日々の栞

生活にカルチャーを。本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

2023年版週刊文春ミステリーベスト10の作品を紹介!

毎年恒例のミステリーランキング、「週刊文春ミステリーベスト10」が発表された。

今年も多くの話題作が登場し、ミステリファンにとっては見逃せないランキングとなっている。

この記事では「週刊文春ミステリーベスト10」に入ったミステリ小説を紹介したい。

 

 

 

「週刊文春ミステリーベスト10」とは?

週刊文春ミステリーベスト10」は、1977年から毎年末に発表される日本のミステリー小説のランキングである。このランキングは、全国の日本推理作家協会の会員や書評家、文芸評論家、書店員などからのアンケートを基にしており、国内部門と海外部門に分かれている。

最初のランキングは1978年1月5日号に掲載され、それから毎年続いている。対象となる書籍は前年の11月から当年の10月までに発行された作品であり、回答者数は日本の年度別ミステリーランキングの中で最も多い。「週刊文春ミステリーベスト10」は多くのミステリーファンにとって年末の楽しみの一つだろう。

 

 

2023年版「週刊文春ミステリーベスト10」の作品を紹介

それでは「週刊文春ミステリーベスト10」に輝いたミステリ作品を紹介したい。

 


1位: 可燃物 / 米澤 穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?

2023年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた米澤穂信の『可燃物』は、群馬県警捜査一課の葛警部を主人公とする短編推理小説集である。本作は、警察官が主役のミステリとして米澤の新たな挑戦を示している。全5編から成り、各短編では葛警部が不可解な事件に挑む姿が描かれる。彼は余計なことを喋らず、上司から疎まれ、部下には良い上司とは思われていないが、その捜査能力は誰もが認めるところである。物語は、緻密な推理と巧妙な構成で、読者に驚きと納得をもたらす。米澤の美しい言葉選びが光る作品であり、ミステリファンにとって必読の一冊である。

 

 

2位:あなたが誰かを殺した / 東野 圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。 そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

2位に輝いた『あなたが誰かを殺した』は、東野圭吾の名作シリーズである加賀恭一郎シリーズの第十二作目である。『あなたが誰かを殺した』では、閑静な別荘地で発生した連続殺人事件が描かれている。毎年恒例のバーベキュー・パーティーが行われる中、突如として現れた男によって、参加者たちが命を奪われるという殺人事件が起こる。事件の真相を知りたい遺族たちは「検証会」を開催し、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎がその進行役を務める。加賀は、複雑に絡み合った人間関係の中から真実を引き出し、犯人の動機を探る。タイトルが示す通り、加害者と被害者の関係が物語の核心を成しており、読者は最後まで目が離せない展開に引き込まれる。ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊である。

 

 

3位:鵼の碑 / 京極 夏彦

百鬼夜行シリーズ新作長編!殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。妖光に翻弄される学僧。失踪者を追い求める探偵。死者の声を聞くために訪れた女。そして見え隠れする公安の影。発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。

週刊文春ミステリーベスト10」3位に輝いた京極夏彦の『鵼の碑』は、17年ぶりに発表された百鬼夜行シリーズの最新作である。物語は、日光を舞台に、殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家、消えた三つの他殺体を追う刑事、妖光に翻弄される学僧、失踪者を追う探偵など、複数の視点から展開される。タイトルの「鵼」は、虎、猿、狸、蛇の合成とされる妖怪であり、物語全体に神秘的な雰囲気を与えている。作品は、民俗学や古文書の要素を取り入れ、知的興奮と謎解きの快感を提供する。全832ページの大ボリュームで、京極ファンにはたまらない一冊となっている。

 

 

4位:エレファントヘッド / 白井 智之

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。多重解決ミステリの極限

4位の白井智之エレファントヘッド』は、精神科医の象山が家族を愛しながらも、彼の人生が一つの小さな亀裂から崩壊していく様を描いたミステリ作品である。物語は、象山が謎の薬を手に入れたことから始まり、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

このミステリの特徴は、本作が「多重解決ミステリ」となっている点である。複雑に張り巡らされた伏線と、予測不可能な展開が織りなすストーリーは、読者に驚きをもたらすだろう。各事件には複数の解決策が存在し、読者はその中から真相を見つけ出す楽しみを味わうことができる。白井智之の独自の発想と緻密な構成が光る本作は、ミステリ愛好者にとって必読の一冊だ。

 

 

