日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

理系大学生院生のための就活戦略

僕は何を考えて就活していたか? 

今日は就活について書こうと思う。コロナショックによって景気後退が確実になっている。コロナショックがなくても日本のGDPは消費税増税によって後退傾向にあったので、コロナショックによって景気後退は確実だろう。問題はその景気後退がどのレベルになるのかという事だ。リーマン・ショック並みなのか。世界恐慌並みになるんじゃ無いかという人もいる。就活生にとって厳しい戦いになるのは確実だろう。そこで参考になるかどうかわからないけれど、僕がどんな戦略で就活をしていたか書こうと思う。僕は理系大学院の修士を卒業してメーカーに勤務している。なので理系大学院生の就活の参考になれば、幸いだ。

 

 僕は真剣に就活をしていたかといえば、全くそんなことはない。むしろ、夏のインターンにも行かなかったし、就活解禁の3月の直前の1月ぐらいまで何もしていなかった。仲のよい友達が全くしていなかったのもあるが、理系大学院生だからそんなに頑張らなくてもいいだろうとタカをくくっていた。しかし、他の研究室の同期は研究そっちのけで就活をしていた。夏のインターンや冬のインターンにも行きまくっているし、説明会にも行きまくっていた。要するに僕は出遅れたのだ。そして、周りの同期に「インターンも行ってなくて大丈夫?」と心配される始末である。いよいよ、やばいと思って1月ごろから就活を始めたのである。

 

 まず始めに僕は、出遅れた分をどうするかということを考えた。出遅れているなら、有効な戦略を立てて戦うしかないと考えた。ピンチの時は頭を使うのが鉄則だ。そこで色々な戦略を考えた。その戦略が「推薦応募」「差別化」だ。

 

 僕は化学を専攻していたこともあり、狙う業界は素材メーカーに絞っていた。日本は製造業の国とか言われるけれど、実際は世界と戦っていける産業は自動車と半導体の部品メーカーとか、素材メーカーぐらいしかないんじゃないかなって思っている。しかも、自動車業界はCASEといい変化が激しく、日本のメーカーが優位に戦っていけるかわからない。電気自動車ならアメリカのテスラがあるし、シェアリングで自動車を買わなくなる時代がきてUBERとかディディとかLIFTを使う時代になるのかもしれない。しかも敵は自動車業界だけじゃなくて、自動運転の分野になるとGoogleのウェイモなど、ソフトウェア系の企業が敵になったりする。そんな環境下で日本の自動車産業に勝ち目はないと思って自動車メーカーはやめた。家電も中国メーカーや韓国メーカーに押されて、日本のメーカーに魅力度がなくなっている。そもそも日本は失われた30年と言って、ほとんど経済成長していない。日経平均株価も、アベノミクスで上昇はしているものの、バブル期の高値は遥か先だ。経済成長率も、他の国が成長しているのに対し、日本はほぼ横ばいだ。話を戻そう。その点素材メーカーは、各企業によって高シェアをもつ素材を有していたりと、世界での競争力はまだ衰えていない様に感じた。

 

 その中でどういう点を重要視して会社を選んでいたかというと、「自分が会社の中で相対的に優位なポジションに立てる可能性があるかどうか」と「自分が最大限に成長できるか」という点だ。

 

 相対的ないいポジションというのは、たとえ大企業に入ったとしても周りの人が優秀すぎて、自分が相対的に下のポジションになるなら今後の出世や、良い仕事をできる機会が見込めない。自分は東大京大みたいな超有名大学出身ではなかったので、東大や京大出身の人が多そうな超大企業には志望群から外した。また、そういう超大企業では学閥というものもあるらしく、その点でも平凡な理系大学院出身の僕にはいいポジションを取れる見込みがなかった。

 

 しかし、だからと言って周りのレベルが低すぎる会社に行くと自分の成長ができないと思い、そこそこ大企業のところに狙いを定めた。やっぱり、自分の成長は周りの環境に左右されるので、レベルを落としすぎてもダメだと思っていた。なので理想は「自分に勝機がないほど優秀な人がいるところではないけれど、頑張って成長すればいいポジションを取れる様な会社」と言ったところである。スパイバーみたいなベンチャーもいいなと考えたのだけれど、ある程度の安定性が欲しかったのと、大きなスケールで仕事ができることに憧れてそこそこの大企業にした。大企業の中でもベンチャーみたいな新事業部門に配属が理想だなと思っていた。今はどうなのかというと理想どうりのそこそこの大企業でベンチャーみたいな新事業部門に配属された。狙い通りすぎて笑いが止まらない。やっぱり、周りのレベルが大学院の時に比べて高いので、自分のレベルも引き上げられている感がある。入社したての頃はしんどかったけれど。なのでやっぱり周りのレベルは大事。

 

次に戦う上での戦略を書こうと思う。「推薦応募」と「差別化」だ。

 

推薦応募の活用 

 

これは強力な方法だ。文系大学生にはなくて理系大学院生にあるメリットだ。まったく、就活をしていなかった僕だが、4月初旬に内定をもらえたのは推薦応募のお陰だろう。推薦応募とは「あなたの企業が第一志望です」という意思表示を示すことになり、選考が免除になったりと色んなメリットがある。企業によって違うが、大学や研究室に届いている推薦応募を使うと、書類選考や一次面接、グループディスカッションが免除されたりする。会社によっては、推薦応募を使うことでいきなり最終面接になるところもある。また選考が自由応募とくらべて早く進むというメリットもある。

