猛暑日も少なくなって段々と過ごしやすくなってきた。
真夏のピークが去ったのかもしれない。天気予報士がテレビで言っていたかどうかは知らない。
涼しくなることに嬉しさを感じる一方で、まだ夏っぽいことしてないなと寂しくなってしまう自分もいる。花火もしていないし、かき氷もまだ食べていない。そうめんはかろうじて食べた。夏の風物詩でビンゴで例えたら、ビンゴはほど遠くリーチにも届いていないと言った感じだろうか。
ある年齢を超えると、夏があっという間に過ぎ去ってしまうような感覚に囚われることが多くなった。大学生の時は夏休みが無限のように感じたのに。あの頃は終わりの見えない夏休みに退屈を感じて、早く大学が始まることを待ち望んでいた気がする。退屈な夏休みだったけれど、あれはあれで幸せな時間だったんだなと今になって思う。
大学時代の夏が恋しくなってしまうのはノスタルジーだろうか。それとも、フジファブリックの『若者のすべて』を聞いたせいだろうか。
メンタルが秒速5センチメンタルになってきたので、中身は無かったけれど充実していた大学時代の夏を思い出させる映画を紹介したいと思う。
その映画は『サマータイム・マシン・ブルース』という映画だ。
大学生の夏休みに、真夜中に友達と集まって観たことを今でも鮮明に思い出せる。
どんな映画かというと、夏休みをエンジョイする大学生たちがタイムマシーンを全力で無駄遣いするという話だ。クーラーのリモコンを回収するためだけにタイムマシンを使うのだ。それに加えて、タイムスリップするのは昨日と今日だけというスケールの小さなSFコメディだ。これだけだと何を言っているか全く分からないと思うので、もうちょっと詳細に説明しようと思う。
舞台はとある大学の「SF研究会」だ。部室のクーラーのリモコンが壊れてしまい、部員たちは蒸し風呂のようになった部室でぐったりしていた。そこに何故か突然タイムマシンが登場するのである。ツッコんではいけない。部員はこのタイムマシンを使って、リモコンが壊れる前に戻り、リモコンを回収しようとする。もっとマシなタイムマシンの使い道があっただろうに。だが、リモコンを回収して過去を改変してしまったために「現在」が消えてしまう可能性に気づいた大学生たちはどうにかして辻褄を合わせようと奮闘するのだ。
タイムマシンを使ってリモコンを回収するという壮大な無駄遣いが面白い。タイムスリップの動機はしょうもないが、映画に張り巡らされた伏線や脚本の構成は素晴らしい。SF映画として一級品であることは保証する。
馬鹿なことに全力で取り組める大学生たちが面白くもあり、羨ましくもある。この映画を見ると青春っていいなって感じてしまう。真夏のピークが過ぎて夏が終わろうとしているけれど『サマータイム・マシン・ブルース』が観たくなってしまった。
最近では森見登美彦とコラボして、『四畳半タイムマシンブルース』という本が出版されていた。こちらの本も非常に気になる。大学の青春が詰まった森見作品と『サマータイム・マシン・ブルース』のコラボは外せない。
とりあえず、フジファブリックの『若者のすべて』でも聞いて過ぎ去っていく夏に想いを馳せて、感傷に浸ろうと思う。
ちなみに、FODに『サマータイム・マシン・ブルース』があるかどうかは知らない。