日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

現代の戦争!戦後生まれの作家が描いた戦争小説まとめ

戦争の形は時代とともに移り変わる。

こんな時代だからこそ、現代作家が描いた戦争小説を紹介したい。

 

 

 

『となり町戦争』 / 三崎 亜記

現代的戦争の恐怖。ある日、突然に始まった隣接する町同士の戦争。公共事業として戦争が遂行され、見えない死者は増え続ける。現代の戦争の狂気を描く傑作。

となり町戦争』は小説すばる新人賞を受賞した三崎亜記のデビュー作だ。となり町同士が公共事業として戦争を行うという斬新な設定から話題を集めた新時代の戦争小説だ。戦争といっても血なまぐさいものではなく、隣町と隣町という小さいスケールで戦っている話だ。

この戦争は、不思議なことに町の公共事業として扱われていて、実際の戦闘に巻き込まれるということもほとんどない。目に見えない戦争だ。主人公はひょんなことから偵察業務を町から依頼され戦争に深く関わっていくのだが、実際の戦闘に遭遇することがなく現実感を抱けないでいる。

日本に住む私たちも、『となり町戦争』の主人公のように他国での戦争やテロを自分とは関係ない非現実的な出来事として捉えていないだろうか?そんな問いを突きつける小説だ。

 

 

『小隊』 / 砂川 文次

 元自衛官の新鋭作家が、日本人のいまだ知らない「戦場」のリアルを描き切った衝撃作。 北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。そして、ついに戦端が開かれた――。

芥川賞候補作にもなった「小隊」は組織の不条理を描いた戦争小説だ。「小隊」は、北海道にロシア軍が上陸し、日本の自衛隊と衝突するという架空の戦争を描いている。まるでロシアのウクライナ侵攻を予見していたような小説だ。まさに今の時代に読むべき小説だ。

まず著者が自衛隊出身ということもあってか、小説のリアリティに圧倒される。専門用語が頻繁し、読んでいる自分も自衛隊として戦場にいるかのような錯覚を抱く。映画で例えたらクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』のようだ。軍隊の専門用語で現実を「異化」させる手法は圧巻だ。

軍事的なことは僕自身よく分からないのだけれど、「小隊」で描かれているロシアの攻め方はかなりリアリティがあるらしい。戦争が始まるぞ!みたいな開戦ではなく、静かに開戦していく様は妙にリアルである。

主人公の安達は戦争を経験したことがなく、開戦した当初は戸惑っているが、組織での役割に突き動かされ滞りなく戦争を遂行していく。官僚的な組織の弊害と、個人の意思ではなく、組織での役割や組織の論理で戦争を遂行していくさまはカフカ的だなと感じる。この時代に是非読んでほしい小説だ。砂川文次入門としても是非読んで欲しい。

 

 

『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 / 岡田 利規

ブッシュがイラクに宣告した「タイムアウト」が迫る頃、偶然知り合った男女が、渋谷のラブホテルであてどない時を過ごす「三月の5日間」。疲れ切ったフリーター夫婦に忍び寄る崩壊の予兆と無力感を、横たわる妻の饒舌な内面を通して描く「わたしの場所の複数」。人気劇団チェルフィッチュを率いる演劇界の新鋭が放つ、真に新しい初めての小説。第2回大江健三郎賞受賞作。

岡田利規は『三月の5日間』で知られる劇作家だ。『三月の5日間』は、アメリカ軍がイラク空爆を開始した3月21日を間に挟んだ5日間の若者たちの行動を語る戯曲。この『三月の5日間』は小説化されており、『わたしの場所の複数』という小説とともに『わたしたちに許された特別な時間の終わり』という小説集に収録されている。この小説集は人称と視点の表現に一石を投じた傑作だ。移人称小説の先駆けとなる小説である。ぜひ読んでみてほしい。

 

 

『ヨハネスブルグの天使たち』 / 宮内 悠介

 

 

 

『指の骨』 / 高橋 弘希

太平洋戦争中、南方戦線で負傷した一等兵の私は、激戦の島に建つ臨時第三野戦病院に収容された。最前線に開いた空白のような日々。私は、現地民から不足する食料の調達を試み、病死した戦友眞田の指の骨を形見に預かる。そのうち攻勢に転じた敵軍は軍事拠点を次々奪還し、私も病院からの退避を余儀なくされる。「野火」から六十余年、忘れられた戦場の狂気と哀しみを再び呼びさます衝撃作。

 

 

『その日東京駅五時二十五分発』 / 西川 美和

 

 

『同志少女よ、敵を撃て』 / 逢坂 冬馬

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?

 

 

『ベルリンは晴れているか』 / 深緑 野分

1945年7月、ナチス・ドイツの敗戦で米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が米国製の歯磨き粉に含まれた毒による不審死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、なぜか陽気な泥棒を道連れに彼の甥に訃報を伝えに旅出つ――。