日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

夫婦の危機をどう乗り越える?セックスレスが題材になった小説まとめ

セックスレスは、夫婦やカップルにとって重大な問題だろう。体のコミュニケーションがなくなってしまったら、二人の関係も冷え込んでしまう。セックスレスの問題を抱えながら、日々を悶々と過ごしている人は多いと思う。

だが、非常にセンシティブな問題故に相談しにくいという問題があるように思う。そんな時はセックスレスをテーマにした小説を読めば、解決の糸口を見つけることができるのではと思う。

セックスレスの苦しさや、夫婦の問題を乗り越えようとする姿を描いた小説を紹介したい。

 

 

 

奥様はクレイジーフルーツ / 柚木 麻子

結婚して三年ほどの三十歳の主婦、初美。編集者の夫とは仲が良く、優しい彼に不満はないが、夜の営みが間遠に。欲求不満で同級生の男と浮気をしそうになったり、義弟に妄想、浪人生を誘惑、果ては乳房を触診する女医にまで発情する始末。夫婦はエロさから遠ざかる? 幸せとセックスレスの両立は難しい?

夜の営みが間遠になってしまった主婦がセックスレスから抜け出そうともがく姿を描いたのが柚木麻子の『奥様はクレイジーフルーツ』だ。

 

 

よるのふくらみ / 窪 美澄

同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが――。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。

 

 

したいとか、したくないとかの話じゃない / 足立 紳

 

 

Red / 島本 理生

Red (中公文庫)

Red (中公文庫)

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夫の両親と同居する塔子は、イケメンの夫と可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせてしまう。胸を突くような彼の問いかけに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのに。

 

 

スイートリトルライズ / 江國 香織

この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―

 

 

きらきらひかる / 江國 香織

二人は全てを許し合って結婚した、筈だった……。妻はアル中、夫はホモ。セックスレスの奇妙な新婚夫婦を軸に描く、素敵な愛の物語。

 

 

村上春樹の世界観をオーディブルで味わう!Audibleで聴ける村上春樹作品まとめ

Amazonの「耳で聴く」読書、Audible(オーディブル)が、2022年1月から聴き放題に移行したのに伴い、村上春樹の作品が10作品オーディオブック化されるが決定した。

村上春樹作品は海外ではオーディオブック化されていたが、日本でオーディオブック化されるのはこれが初めてだ。

制作予定の作品は、『1Q84』、『ねじまき鳥クロニクル』、『騎士団長殺し』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『海辺のカフカ』、『螢・納屋を焼く・その他の短編』、『東京奇譚集』、『神の子どもたちはみな踊る』、『職業としての小説家』、『辺境・近境』の10作品だ。

村上春樹作品の世界観をオーディブルに落とし込むにあたり、選ばれたナレーター陣もかなり豪華だ。『ねじまき鳥クロニクル』を藤木直人、『騎士団長殺し』を高橋一生、『海辺のカフカ』を木村佳乃、『職業としての小説家』を小澤征悦、『東京奇譚集』をイッセー尾形のナレーターで配信予定だ。

 

この記事では、Audibleで配信予定の村上春樹のタイトル、ナレーターを紹介する

 

        

 

Audible(オーディブル)って何?

そもそも、Audible (オーディブル)とは何かというところから説明しよう。

Audible (オーディブル)とは、「本を聴く」という新しい読書体験だ。スマホのアプリを使えば、いつでもどこでも耳で読書ができる。移動中や作業中など、いつでもどこでも読書ができ、オフライン再生も可能だ

本は、プロのナレーターや俳優、女優によって読み上げられていて、通勤時間や家事の合間など、日常のあらゆる時間に読書を取り入れることができる。なかなか便利なサービスだ。

Audible (オーディブル)はAmazonから提供されている。Amazonが提供しているサービスとあってか、ラインナップは約40万タイトル程度ある。ジャンルは、小説にビジネス書、自己啓発書、ライトノベル、英会話、洋書と幅広い。やれやれ。

