日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

驚きが止まらない!伊坂幸太郎のどんでん返しおすすめ小説5選

鮮やかな伏線回収、魅力的なキャラクター、ウィットに富んだ文章で人気を集めている伊坂幸太郎。伊坂幸太郎は人気ミステリ作家の代表格だろう。

巧みな伏線が仕掛けられた伊坂幸太郎のミステリには毎回驚かせられる。特にあっと驚くようなどんでん返しが仕掛けられたミステリも数多い。巧みな構成で読者を騙し、驚きに導くのだ。

この記事では、伊坂幸太郎のミステリの中でも特にどんでん返しが凄い作品を紹介したい。

 

 

ラッシュライフ 

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

伊坂幸太郎の構成の妙が光るのが『ラッシュライフ』だ。交錯する5人の登場人物とバラバラ死体の物語。一見するとなんの繋がりもない5人のストーリーだが、ジグソーパズルのように一つ一つピースがはまっていくと、一枚の騙し絵のように見えてくる。ラストになるにつれて、ジグソーパズルのピースがぴったりとはまっていくような快感が味わえる。まさに、エッシャーのだまし絵のような緻密な小説。映画で例えたらタランティーノ監督の『パルプ・フィクション』。

ちなみに『ラッシュライフ』に登場する泥棒・黒澤は、『重力ピエロ』や『首折り男のための協奏曲』、『フィッシュストーリー』、『ホワイトラビット』にも登場している。黒澤の魅力にはまってしまった人はどこに登場しているのか探してみてほしい。

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 清冽な余韻を残す傑作ミステリ。

どんでん返しの名作として名前が挙がることが多いのが『アヒルと鴨のコインロッカー』だ。引っ越してきたアパートで出会った青年に持ちかけられたのは本屋の襲撃だった。1冊の広辞苑を狙った書店襲撃とそれに協力する主人公。事件の全貌が明らかになった時、全てがひっくり返るような衝撃に襲われる。衝撃の展開、明かされる真実。現在と過去が繋がるとき、切なさが胸に込み上げてくる。切ない余韻を残す、名作ミステリだ。

 

 

砂漠

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

 『砂漠』は、個性豊かな大学生たちのキャンパスライフを描いた青春小説だ。魅力的なキャラクターが繰り広げるキャンパスライフを見てると、自らの大学生生活を思い出すだろう。また、まだ大学生ではない人はこの小説を読んでキャンパスライフに夢を膨らませるのも良いだろう。どこか足りなくて、どこか過剰で、何者かになれないかともがく青春時代。あっという間に過ぎ去ってしまう大学生時代を追体験できるような小説だ。

登場人物の魅力的な会話だけではなく、小説の仕掛けも優れている。あまり言及するとネタバレになるので控えるが、作品の内容にピッタリのどんでん返しだ。不毛かもしれないが可能性に満ちた大学生活を伊坂作品で味わうのはどうだろう。

 

 

ホワイトラビット 

兎田孝則は焦っていた。新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。母子は怯えていた。眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、さらに家族には秘密があった。連鎖は止まらない。ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、警察は特殊部隊 SIT を突入させる。軽やかに、鮮やかに。「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端!

伊坂マジックが冴え渡っているのが『ホワイトラビット』だ。伊坂幸太郎の作品で1番どんでん返しがすごいのがホワイトラビットだと思っている。仙台の高級住宅地で人質事件が発生する。犯人と警察との緊迫した交渉戦や事件の鍵を握るオリオン座の秘密など、鮮やかな展開に目が離せなくなる。怒涛のどんでん返しに圧倒される小説だ。世界が全てびっくり返るような感覚が味わえる。

個人的には『ラッシュライフ』と並ぶくらいの名作だと思っている。『ラッシュライフ』で登場した人気キャラクター黒澤も登場する。

 

 

夜の国のクーパー

目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。胸にはトムと名乗る灰色の猫が座り、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と言うものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きて」猫は摩訶不思議な隣国との戦争と「クーパー」について語り始める――。

夜の国のクーパーは摩訶不思議な国の戦争を人間と猫視点から描いた作品だ。伊坂幸太郎の作品の中ではファンタジー要素が強い作品だ。

 

 

関連記事

plutocharon.hatenablog.com

plutocharon.hatenablog.com