思春期特有の儚さと危うさを描いたガーリーな映画
これが女子高の雰囲気なのかなと観たあとに思った映画『ヴァージン・スーサイズ』。
『ロスト・イン・トランスレーション』で有名なソフィア・コッポラの初監督作品だ。不安定な思春期の少女たちが淡く、儚く描かれている。アンニュイって言う形容詞はこの映画のためにあるんだなって思った。その儚さ、淡さ、そして倦怠感にとても惹かれてしまう。限られた時間しか少女にはいられない。その少女の儚さ、甘美さが詰め込まれたガーリーな映画。少女ってこんな感じなのかなって思いながら観てた。僕はどちらかというとこの男子目線で映画を観てた。そしてこの謎めいた姉妹に翻弄される男子たち。謎めいた女子だけの世界をのぞき見してしまった気分になる。サントラも凄く良い。
ただガーリーなだけじゃなくて、思春期特有の狂気や闇みたいなものも『ヴァージン・スーサイズ』では描かれている。ラックスが屋根の上でセックスをする様になり、ただガーリーな映画ではなくなってくる。親の過保護に反発するにつれて、だんだんと狂気を帯びてくる。そして、姉妹たちは狂気にとりつかれたように次々と自殺してしまう。自殺の理由は最後まで明らかにならない。彼女たちにもその理由は分からなかったのだろう。男にとって女はいつになっても謎のままだ。
だって。先生は13歳の女の子だったことがないから、きっと分からないわ。
冒頭で、13歳のセシリアが自殺未遂を起こし、病院に運ばれた際に医者にいった言葉だ。この映画には少女にしかわからない感覚がみちているのかな。自分が男子だから分からないけど。
ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹
- 作者: ジェフリーユージェニデス,Jeffrey Eugenides,佐々田雅子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 文庫
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最近まで知らなかったのだけれど、この『ヴァージン・スーサイズ』には原作小説があるらしい。それが『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』だ。前からタイトルが気になっていたけど、まさか『ヴァージン・スーサイズ』の原作だとは思わなかった。かなり忠実に映画化されてるみたいなので、ぜひ読んでみたいな。