Audibleでは単品購入することもできるが、どちらかというと聴き放題プランの方がおすすめだ。Audibleの聴き放題プランだが、月額1,500円(税込)のサブスクで12万以上の作品が聴き放題になる。

 

村上春樹からのコメント

作品のオーディオブック化について、村上春樹はこうコメントしている。

僕は車を運転しながら、よく小説の朗読を聴いています。僕の場合、どちらかといえば古典作品を「聴く」ことが多いんだけど、自分の小説がほとんど同時代的に「耳で読まれる」というのは、嬉しいようでもあり、また少しばかり気恥ずかしいようでもあります。でもこれからはおそらく、多様な形式をとって小説は読まれていくのだろうし、作家の側も多かれ少なかれ、そういう新しい環境を念頭に置いて作品を書いていくことになるのだろうと思います。これまでになかった新しい可能性が生まれるといいと思う。

引用元:聴く読書「Audible」が聴き放題制へ。村上春樹やDC作品配信 - AV Watch

村上春樹作品の中でも朗読は重要なキーファクターとなることもある。映画化もされた「ドライブ・マイ・カー」では、主人公は『ワーニャ伯父さん』を朗読しており、作品において重要なシーンとなっている。

Audibleでも広がる村上春樹ワールド、ものすごく楽しみだ。村上春樹のオーディオブック化はAudibleが独占しているようだ。村上春樹のオーディオブックが聴きたいなら、AmazonのAudibleに登録するしかない。

 

 

 

オーディオブック化された村上春樹作品まとめ

それでは、今回オーディオブック化された村上春樹作品を紹介する。

今回オーディブルで聴けるようになった村上春樹作品はいずれも新潮社から出版されている作品だ。講談社や文藝春秋から出ている作品もオーディブルで聴けるようになって欲しいものだ。

 

『ねじまき鳥クロニクル』 (ナレーター:藤木 直人)

ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める…。駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。

ねじまき鳥クロニクル』は村上春樹の最高傑作との呼び声が高い作品だ。何が村上春樹の最高傑作かというのは意見の分かれるところだと思うけれど、個人的には『ねじまき鳥クロニクル』は最高傑作だと思っている。日本だけではなく、海外でも広く読まれていて評価が高い。海外に翻訳された村上春樹の作品に書かれている作家紹介にも『ねじまき鳥クロニクル』が代表作と書かれていることが多い。

妻の失踪というスケールの小さい話から、歴史や暴力などの壮大なテーマに繋がっていくのは圧巻。ストーリーテリングもさることながら、文章も素晴らしく、描写に迫力がある。特に皮剥の描写は秀逸すぎて、トラウマもの。話の構成的に『1Q84』と対になるような作品だ。

ナレーターを担当するのは、藤木直人だ。なんか主人公の「僕」の雰囲気にあっているような気がする。こうやって村上春樹の小説を「聴いて」みると、村上春樹の文章ってリズム感がいいよなって改めて思う。

 

 

『海辺のカフカ』 (ナレーター:木村 佳乃)

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。

海辺のカフカ』は、15歳の『僕』とナカタさんを主人公とする、エディプス王の悲劇を下敷きにした物語だ。『ねじまき鳥クロニクル』に引き続き暴力というテーマが扱われている。2つの話がパラレルに展開していく。クライマックスの場面は、村上春樹でしか味わえないような深い余韻を与えてくれる。

ナレーターを担当するのは、木村佳乃だ。村上春樹の世界観をどう彩るのか。

 

 

『騎士団長殺し』 (ナレーター:高橋 一生)

一枚の絵が、秘密の扉を開ける……妻と別離し、傷心のまま、海を望む小暗い森の山荘に暮らす孤独な36歳の画家。ある日、緑濃い谷の向こうから謎めいた銀髪の隣人が現れ、主人公に奇妙な事が起き始める。雑木林の古い石室、不思議な鈴、屋根裏に棲むみみずく、そして「騎士団長」――ユーモアとメタファーに満ちた最高の長編小説!

