日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

主人公はあなた!?世にも珍しい「二人称小説」のまとめ

めちゃくちゃ好きな人以外は気にしないかもしれないが、小説の人称のメインは一人称と三人称だ。ざっくり言ってしまうと、一人称はある登場人物の目線で話が進行し、三人称では神の視点から小説が語られる。本当にざっくりだが。

だがしかし、小説の人称というのは一人称と三人称だけではない。二人称小説というのも存在するのだ。小説の可能性を追求する中で生まれた二人称小説はとても実験的な小説で、数も多くない。普通の小説じゃ物足りなくなってしまった「あなた」におすすめしたい。

世にも珍しい二人称小説を紹介していく。

 

 

『心変わり』 / ミシェル・ビュートル

まず、紹介したいのがミシェル・ビュートルの『心変わり』。二人称小説の先駆けとなったフランス小説だ。まずこの二人称小説が生まれた背景(ヌーヴォー・ロマン)を紹介したい。

ヌーヴォー・ロマンとは、1950年代のフランスで盛り上がった、前衛・実験文学の潮流だ。戦後のフランスでは、これまでの小説の根幹を覆すような小説が次々と発表されていた。その小説群は前衛的で実験的な内容から「ヌーヴォー・ロマン(新しい小説)」と呼ばれていた。

ヌーヴォー・ロマンを代表する作家の1人がミシェル・ビュートルだ。ビュートルが人称の実験を試みたのが、『心変わり』という作品になる。

 

 

『冬の夜ひとりの旅人が』 / イタロ・カルヴィーノ

 

 

パルタイ』 / 倉橋 由美子

二人称小説は海外だけではなく、日本国内でも書かれている。日本における二人称小説の代表作が倉橋由美子の『パルタイ』だろう。倉橋由美子は二人称小説を他にも書いている。

 

 

『暗い旅』 / 倉橋 由美子

 

 

あなたの人生の物語』 / テッド・チャン

 

 

『爪と目』 / 藤野 可織

ここ最近で有名な二人称小説といえば、芥川賞を受賞した『爪と目』だろう。三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。三歳児が感じる不穏な雰囲気を読者が二人称で追体験するというある種のホラー作品だ。