スパイ映画×時間逆行SFというこれまでに類のない映画『TENET』。現代を代表するクリストファー・ノーラン監督の最新作だ。『インセプション』や『インターステラー』など難解な作品を作り続けてきたクリストファー・ノーラン監督だけあって『TENET』もかなり難解な仕上がりになっていると思う。個人的にはノーランの映画の中で『TENET』が一番ややこしいと思っている。一回見ただけじゃ分からず、二回以上見ることが前提となっているのではないのだろうか。
今回は『TENET』を2回目を見るときにチェックしたい小ネタを時系列順にまとめてみた。二回目を見る際の参考にしてみて。
オープニングのワーナー・ブラザースのロゴ
ワーナー ブラザーズ ピクチャーズ Intro Logo 4K UHD 2160p 60fps
映画が始まる前には画面にワーナー・ブラザースのロゴが登場するが、『TENET』でのロゴは少し異なっている。ワーナー・ブラザースのロゴが赤色になっているのだ。『TENET』の世界では、赤色は時間が順行していることを示している。この赤色のワーナー・ブラザースのロゴは、映画が順行で始まるということを示している。オープニングのロゴが赤だったということは、エンディングのロゴの色は...
オペラハウス襲撃事件で主人公を助けたのは?
『TENET』はオペラハウスでのテロ事件から始まる。テロリストたちがオペラハウスを占拠するのだが、テロ事件というのは表面上の話。本当はウクライナ政府が内部に潜むCIAのスパイを処分するための事件だ。この事件の中でCIAに所属する主人公は、仲間のスパイを助けるためにオペラハウスに潜入する。主人公は仲間のCIAのスパイを救出することに成功する。証拠隠滅のためにテロリストたちは爆弾で観客を殺そうとすることに気づき、主人公はオペラハウスに仕掛けられた爆弾の排除に向かうが、敵に見つかり殺されそうなる。しかし、主人公は逆行弾と謎の男に助けられる。果たしてこの謎の男は誰だろうか?そのヒントは謎の男のカバンに付いている五円玉のようなキーホルダーだ。映画の終盤で明かされるが、そのキーホルダーを劇中でつけているのはニールだ。主人公はニールに助けられていたのである。
マクスウェルの悪魔
主人公が女性科学者バーバラから時間逆行の原理について説明を受けるシーン。ここではエントロピーという物理学の用語で解説している。エントロピーというのは簡単にいうと乱雑さを意味しており、この世界ではエントロピーが増大し続けている。時間逆行という現象は、エントロピーが減少することだと、このシーンでは解説されている。このシーンではホワイトボードに「マクスウェルの悪魔」というエントロピーに深く関係する思考実験のイラストが描かれている。「マクスウェルの悪魔」というのは、 分子の動きを観察できる架空の悪魔を想定することによって熱力学第二法則で禁じられたエントロピーの減少が可能であるとした思考実験だ。 「マクスウェルの悪魔」は熱力学上の難問であり、最近になって解決されている。
オスロ空港の回転ドア
オスロ空港の倉庫に保管されている偽の絵画を奪還するために、倉庫に侵入した主人公。倉庫の中心部の部屋の情報がなかったことから、中心部に何かあると思い中心部に向かう主人公。そこには回転ドアが存在していた。その回転ドアのある部屋のドアには、赤色と青色のプレートが貼ってある。主人公側は青色で、ニール側が赤色だ。『TENET』の世界では、赤色は時間の順行、青色は時間の逆行を意味している。実際に主人公側の部屋には逆行の時間軸にいる敵が現れ、ニールの部屋には順行の時間軸にいる敵が現れている。まあこの敵は未来から逆行してきた主人公そのものなのだが。
スタルスク12の戦い
スタルスク12での最終決戦では、終盤ニールに車で引っ張られることによって主人公は助けられる。このシーンだが、逆行側が攻撃を仕掛ける初めのシーンで背景に描かれている。
エンディングのワーナー・ブラザースのロゴ
オープ二ングのワーナーブラザーズのロゴは赤色であった。それに対して、エンディングのワーナーブラザーズのロゴは青色になっている。『TENET』の世界では、青色は時間の逆行を示している。この青色のワーナー・ブラザースのロゴは、『TENET』を見終わったあと(未来を知ったあと)に「逆行」してもう一回映画を見て欲しいという意味が込められているのではないか。順行で始まるということを示している。スタルスク12での戦いのように、過去(1回目の鑑賞)と未来(2回目以降の鑑賞)の「挟み撃ち作戦」で『TENET』をより楽しむのはどうだろうか。