騎士団長殺し』は、村上春樹の小説を構成するアイテムたちが数多く登場し、村上春樹のベストアルバムみたいな小説だ。

また、人称が、『海辺のカフカ』・『1Q84』の時の三人称から、初期作品で使われていた一人称(「僕」ではなく「私」だが)になっていて、雰囲気も初期作品に近いものになっている。

特に『ねじまき鳥クロニクル』に雰囲気が近いなと感じた。僕はねじまき鳥クロニクルぐらいまでの初期作品が好きなので、『騎士団長殺し』はかなり好きだなと。

ナレーターを担当するのは、高橋一生だ。村上春樹作品と高橋一生はすごく雰囲気があっていると思うのは僕だけだろうか。

 

 

『螢・納屋を焼く・その他の短編』 (ナレーター:松山 ケンイチ)

もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。

長編小説だけでなく、村上春樹の短編小説もオーディオブック化されている。『螢・納屋を焼く・その他の短編』は、村上春樹を代表する短編がいくつか収録された短編集だ。

」は、『ノルウェイの森』の原形となった作品で、深い喪失感を描いている。「納屋を焼く」は、ホラーテイストの作品で、世にも奇妙な物語のような不気味な世界が広がっている。「納屋を焼く」ということの意味を考えさせられる小説だ。韓国でも映画化もされている。

ナレーターを担当するのは松山ケンイチだ。松山ケンイチは、『ノルウェイの森』を映画化した際に主人公のワタナベを演じていた。『ノルウェイの森』の主人公を演じていた松山ケンイチが『ノルウェイの森』の原形である「螢」を朗読するのは熱い展開だなと思う。

 

 

『神の子どもたちはみな踊る』 (ナレーター:仲野 太賀)

1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた――。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。

神の子どもたちはみな踊る』は、阪神淡路大震災を題材にした短編集だ。

『神の子どもたちはみな踊る』という連作短編集は元々「連作『地震のあとで』」という通しタイトルで発表されている。「地震のあとで (After the quake)」とあるように、『神の子どもたちはみな踊る』は1995年1月17日の阪神淡路大震災に影響を受けて書かれた作品をまとめた短編集だ。しかし舞台は神戸ではなく、被災地から遠く離れた場所(釧路、茨城、千葉、タイ、東京)が舞台になっており、作品中の設定は1995年2月だ。これは阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件という2つのカタストロフィに挟まれた時期だ。

「神の子どもたちはみな踊る」や「タイランド」、「かえるくん、東京を救う」、「蜂蜜パイ」などが収録されている。中でも「蜂蜜パイ」は、村上春樹の短編の中でも名作と言われている。

ナレーターを担当するのは、仲野太賀だ。

 

 

『東京奇譚集』 (ナレーター:イッセー尾形)

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

東京を舞台にした不可思議な話をまとめたのが『東京奇譚集』という短編集だ。人から名前を奪い取る「品川猿」など、不可思議な短編小説が多く収録されている。

ナレーターを担当するのは、イッセー尾形だ。

 

 

『職業としての小説家』 (ナレーター:小澤 征悦)

いま、村上春樹が語り始める――小説家は寛容な人種なのか……。村上さんは小説家になった頃を振り返り、文学賞について、オリジナリティーについて深く考えます。さて、何を書けばいいのか? どんな人物を登場させようか? 誰のために書くのか? と問いかけ、時間を味方につけて長編小説を書くこと、小説とはどこまでも個人的でフィジカルな営みなのだと具体的に語ります。小説が翻訳され、海外へ出て行って新しいフロンティアを切り拓いた体験、学校について思うこと、故・河合隼雄先生との出会いや物語論など、この本には小説家村上春樹の生きる姿勢、アイデンティティーの在り処がすべて刻印されています。生き生きと、真摯に誠実に――。

