日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

独断と極度な偏見で選ぶ!東野圭吾のおすすめミステリ6選を雑に紹介!

 

東野圭吾は、大体の人が知ってるミステリー作家だ。

モンドセレクション最高金賞並みに有名だ。日本人なら大体知ってる作家ベスト3があれば間違いなく入賞していると思う。もちろん一位は、謎めいた表現技法・意味深なハルキのメタファーでお馴染みの村上春樹。

話を東野圭吾に戻そう。ガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞し、『白夜行』など有名作品を次々に送り出してきた東野圭吾。映画化もよくされていて、ちょっと前だと嵐の櫻井翔が主演で『ラプラスの悪魔』が公開されている。

ガリレオシリーズと初期作品ぐらいしか読んだ事がなく、東野圭吾の作品を全部読むほどの大ファンではないが、独断と極度な偏見でオススメを選んで紹介しようと思う。異論は全面的に認める。全面降伏だ。

 

 

 容疑者Xの献身

運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。  天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。 呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てる。 だが皮肉にも、石神と帝都大学の同期であり、親友である物理学者の湯川学がその謎に挑むことになる。 ガリレオシリーズ初の長編。第134回直木賞受賞作。

まず始めに勧めるのは『容疑者Xの献身』。極度な偏見で選ぶと言ったにも関わらず、一番目にから定番で置きにいったのかと思われた方もおられるだろう。その通りである。世間体気にしてばっかのイエスタディである直木賞受賞なので、間違い無いのである。やっぱり定番はいいよね。とにかく、主演の福山雅治がかっこよすぎる。福山雅治 is Justice

話と時を戻そう。『容疑者Xの献身』で描かれるのは、物理学者・湯川と数学者・石神の戦いでもある。石神は思いを寄せる花岡を助けるために、完全犯罪を企てる。読者と湯川はその完全犯罪に挑むことになるのだが、石神がどんなトリックを仕掛けたのかが全く分からない。読者にとっては、倒述形式のミステリになっていて、石神が仕掛けたトリックを見破ることになる。このトリックが本当に凝っていて分からない。最後にこのトリックが明かされる時には、驚きと感動に襲われた。意外性抜群のトリックと、石神の選んだ決断に心震わされたのである。今まで読んできたミステリでトリックとストーリーの両方に感動させられたのはこの本ぐらいしかないかな。そして、タイトルの『容疑者Xの献身』に唸らされるのである。

 

 

仮面山荘殺人事件

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。

 これはちょっとマイナーな作品だろう。どんでん返しの名作としてよく話題に上るのが『仮面山荘殺人事件』だ。どんでん返しにこだわった、クローズドサークルもののミステリだ。どんでん返し好きな人だと読んだことあるんじゃないだろうか。このミステリの魅力は、作品に仕掛けられたどんでん返しにある。詳しくいうとネタバレにあるので書かないが、結構驚く(雑)。どのくらい驚くかというと、デーモン閣下が早稲田大学出身で相撲評論家であることを初めて知った時ぐらいには驚く(雑)。

あと、どんでん返しだけではなく、この仮面山荘の面白いところはクローズドサークル(閉ざされた空間での殺人)が生まれる状況にこだわり、より必然的にクローズドサークルが生じるように工夫しているところだ。吹雪で閉じ込められたり、孤島に閉じ込められるというのはクローズドサークルのお約束だが、パターンが決まっているし設定に穴が多いのもある。都合よく吹雪起こりすぎじゃねとか、頑張ったら逃げれるとかツッコむところが多いものもある。まあ、クローズドサークルはミステリー好きには堪らない設定だけど。この仮面山荘では古典的なミステリーの設定をそのまま使うのではなく、八人の男女が集まる山荘に逃亡中の銀行強盗が侵入したために外に出られなくなったという斬新な理由でクローズドサークルになる。いつものお約束状況にツッコミたい人でも満足いただけるだろう。

 

 

 ある閉ざされた雪の山荘で

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

まじでこの世の全てのミステリ好きに教えてあげたいんだが、東野圭吾には全ての人間を虜にする禁断のミステリ『ある閉ざされた雪の山荘で』がある。これがド級のどん返しがあって超絶面白いミステリだから、ぜひ全国のミステリ好き、ミステリを愛する者たち、ミステリを憎む者たち、全てのミステリ関係者に伝われ。

はい。『ある閉ざされた雪の山荘で』も『仮面山荘殺人事件』と並んで、どんでん返しの名作と言われている。仮想の雪の山荘でのクローズドサークルという異色の設定が使われたミステリー。実際に殺人が起きているのか、それとも芝居なのか分からないという、斬新なクローズドサークルになっている。上にも書いたのでここら辺の説明は割愛させていただきます。余談だけど同じトリックはとある前衛文学に使われていてたりする。

 

 

 名探偵の掟

完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。

ミステリは様式美や形式美を重んじるジャンルだ。古臭いし現実味がないけれど、密室やクローズドサークル、見立て殺人などの道具立てはロマンあふれるものだし、ミステリの醍醐味である。そんな本格ミステリの形式に真っ向から中指を立てていったのが東野圭吾の『名探偵の掟』だ。

東野圭吾は今は大衆向けの作家だけれど、昔は本格ミステリ物を多く書いていた。本格ミステリへのパロディ満載の『名探偵の掟』は、東野圭吾の本格ミステリへの愛情で溢れていると思う。じゃないとミステリの「お約束(ノックスの十戒など)」を破り、タブーに挑んだこの本を書くことが出来ないと思う。

『名探偵の掟』では、密室や見立て殺人などのミステリの「お約束」にどんどん切り込んで、パロディ化していく。東野圭吾先生ここまでやっていいんですか?と読者の側が心配になってしまう。全国の本格ミステリ好き、本格ミステリを愛する者たち、本格ミステリを憎む者たち、全ての本格ミステリ関係者に伝われ。

 

 

名探偵の呪縛

図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だったのだ。この街を作った者の正体は? そして街にかけられた呪いとは何なのか。『名探偵の掟』の主人公が長編で再登場。

 ここの説明は割愛させていただきます。

 

 

 超・殺人事件

人気推理作家を悩ませるのは巨額の税金対策。執筆経費を増やすため、小説の舞台を北海道からハワイに変えたり、ゴルフやカラオケの場面を強引に入れたり、物語はおかしな方向へ――。(「超・税金対策殺人事件」) 見切り発車で書き始めたが思いつかない結末、うっかり使い回してしまったトリック、褒めるところが見つからない書評の執筆。作家たちの俗すぎる悩みをブラックユーモアたっぷりに描いた、切れ味抜群の8つの作品集。

超・殺人事件』は、経費をでっち上げるためにミステリの筋を歪めていく作家の話など、大人の事情を十分に加味した短編集。業界の闇に鋭く切り込んでいく短編に脱帽するしかない。

 

 

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