日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

バルセロナでの情熱的な恋愛模様 / 『それでも恋するバルセロナ』 ウディ・アレン

『マッチポイント』・『タロットカード殺人事件』につづいてスカーレット・ヨハンソンを主役に据えたウディ・アレン監督の恋愛映画。一筋縄では行かない大人の恋愛模様を描いた恋愛映画。人生のほろ苦さや現実を突きつけてくる、ウディ・アレン監督らしい映画だ。舞台はスペインで、観ているとスペイン観光をした気分にもなれる。ここ最近、ウディ・アレン監督はイギリスやスペイン、フランスと映画を撮る場所が映画によって違うな。

 

いろいろややこしい大人の恋愛模様

この映画を簡単に要約すると、ひとりのスペイン人男性・アントニオを四人の女が奪い合うという話だ。こう書いてみると、昼ドラの30倍ぐらいドロドロした映画に思えるが、実際はよく分からない恋愛哲学の境地みたいなところに達していたりして、常人には理解が不能になってくる。

その境地というのが、アントニオと元妻マリア、新しい彼女クリスティーナの3人で関係を持つことになることだ。男女で関係をもつし、女同士でも関係を持つ。でもそんな関係は長く続かず破綻を迎える。ペネロペ・クルス演じる元妻マリアのメンへラ具合が恐ろしい。古今東西でメンヘラは恐ろしいものだなと。もう一人の登場人物ヴィッキーも婚約者がいながら、アントニオと関係を持ってしまう。そして、ヴィッキーは婚約者との結婚は本当に自分が望むものかと思い悩む。最終的にクリスティーナはアントニオトと別れ、ヴィッキーの方はアントニオへの思いを諦め、望まない結婚を受け入れることに決める。容赦なく人生の現実を突きつけてくるあたりがウディ・アレン監督の映画だなと。人生のほろ苦さが詰まった映画だ。ラストシーンのヴィッキーとクリスティーナのなんとも言えない表情が、人生の不条理さや空虚さを物語っている。人生は上手くいくものではないし、決して満たされるものではないんだよと言いたげな表情。ラストシーンの人生のほろ苦さを噛みしめているような表情が何ともたまらない。 結局、登場人物が最初よりも少し不幸になっている。アントニオが村上春樹の小説の主人公並みに凄くモテて、情熱溢れるスペイン人には魅力が溢れているのかなと。ウディ・アレン監督のいつもの感じのものが見たければおススメ。

 

それでも恋するバルセロナ (字幕版)

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  • スカーレット・ヨハンソン
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