職業としての小説家』は、村上春樹が小説や文学賞などについて語ったエッセイだ。村上春樹といえばノーベル文学賞候補として騒がれているが、文学賞のことを村上春樹はどう思っているのかなど書いてある。なかなか面白いので、ぜひ聞いてみてほしい。

 

 

『1Q84』 (ナレーター:杏、柄本 時生)

1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。

1Q84』は社会現象にもなった村上春樹のベストセラーだ。単行本・文庫の累計部数はなんと約860万部という驚異的な数字である。ミステリアスな登場人物とストーリーが話題になり、多数の人が買い求めるなど社会現象にもなった。

謎の宗教団体、「空気さなぎ」という不思議な小説、リトルピープル、ミステリアスな少女ふかえり、と謎めいた要素がてんこ盛りで、ページをめくる手が止まらなくなる。

ヤナーチェクのシンフォニエッタが壮大な物語の始まりを告げ、心踊る展開。面白くない訳がない!壮大な物語がどのように収束するのか気になってページをめくる手が止まらない。しかし、宗教団体などの社会的な問題(大きな物語)が個人の恋愛(小さな物語)に収束していくのは個人的に評価の分かれるところ。

ナレーターを担当するのは、杏と柄本時生だ。

 

 

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 (ナレーター:大森 南朋)

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、静謐な世界を舞台にした大人向けのファンタジー小説だ。村上春樹独特のクセが少なく、初めて村上春樹を読む人にも薦めたい。この作品で村上春樹は第21回谷崎潤一郎賞を受賞している。

不思議な異世界を描いた「世界の終り」とスリリングな展開が繰り広げられる「ハードボイルド・ワンダーランド」が並行(パラレル)に進行していく構成になっている。進むにつれて、2つの世界が徐々に繋がっていくのだ。「計算士」や「組織(システム)」、「記号士」、「工場(ファクトリー)」など謎めいた組織が暗躍していて、謎めいた組織は何なのが気になってページをめくる手が止まらなくなる。この作品は、読者を日常から離れた不可思議な世界に読者を連れていってくれる。

ナレーターを担当するのは、大森 南朋だ。

 

 

『辺境・近境』 (ナレーター:永山 瑛太)

久しぶりにリュックを肩にかけた。「うん、これだよ、この感じなんだ」めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町……。NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃! 旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。ご存じ、写真のエイゾー君と、讃岐のディープなうどん紀行には、安西水丸画伯も飛び入り、ムラカミの旅は続きます。

村上春樹のエッセイ『辺境・近境』もオーディブルで聴けるようになる。モンゴル草原などの「辺境」と、神戸といった「近境」について書かれた旅行記だ。

ナレーターは、永山瑛太だ。

 

 

Audibleの利用開始方法

Audibleで村上春樹を聴きたくなっただろうか。今すぐ聴きたいという人のために、Audibleの登録について簡単に説明する。

 

Audibleの利用開始は簡単で、最低限次のことをすれば大丈夫だ。

 

①AmazonのIDを用意する

②WebブラウザでAudible会員に登録

③専用のアプリをダウンロード

 

Amazonのアカウントを持っていない人は、まずはAmazonアカウントから作ろう

また、スマホのAmazonのアプリからは登録できないので、手続きはブラウザから始めよう。

料金プランだが、Audibleで色んな作品を聞こうと思うのなら、「有料会員」になった方がお得だ。Audibleの聴き放題に制限はないので、一月に何冊でも聞くことができる。まあこれはお財布に相談案件である。

「会員登録」してから、30日間は無料体験プランの期間なので、とりあえず登録してAudibleを試してみるのもいいかもしれない。退会の手続きも簡単にできる。

無料体験期間が1ヶ月ではなく30日間であるところは要注意だ。

 

