日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

本棚は自分の興味関心の「地層」 (あるいはチバニアンと孫氏の兵法)

本棚は自分の興味関心の「地層」だと思う。

本棚に本が山ほど積み上がっているから地層に見えたのかというとそうではない。

そうでもないと言ったが、3割ぐらいはその理由もあるかもしれない。

 

じゃあ、残り7割の理由は何かというと、本棚の中身を見ているとその当時の自分の興味関心が本の束として確認できるからだ。その興味関心の傾向を示した本の束が地層のように思えたのだ。

地層というのは、粘土や砂、礫、火山灰などが、自然の力によって運搬され堆積されて出来たものだ。1つの層はある特定の組成で構成されている。また、化石などがあればその地層がいつ頃に形成されたのかが分かる。最近で有名な日本の地層といえば「チバニアン」だろう。千葉県市原市田淵にある地層には、一番新しい地磁気逆転の記録が残っている。

 

本棚にも地層のように自分の歴史の変遷を示すような痕跡がある。

例えば、前衛文学の本が本棚に多いのだが、これは高校生・大学生の時によく読んだ本たちである。

 

例を挙げると円城塔の本だ。意味がわからないなりに楽しんでいたと思う。

 

 

また、学習効率についての学術書もいくつかあるのだが、これは社会人2年目ぐらいに学習効率を上げるためにどうすればいいのか悩んでいた時期の名残だ。メタ認知の本とかよく読んだ。あとは第二言語習得理論とか。

失恋する恋愛小説が多いのは、恋愛に悩んでいた時の名残りで、マーケティングの本が多いのは社会人1年目の意識が高い時の名残りだ。

本棚を見ていると本を買った時の自分のことを思い出す。あの頃は芥川賞作品にハマっていたよなとか。社会人3年目の頃は、カメラを持っているわけではないけど、写真家の本を買ったなとか。あと、なぜか現代音楽にハマって色々読んだなとか。

 

あと磁気の逆転を示すチバニアンではないけど、読書の傾向が大きく変わった痕跡も本棚という「地層」に見られる。

その、大きな変化というのは美術から戦略へと関心が変化したことだ。

大きすぎる変化だ。なぜこのような変化が自分に訪れたのかはよく覚えていない。

 

 

とりあえずその当時は美術やデザインにハマっていた。バウハウス関連の本も読んだし、印象派や現代アートについての本も多く読んだ。だが、理由は忘れたのだけれど、一時期から戦略についての本を読み漁った。

 

 

孫氏の兵法はもちろん読んだし、ランチェスターの法則やクラウゼヴィッツの戦争論もかじった。あとは事業戦略関連でポーターの競争戦略の本を読んだ。

こんな感じで、本棚を見ているとその当時の自分の興味関心の痕跡が垣間見れるのだ。

本棚は自分の興味関心の「地層」だなと思う。

 

今週のお題「本棚の中身」について書くために、自分の本棚を見ていたのだが、積み上げている本が多すぎて「断層」が生じないか心配になってきた今日この頃である。