僕は本を買うとき、頭のどこかで「映える」本棚を意識しているように思う。
ここで言う「映える」本棚というのは、Instagramで沢山の「いいね」がもらえるお洒落な本棚のことではない。
逆にインスタ映えする本棚が見てみたい。蔦屋書店のような間接照明を活用した本棚だろうか。
脱線したが、僕が言う「映える」本棚というのは「中身が映える」本棚のことだ。
頭に?が浮かんでいる人が多いと思う。
僕が考える中身が映える本棚というのは、堅めの哲学書や学術書、古典作品が置かれている本棚を思い浮かべる。もしかしたら本好き界隈では、インスタ映えするのかもしれない。
やっぱり、本棚に『カラマーゾフの兄弟』や『アンナ・カレーニナ』、『善悪の彼岸』があったら徳が高いし、自分ってこんな名著を読むんだなと自己肯定感が高まると思う。
きっと、本棚に名著があったらオキシトシンが普段よりも分泌されているに違いない(医学的根拠はありません)。
やっぱり、本棚に哲学書や学術書、古典作品があると自分から知性が溢れている気がしないだろうか。友人に、「映える」本棚を見せることで、「こやつできるやつだな」と牽制することも可能だ。異性に見せると、「この人知性のある人なのね」と錯覚を起こすこともできる。
効果は未知数だ。
逆に「超〇〇術」や「最速で1000万円を楽して稼ぐ方法(本当にあるか知らない)」みたいな薄っぺらそうなビジネス本が自分の本棚にあったら、自分も薄っぺらくなってしまったように感じないか。それもあってか、他人に見せたら恥ずかしいと感じる薄っぺらそうな本は本棚に置かないようにしている。まず、買わないようにしている。
なので本を買う時にも、家の本棚を思い浮かべる。この本は本棚にあると、本棚の価値をあげてくれるのかと自問しながら本を買っているような気がする。
そういう意識で選書しているので、本棚に置いてある本は小説や哲学書、と古典作品、堅めのビジネス書が多い。徳の高い本棚だと自負している。
さて、本棚におくと「映える」本だが、ある2つの出版社が思い浮かぶ。
それが、岩波書店とみすず書房だ。異論は認めない。
岩波書店は、古典の小説から哲学書・人文書・経済学と幅広くラインナップを揃えた老舗の出版社だ。読書家が寄せる信頼も厚い。特に岩波文庫には特にお世話になった。
岩波文庫は、まさに知性の殿堂ドンキ・ホーテ。いやドンキ・ホーテではない。見た目から漂う格調高さといい、簡単に返品出来ないところいい、文庫界の頂点に君臨する。
また人文書を幅広く押さえているみすず書房も非常にいい。学生には手が届きにくい価格設定だが、その白を基調とする本のフォルムは本好きを惹きつけてやまない。
最近『シン・ウルトラマン』で話題になった人文書『野生の思考』など、有名な哲学書や人文書は大体みすず書房から出版されている。
僕が本屋でバイトをしていた時の人文書担当の先輩もみすず書房を敬愛してやまなかった。
愛が深すぎる故に、本屋のバイトで稼いだお金を全部本屋で使うほどであった。
最後に、映えを追求した本棚を特別にお見せしよう。本邦初公開だ。
映えすぎて本棚が見えない。
棚の端に置かれた本はミルフィーユを形成している。まるで本の地層だ。
本棚の原形は何処に...
まさに、失われた本棚を求めて。(元ネタ:『失われた時を求めて』)
今週のお題「本棚の中身」