 

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村上春樹の幻の小説「街と、その不確かな壁」を読む方法

 

その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。

村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。

『街とその不確かな壁』の発売を受けて注目を集めている村上春樹の中編小説がある。それは、「街と、その不確かな壁」だ。タイトルが非常に似ていることから注目を集めているのだ。ただ、この作品は村上春樹自身が失敗作としていることもあり、単行本や文庫、全集にも収録されていない。

この記事では、村上春樹の幻の中編小説「街と、その不確かな壁」を入手して読む方法を説明したい。

 

 

「街と、その不確かな壁」ってどんな作品?

村上春樹「街と、その不確かな壁」は1980年『文學界』9月号に掲載された作品だ。インタビューによると、この作品は『1973年のピンボール』が芥川賞候補となったことにより、その受賞第1作として発表することを意識して書かれたようだ。結局芥川賞は受賞しなかったのだけれど。

街と、その不確かな壁」は、単行本や文庫本、全集にも収録されていない幻の作品だ。化入手して読むのが難しい。物語の結末が村上春樹本人にとって納得のいくものではなかったようで、村上春樹自身「あれは失敗」であり、「書くべきじゃなかった」とも語っている。失敗作ということで収録されていないのだ。

失敗作と言われた「街と、その不確かな壁」だが、その内容は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」パートに引き継がれた。

最新作『街とその不確かな壁』は、過去作「街と、その不確かな壁」のセルフリメイクという形になりそうだ。最新作との違いを考察する上でも読んでおきたい作品だ。

 

 

「街と、その不確かな壁」を読む方法

さて、幻の中編と言われる「街と、その不確かな壁」だが、読む方法はあるのだろうか。本屋にはもちろん売っていないので、方法を考えなければならない。現在、「街と、その不確かな壁」を読む方法は大きく二つある。

①古本を入手する

②国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用する

値段を考えると、②国立図書館の遠隔複写サービスの方がおすすめだ。それぞれの方法について説明しよう。

 

①古本を入手する

一つ目の方法は、Amazonやメルカリで「街と、その不確かな壁」が収録された文學界(1980年9月号)を購入するというものだ。しかし、「街と、その不確かな壁」が収録された文學界にはプレミアがついており、非常に高値で取引されているのがネックだ。

ちなみに2023年4月時点では、Amazonで80,384円で販売されていた。めちゃくちゃ高い...やれやれ。なので次の方法をお勧めしたい。

 

②国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用する

ndlonline.ndl.go.jp

古本を入手するのは非常に難しくお金がかかる。手軽でコストを抑えて「街と、その不確かな壁」を入手する方法がないかというところで、お勧めしたいのが国立国会図書館の複写サービスだ。

国立国会図書館は国会に属する唯一の国立の図書館だ。日本国内で出版されたすべて出版物は国立国会図書館に収集されることになっており、本好きにとっては夢のような場所だろう。単行本や文庫だけでなく、雑誌のアーカイブも全て収録されている。東京と京都の二ヶ所にあるので近い人は行ってみるのがいいかもしれない。

また、現地に行って複写するだけでなく、ネットから依頼できる遠隔複写サービスというものがある。便利な時代になったものだ。遠隔複写サービスは、利用者登録をすれば登録すれば誰でも利用することができる。

「街と、その不確かな壁」を、国立国会図書館の遠隔複写サービスで依頼する方法を詳しく説明しよう。

 

1. 国立国会図書館オンラインの登録

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まずは、国立国会図書館オンライン(国立国会図書館オンライン | National Diet Library Online)にアクセスし、利用者登録をしよう。ホームページの画面右上に「ログイン」という部分があるので、クリックして左下の「新規利用者登録」から登録を進めよう。

必要情報を入力し、登録が完了すると登録確認のメールが届く。国立国会図書館オンラインのホームページにて、届いた登録利用者IDとパスワードでログインすれば完了だ。

 

