麻耶雄嵩の超問題作
首なし死体が発見されたのは、雪が降り積もった夏の朝だった!20年前に死んだはずの美少女、和音の影がすべてを支配する不思議な和音島。なにもかもがミステリアスな孤島で起きた惨劇の真相とは?メルカトル鮎の一言がすべてを解決する。
これは問題作の多い麻耶雄嵩の中で最大の奇書だ。作中を彩るキュビズムの衒学的な話といい、この小説の構成といい、トリックの馬鹿馬鹿しさといい、奇書に相応しい問題作。こんなにあっけに取られた密室トリックは今までになかった。未だに真相がよく分からない。解答編を明示的に描いていないあたり、アンチミステリだな。人には勧めづらいが、結構好き。