画家、版画家、陶芸家、作家、映画監督として活躍した芸術家を知っているだろうか?
多才さを発揮したこの芸術家は、池田満寿夫だ。エロスの作家とも呼ばれ、官能的な作風の作品を多く残した。
小説で言えば、『エーゲ海に捧ぐ』はその前衛性と官能性で話題になった。サンフランシスコのアトリエにいる彫刻家に日本の妻から国際電話がかかってくるのだが、彫刻家の目の前には白人女性たちが痴態を繰り広げるという話だ。あらすじからして、センセーショナルなことが分かってもらえると思う。
この作品で池田満寿夫は第77回芥川賞を受賞したのだが、あまりにも官能的な内容は選考委員の間では物議を醸した。選考委員の永井龍男は本作への授賞に抗議し、芥川賞選考委員を辞任するまで至った。逆に、吉行淳之介は高く評価したようだ。内容的に吉行淳之介なら評価するのはなんとなく納得できる。
僕は素晴らしい芸術家だと思うのだけれど、多才さ故に正当に評価されていないように思う。
そんな池田満寿夫だが、晩年は熱海で創作活動に打ち込んでいた。そのアトリエは現在では池田満寿夫記念館として一般に解放されている。
昨年末に池田満寿夫記念館に行ってきたので紹介したい。場所は熱海駅よりもかなり離れた場所にある。かなり辺鄙な場所で、駅からタクシーで行くしかない。
記念館の外観はこんな感じだ。黄色の配色が目を引くデザインだ。
休日に行ったのだが、かなり人は少なかった。
これだけ辺鄙なところにあったら、わざわざ行く人も少ないだろう。
海辺の部分、海辺の光景、窓に向かって泳ぐ、海辺の午後といった作品が展示されていた。
やはり官能的な作品が多かった印象だ。
受付には池田満寿夫グッズも売っている。僕はTシャツを買ってしまった。夏に着るのが楽しみである。
記念館にいって思ったのだが、やっぱり池田満寿夫はもっと評価されてもいい芸術家なんじゃないかなと思う。