5位:アリアドネの声 / 井上 真偽

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

5位の井上真偽アリアドネの声』は、障がい者支援都市「WANOKUNI」で発生した巨大地震を背景にしたミステリー小説である。主人公の高木春生は、事故で亡くした兄への贖罪の思いから、災害救助用ドローンを扱うベンチャー企業に勤務している。地震によって地下に取り残されたのは、視覚・聴覚・言語の三重障がいを持つ中川博美である。彼女を救うため、高木はドローンを使って彼女をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。迫る火災や浸水、余震といった危険が彼らを襲う中、果たして高木は彼女を救出できるのか。物語は、障がい者との共生や贖罪のテーマを織り交ぜながら、緊迫感あふれる展開を見せる。

 

 

6位:十戒 / 夕木 春央

十戒

十戒

Amazon

浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

夕木春央の『十戒』は、緊迫したミステリーが展開される作品である。物語は、浪人中の主人公・大室里英が、父と共に伯父が所有していた無人島・枝内島を訪れるところから始まる。リゾート開発の視察に集まった9人の関係者たちの中で、初日の夜に不動産会社の社員が殺される。犯人は参加者の中におり、彼らは「この島にいる間、殺人犯を見つけてはならない」という戒律を強いられる。守られなかった場合、島内に仕掛けられた爆弾が作動し、全員の命が危険にさらされる。緊張感あふれる心理戦と、巧妙なプロットが特徴で、前作『方舟』に続く期待の新作として注目を集めている。読者は、最後まで目が離せない展開に引き込まれることだろう。

 

 

7位:存在のすべてを / 塩田 武士

存在のすべてを

存在のすべてを

Amazon

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。

 

 

 

8位:木挽町のあだ討ち / 永井 紗耶子

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!

8位の永井紗耶子木挽町のあだ討ち』は、江戸時代を舞台にした時代小説である。物語は、木挽町の芝居小屋の裏で起きた仇討ちを中心に展開する。若侍・菊之助が父の仇を討つ姿が描かれ、彼の行動は周囲の人々に深い影響を与える。物語は、仇討ちを目撃した人々の語りを通じて進行し、それぞれの人生や背景が明らかになる。登場人物たちの複雑な感情や葛藤が巧みに描かれ、江戸の人情や文化が色濃く反映されている。直木賞と山本周五郎賞を受賞した本作は、時代小説の魅力を存分に味わえる一冊であり、読者に深い感動を与える作品である。

 

 

9位:世界でいちばん透きとおった物語 / 杉井 光

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。『世界でいちばん透きとおった物語』という彼の遺稿に込められた衝撃の真実とは――。

9位に輝いた杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』は、紙ならでは仕掛けが施されたミステリ小説だ。2023年で最も話題になった本かもしれない。この本の特徴はなんといっても電子書籍化することができない仕掛けにある。紙の本でしか味わえない感動がこの本にはある。

大御所ミステリ作家の宮内彰吾は、妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。その隠し子が主人公である「僕」だ。「僕」は、宮内が死ぬ間際に書いていたとされる『世界でいちばん透きとおった物語』という遺稿探しを探すことになる。

この本の仕掛けに気付いた時、作者が仕掛けた緻密なトリックに驚き、感嘆すること間違いなし。よくこのアイデアを実現させたなというのが初めて読んだ時の感想だ。

紙の本への愛情や可能性を感じた一冊である。ぜひ、紙媒体で読んで驚きの体験を味わってみてほしい。

 

 

10位:でぃすぺる / 今村 昌弘

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛けるジュブナイル×オカルト×本格ミステリ

今村昌弘の『でぃすぺる』は、ジュブナイル、オカルト、そして本格ミステリが融合した作品である。物語は、オカルト好きの小学六年生ユースケが、クラスの掲示係に立候補するところから始まる。彼は、亡き従姉の遺品であるパソコンから見つけた「奥郷町の七不思議」の謎を解明しようとする。ユースケとともに、優等生のサツキや転校生のミナが謎解きに挑む中、彼らは町に隠された大きな秘密に迫っていく。各不思議話は過去の事件の手掛かりとなり、物語は緊張感を持って展開する。今村の巧みなストーリーテリングとキャラクターの成長が魅力的であり、読者は彼らの冒険を通じて、友情や勇気の大切さを再認識することができる。

 

 

まとめ

週刊文春ミステリーベスト10」には、個性豊かな作品が揃ったなと思う。このランキングを参考にミステリを読んでみるのはどうだろう。

 

 

plutocharon.hatenablog.com

 

plutocharon.hatenablog.com

 

plutocharon.hatenablog.com

 

plutocharon.hatenablog.com 

 

plutocharon.hatenablog.com