日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

人生はそんなもんさ / 『僕のニューヨークライフ』 ウディ・アレン

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ニューヨークに住む新人作家のジェリーは、仕事と恋に悩みはつきない。仕事では先輩作家に相談を持ちかけてもいまひとつズレたアドバイスで進歩なし。恋人のアマンダはジェリーとベッドに入るのを嫌がるように。嫌われたわけじゃないようだが、気まぐれな彼女には振り回されてばかり。そのうち彼女の母親が同居することに! ジェリーはその母親にも悩まされることになる。

ウディ・アレン といえばニューヨークだ。『マンハッタン』など、これまでにニューヨークを舞台にした映画を数多く撮ってきた。最新作の『レイニーディ・イン・ニューヨーク』もタイトル通り雨が薫るニューヨークを舞台にした映画だ。

ウディ・アレンのニューヨークを舞台にした映画には数多くの名作があるが、『僕のニューヨークライフ』は肩の力を抜いて楽しめるちょっとHなロマンティックコメディだ。ウディアレン初心者でも楽しめる映画だ。

 

ウディ・アレンを彷彿とさせるジェシー

主人公は、マンハッタンに住む新進コメディ作家のジェリー。ジェリーの早口とジョークはウディアレン 自身を彷彿とさせる。ジェリーは情熱的な恋に落ちたアマンダと同棲していたが、身勝手な彼女の振る舞いに振り回されてばかり。例えば、ジェシーが人気のレストランを予約していたにも関わらず、アマンダは2時間も遅刻しすでにご飯を食べてきたというのだ。

さらにアマンダはジェシーのベッドへの誘いにも応じず、セックスレスになっている。アマンダはいかにも男を惑わす魔性の女といった感じで、絶対外で他の男とセックスしてる感が満載だ。実際に外でやっているのだが。

他にもジェシーが気をもむ問題が色々とある。まずは、夫と離婚してから男のもとを転々としているアマンダの母がジェリーのアパートに転がり込んでくる。また、ジェリーのマネージャー・ハーヴィには執拗に契約更新を迫られるなど、ジェリーの悩みは増えるばかり。

そんな彼にアドバイスを与えているのが、ウディ・アレン演じるドーベルだ。ドーベルはジェシーに役に立つのかよくわからない助言やジョーク(ユダヤ人の自虐ネタ)を聞かせ、人生の指南役となっている。例えばサバイバルグッズをジェシーに勧めていたりする。ドーベルはジェシーにアマンダと別れることやハーヴィとの縁を切ることをアドバイスする。そして、一緒にカルフォルニアで仕事をしようと持ちかけるのであったが...

 

 

人生はそんなもんさ(Life is what it is…anything else?)

ウディ・アレンの映画ではあるあるだが、色々とドタバタが起こり、物事はしかるべきところに落ち着く。ジェシーはアマンダと別れ、ドーベルは過激な一面を見せ暴行事件を起こしたとして(本当かどうか分からない)カルフォルニアに行くのを諦める。ちなみにアマンダは病院に担ぎ込まれた時に担当していたイケメン医師とくっついていた。結局ジェシーは一人だけでニューヨークを去ることになる。ジェシーはニューヨークを去る際にタクシー運転手からこんな言葉をかけられる 

"Life is what it is…anything else?"(人生はそんなもんさ)

恋人と別れたり、仕事の岐路に立ったり、人生には色んなことがある。時には辛いこともあるが、人生はそんなものだとウディアレン に背中を押してもらえた気持ちになった。ウディ・アレンの映画にはそんな人生に対する諦念があるけれど、それと同時にそれを受け入れて生きていこうというある種の開き直りみたいなものがあると思っている。 この『僕のニューヨークライフ』は『マッチポイント』みたいにシリアスな話ではなく、軽いコメディなので気軽に観て楽しめる。僕も何かに迷うことがあったら、この映画を観て「人生はそんなもんさ」と笑い飛ばせればいいなと思う。

 

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