だ。人生のモラトリアム真っ盛りのニコのモノクロームな青春を描いている。劇中の音楽(ジャズ)がすごく良く、モノクロとジャズが相まってすごく雰囲気がいい。人生に時々ある不運な一日を描いた映画であり、色んな人に会う中でニコが自分探しをしていく。登場人物それぞれ何か抱えているけど、観終わった後は決して暗い気持ちにはならない。温かいコーヒーを飲んだ時の様に、心に染み渡る映画だ。

 


映画『コーヒーをめぐる冒険』予告編

 

 

 フランシス・ハ(86分)

フランシス・ハ(字幕版)

フランシス・ハ(字幕版)

  • グレタ・ガーウィグ
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ニューヨークで親友ソフィーとルームシェアをして、楽しい毎日を送る27歳のフランシス。ところが、ソフィーとの同居も解消となり、自分の居場所を探してニューヨーク中を転々とするはめに! 周りの友人たちが落ち着いてきていることに焦りを覚え、もがいて壁にぶつかりながらも前向きに歩き出そうとするフランシス。不器用で大雑把だけどチャーミングな彼女の姿に、誰もが共感を覚え、不思議なタイトル"フランシス・ハ"の意味が明らかとなるラストに胸を打たれる。

 『フランシス・ハ』という不思議なタイトルのモノクロ映画。BGMや雰囲気といいヌーヴェルヴァーグの映画(特にトリュフォー)っぽい。っとあらすじは主人公・フランシスが人生のモラトリアムの中で自分探しをする話。不器用なフランシスが悩みながらも自分の道を模索していく姿は誰もが共感を覚えるだろう。最後の最後に『フランシス・ハ』というタイトルの意味が分かるのだが、意味を知ると不器用なりにも自分の道を進むことを肯定できる様な前向きな気分になれる。タイトルの意味が気なる人は是非観てみて。

 


Frances Ha Official Trailer #1 (2013) - Noah Baumbach Movie HD

 

 

勝手にしやがれ(95分)

勝手にしやがれ(字幕版)

勝手にしやがれ(字幕版)

  • ジャン=ポール・ベルモンド
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警官を殺してパリに逃げて来た自転車泥棒常習犯ミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとの自由な関係を楽しんでいた。ある日、彼の元に警察の手が及んでくる。新聞に「警官殺し逃走犯」として大きく顔写真が載ったのだ…!ヌーヴェル・ヴァーグの雄ジャン=リュック・ゴダール監督が贈る、奔放に生きる若者たちの姿を描いた傑作青春映画。

ヌーヴェルヴァーグ を代表するジャン=リュック・ゴダール監督の 代表作。刹那的に生きる若者たちの姿を描いた青春映画だ。ジャンプカットといった表現技法が使われており、センスが溢れる映像になっている。

 


映画『勝手にしやがれ』予告編

 

 

5時から7時までのクレオ (90分)

5時から7時までのクレオ

5時から7時までのクレオ

  • メディア: Prime Video
 
シンガーのクレオ。彼女はガンを患っているかもしれないという恐怖を抱えながらパリの街をあてもなく歩く。7時の医師との約束の時間までの5時からの2時間を、クレオは友人や知り合いに会っていく。

7時に医師と会う約束をしているクレオは、診断結果を待つ間パリを彷徨い、死について考えをめぐらせる。自分探しの映画だ。冒頭のタロット占いのシーンが印象的。

 

 

 去年マリエンバードで(94分)

去年マリエンバートで(字幕版)

去年マリエンバートで(字幕版)

  • 発売日: 2020/06/12
  • メディア: Prime Video
 

凝った装飾の施された石作りの豪華なホテル。男Xは、夫Mと滞在している女Aに、去年マリエンバートで会いましたねと話しかけるがAはそれを思い出せない。だがXの話を聞くうちにAは記憶を取り戻して行く…。 

 ヌーヴェルヴァーグ 期の映画監督アラン・レネの作品。男が女に「去年マリエンバードで会った」と話しかける。しかし、女にはその記憶がなく押し問答が続く。あらすじを見ても、内容がよく分からないが、難解映画と言われるだけあって、映画を見終わった後も内容がなんだったのかよく分からない。新手のナンパみたいな話だけれども、『去年マリエンバードで』が難解映画だといわれるのは、その時系列に理由がある。難解な小説で知られているアラン・ロブ=グリエが脚本を書いていることもあり、時系列が複雑になっている。現在と過去、そして回想が入り混じり、混沌としていく。現在と過去の境界線がだんだんと溶けていくのだ。映像がモノクロで美しい。

 

 

AmazonPrimeでいくつかの作品は観れるので是非!