日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

超上級者向け!現代文のおすすめ参考書4選

現代文が得意あるいは現代文を強みにしたいという人に向けておすすめの現代文参考書を紹介したい。僕は現代文の参考書を数多く使ってきた。その中でもレベルが高かったものを紹介したい。

なんで現代文を極めてきたかというと、僕は理系だったけど国語が大好きな高校生だったからだ。なんなら模試の偏差値が一番高いのは毎回国語だった。某S台の記述模試の国語(理系・現代文・古文型)で全国一位になったこともある。理系に化けた文系だったので、国語(理系・現代文・古文型)で一位をとるのは案外いけたのである。これぞニッチ戦略。ちなみに一番偏差値が低かったのは、数学だった...理系とは…

そんな感じで現代文が大好きなので、学生時代はたくさんの問題集や参考書を解いてきた。現代文の参考書を使えば合法的に読書できるという発想があったからだ。なので現代文の参考書を解くのはほとんど娯楽に近かった。

国語が超得意な人向けの記事なので、現代文が苦手な方は是非ブラウザバックをお願いします。多分苦手な人には参考にならない。

 

 

『ライジング現代文ー最高レベルの学力養成』

タイトルに「最高レベルの学力養成」とあるが、タイトルに嘘偽りはない。

受験生向けの参考書の中でこの本が一番レベルが高かったと思う。テクニックに走ることなく、読解の本質を教えてくれる良書だ。残念ながら絶版になっているようだ。Amazonではあり得ないぐらい価格が高騰していて笑ってしまった。やっぱり名著として評価されているんだなとしみじみ思った。

 

 

『教養としての大学受験国語』 

もうここから普通の参考書は登場しません。次に紹介したいのは、石原千秋の『教養としての大学受験国語』だ。

大学入試の現代文では、「読解力が大事」とか「テクニックが大事」とかよく言われるが、「背景知識」も大事だと思っている。評論でよく出てくるテーマの「背景知識」があれば、問題文の理解が早くなる。知っている内容が出題されたら、そこまで頭を使って理解する必要がないので、楽になるのは当たり前だろう。

この本では評論の読み方だけではなく、現代文で頻出するテーマの背景知識も解説してくれる。この本を何周かするとかなり背景知識がつき、文章の理解が早くなるだろう。

本書は受験参考書の形をとった教養書に近い。「身体」「大衆」「国民国家」など、取り上げるテーマはいずれも現代思想のキーワードばかりだ、。社会人や大学生にとっても思考の訓練になる。

 

 

『大学受験のための小説講義』 

国語の小説を解くコツは、「ちゃんと文章を読む」ことだ。こいつ何言っているんだと思っている人が多いと思うが、実際小説が読めない人はちゃんと文章を読んでいない人が多い。自分の経験や勘違いから小説の解釈を決めつけて独りよがりな読み方をしている人が多いのだ。そういう人はだいたい感情移入しちゃったという。だが、本文に読解の根拠を求める読み方をしていれば、感情移入してても問題はちゃんと解ける。感情移入が解けない原因ではない、そもそも文章をちゃんと読んでいないのだ。

では、ちゃんと文章を読むにはどうすればいいのか?それについて詳しく書かれた本が、石原千秋『大学受験のための小説講義』だ。

この本は、本文に根拠がある読み方を解説しており、小説を読むことの本質がどういうことか教えてくれる。著者は新たな視点からの文学作品の読み方に定評がある石原千秋さん。文芸時評でも有名だ。

テクスト論って何?と思われた受験生は多いだろう。テクスト論とは小説の読み方の1つで、作者の情報はシャットアウトし文章だけに着目して読解するという読み方だ。

タイトルに「大学受験」とあるように、大学入試の国語の問題を題材に小説の読み方をレクチャーする形で書かれている。題材になっている文章はセンター試験に出題された津島佑子「水辺」や山田詠美の「眠れる分度器」や、二次試験から横光利一「春は馬車に乗って」など。センター試験の赤本よりも詳しい解説が載っている。

また、大学入試の国語に隠されたルールも説明してくれる。確かに大学入試の問題ではこういう読み方をしないといけないよなと納得した。そのルールが何かというのは本書を読んで確かめて欲しい。

大学入試と書いてあるが、もはや大学の文学部レベルの内容だ。ここまで小説を読解することができたなら、大学入試なんて余裕だろう。試験中逆立ちして問題を解いても受かるレベルだ。いや、流石にそれはない。

 

 

『ちくま評論選』

この本は有名な評論をまとめた教科書的な本だ。高校の現代文の教科書の上位交換と思ってもらったらいいだろう。

これに載っている評論は有名な学者や作家のものがほとんどだ。評論のレベルもかなり高く、読み応えのある一冊だ。レベルが高すぎて高地トレーニングにも程がある。これを解いたあとだと、センター試験の現代文が簡単に見えて仕方なかった。この本がまるまる理解できるようになれば、現代文では敵なしだろう。