日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

前進しないサメは死んでしまう / 『アニー・ホール』 ウディ・アレン

Annie Hall Official Trailer #1 - Woody Allen Movie (1977) HD - YouTube

 

ウディ・アレン監督作品の代表作といえば、『アニー・ホール』だ。ちなみに、この『アニー・ホール』は1977年アカデミー賞の主要4部門を受賞している。

数々のおしゃれな恋愛映画を作ってきたウディ・アレンだが、その原点は『アニー・ホール』にあると思う。

 

 

『アニー・ホール』は、ニューヨークを舞台に、都会に生きる男女の恋と別れをユーモラスに綴ったラブ・ストーリーだ。ウディ演じるコメディアン・アルビーは、知り合った美女アニーと意気投合して同棲生活を始める。最初はうまくいくのだけれど、だんだんと歯車が狂ってくる。最終的には、二人の間には見えない溝ができ上がってしまうのだ。

この映画は最初から最後まで実験的だ。観客に突然話しかけてきたりするし、アニメーションが入ったり、時系列シャッフルであったりと、様々な演出がつかわれている。

個性的な演出で描かれているのは男女の出会い、恋愛模様、そして別れだ。この映画は単に甘い恋愛映画ではない。ユーモアでシニカルな会話の中にも、恋愛の本質を突いた台詞が散りばめられている。

中でも印象的なセリフがこれだ。

 

「恋愛はサメと同じだ。前進し続けないと死んでしまう」

 

『アニー・ホール』はほろ苦い恋愛を描いた大人の恋愛小説だ。

 

コメディアンとして活躍していたウディ・アレンの転換点となったのが『アニー・ホール』 だ。この『アニー・ホール』はこれまでのコメディ路線と違って、ほろ苦い大人の恋愛映画になっている。上手くいかない恋愛や男女の機敏、生死観が描かれていて、深みのある映画に仕上がっている。

『アニー・ホール』をきっかけに、ウディは深みのあるシリアスな映画も撮るようになる。それが『インテリア』なのだけれど、これはあまり評判が良くなかったみたい。しかし、次作の『マンハッタン』で大きな飛躍を遂げる。モノクロで描かれるマンハッタンはとても美しいし、ラストシーンはとても印象的だ。