唯一のデメリットは、内定をもらったら絶対に推薦を出した企業に行かなければならない点だ。たまに推薦応募で内々定をもらっても、内々定を辞退する人がいるがそんな人は人間性が疑われる。まあ第一希望の企業であれば、推薦応募を使うのに越したことはないと思う。同じ学科の人で早くから推薦を使っていたひとは少なく、大半の人は自由応募で就活に望んでいた。結果から言うと、自分の身の回りでは、早くから推薦を使った人はとんとん拍子で内定が決まった。就活が終わってから同じ学科の人と喋っていると、「早くから推薦を使ったほうが良かった」と言っている人が多かった。個人的には推薦応募はどんどん活用していくべきだと思う。ただ、「推薦応募を使うと絶対に受かる」という訳ではない。推薦応募でも落ちる人は落ちる。推薦応募であっても、ちゃんとしたESを書かない、面接対策をしないなど、ちゃんと対策をしないと落ちるので、手は抜かないようにしよう。大学によっては推薦応募の他に、奨学金募集があるところもあるだろう。そういう企業の奨学金内々定もついてくることが多い。第一希望であれば活用した方がいいと思う。僕のいた大学院は有名なところではなかったので、奨学金の募集はあんまりなかった。

 

「差別化」戦略

とにかく、僕は有名大学院にいたわけではなかったので、人と同じ様なことをしていたら戦えないと思い様々な差別化戦略をとった。まずは情報の差別化である。就活で情報を集めるとなると会社説明会に参加する、パンフレットを読む、サイトを確認する、OB訪問するなどがあると思う。しかし、説明会やパンフレットはみんなが確実にチェックする情報源だ、差別化できない。また、OB訪問は差別化できる情報が得られると思うが、僕の大学院にはそんなコネクションはなかった。そこで、別の情報源を使うことにした。それは日経新聞IR情報財務情報だ。

 

 

日経新聞は読もう 

日経新聞を「読む技術」「活用する技術」

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  • 作者:山本 博幸
  • 発売日: 2019/08/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

とにかく日経新聞は読んでいた。趣味で元々読んでいたのだけれど、就活期間中は毎日図書館やネットで読んでいた。社会人でも日経新聞を読むことはもはや常識なので早めから読んでおいて損はないと思う。日経新聞にはビジネスに関する良質な情報がいっぱい詰まっている。やっぱり、ビジネス情報の良質さでいうと日経新聞に勝る情報源はないと思う。どう活用していたかというと、説明会や面接に参加するときは事前に企業について日経新聞の記事を探しておき、どの事業に力を入れているかや、どこの企業を買収したかの記事をチェックしていた。さらに、その情報から自分なりの仮説を立てて、それを確認する様な逆質問をする様に心がけていた。例えば、買収するという記事であれば、「その買収する事業にこれからも力を入れていくのか」や、「買収する会社にこういう技術があるからシナジーが見込めるのか」「主力の事業ですが、こういう点に弱点がありませんか」と言った質問をしていた。会社別でいうと、旭化成がIPランドケープ、東レがインダストリー4.0、住友化学やとマテリアルズ・インフォマティクスに力を入れているのでそこらへんの情報を日経新聞で調べて質問したりしていた。「御社で活躍する人はどんな人ですか」みたいな考えなくてもできるテンプレみたいな質問はしない様にしていた。質問の場でも、自分は多面的に考えているという点をアピールするために、自分なりの仮説を考えてそれを確かめる様な質問をしていた。特に、事業の弱点を分析して質問するというのはよくしていた。日経新聞にはそういう情報に溢れているので活用するべき。就活生で日経新聞を読んでいる人はかなり少なかったので、日経新聞を読むだけでかなり差別化できると思う。活用法が分からない人は、日経新聞を活用する方法についての本が売っているのでそれを見るのも手だと思う。

日経新聞の数字がわかる本

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株主向け情報の活用 

就職四季報 総合版 2021年版 (就職シリーズ)

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  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

別の差別化できる情報源としては、投資家向けの情報がある。企業のホームページをみたら、ほとんどの企業のサイトにはIR情報がある。それもそのはずで、株式会社であれば、会社は株主のものだからだ。IR情報の中期経営計画をみれば、これから会社がどのような方向性で事業を展開していくかが分かる。ファクトブックなどをみれば、就活生向けの情報より詳しい会社説明が書かれるので参考にしたほうがいい。他の就活生が知らない情報源を基に逆質問とかをすると、ちゃんと調べているという印象を与えることが出来る。僕の経験からいうと投資家向けの情報を読んでいる人は本当に少なかった。てかいなかった。僕は中期経営計画について逆質問をよくしていた。あとは四季報を使うとか。

 

 

 

財務分析 

 これこそやっている人を見たことがないけれど。財務3表などを分析して、そこから情報を得る様にしていた。ここまでする必要はないかも。上に紹介している本はわかりやすく財務3表を説明してくれているので参考になるかも。

 

IPランドスケープとかインダストリー4.0、マテリアルズインフォマティクスについては知っておいたらかなり差別化できるんじゃないかなと思う。これ関連の質問をすると、面接官の表情が変わるというか、なんでそんなこと知ってんのみたいな顔をされたので、印象には残ると思う。逆に付け焼き刃的な知識だと墓穴を掘ることになるので注意。

 

 

IPランドスケープ

IPランドスケープ経営戦略

IPランドスケープ経営戦略

  • 発売日: 2019/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

インダストリー4.0

デジタル技術で工場の生産性を上げる試み。 

 

 

マテリアルズインフォマティクス

機械学習を活用した新素材開発手法。 

 

 

 

 

何がともあれ、就活頑張ってください。ESと面接とかについてはこっちの記事に書いてます。

plutocharon.hatenablog.com