2. 複写希望箇所(街と、その不確かな壁)の申請

ログインができれば、遠隔複写サービスの申請に進もう。複写を依頼する箇所だが、「街と、その不確かな壁」だと複写箇所は『文學界』1980年9月号 pp.46~99だ。

また雑誌の表紙と目次も追加でお願いすることができる。

 

3. 複写の到着

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複写を依頼してから大体2週間ぐらいで複写が届く。僕が依頼した時は村上春樹の最新作のタイトルが『街とその不確かな壁』と明かされた直後だったので、依頼が集中して時間がかかったのかもしれない。


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国立国会図書館の遠隔複写サービスで届いた書類がこれだ。

 

4. 複写料金の支払い

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「街と、その不確かな壁」の複写が届いたら依頼料金を支払おう。今回遠隔複写を依頼した際の利用料金は、1,227円だった。プレミアがついている「街と、その不確かな壁」掲載の文學界を手に入れることを考えるとかなりリーズナブルだ。

支払い方法はコンビニや郵便局での支払いや銀行振込も可能である。詳しくは受け取った書類に書かれている。

 

 

まとめ

村上春樹の幻の中編小説「街と、その不確かな壁」を手に入れる方法だが、①古本を入手する②国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用するの二つの方法がある。古本の入手にはコストが非常にかかるので、国立図書館の遠隔複写サービスの方がおすすめだ。

 

 

『街とその不確かな壁』の予約受付中

その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。

『街とその不確かな壁』だが、ネット書店では予約が始まっている。Amazonや楽天ブックス、hontoなど主要なネット書店では今から予約することができる。確実に手に入れたい人は予約した方がいいかなと思う。

 

また電子書籍でも発売されるので、Kindleで読むのもいいかもしれない。

『街とその不確かな壁』を単行本で読むか、あるいは電子書籍で読むかはあくまで形而上的な問題であって、それで『街とその不確かな壁』の良さが変わるわけではないのだ。

やれやれ。

 

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ミステリ界の一発屋!?一作だけの幻のミステリ作家まとめ

一時的にのみ活躍を見せた歌手や芸人を一発屋と読んだりする。一発屋というと芸人のイメージが強いかもしれない。

だが、ミステリ作家にも一発屋はいる。インパクトのあるトリックでデビューしたものの、その後の作品が続かない作家のことだ。

この記事では、デビュー作で爪痕を残したものの次回が出ていない作家を紹介する。

 

 

『消失!』 / 中西 智明

高塔市―赤毛の人々が数多く住む奇妙な街で、その事件は起こった。美しい赤毛の持ち主ばかりを次々に殺害し、忽然と「消失!」する黒ずくめの男の謎。痕跡ゼロ、関連性ゼロの完全犯罪に名探偵新寺仁が挑む!ミステリマニアの間で伝説と化していた本書が今また甦る。

ミステリにおける一発屋を考えた時に真っ先に思いつくのは、中西智明の『消失!』だろう。中西智明は、『消失!』以外に作品を発表していない。

読者を驚かすことに力点がおかれたこの作品は、衝撃的なトリックが仕掛けられている。どんでん返しの名作と行っても良いかもしれない。こんなトリックは例をみない。是非読んでみて、衝撃的なトリックに挑んで見てほしい。

 

 

『火蛾』 / 古泉 迦十

十二世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。男が語ったのは、姿を顕わさぬ導師と四人の修行者たちだけが住まう山の、閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。未だかつて誰も目にしたことのない鮮麗な本格世界を展開する。第十七回メフィスト賞受賞作。

クセの強いミステリが受賞することに定評があるメフィスト賞で一発屋といえば古泉迦十だろう。

古泉迦十はメフィスト賞受賞作『火蛾』しか発表していない。『火蛾』は一発という名が相応しいほど完成度の高いミステリだ。中世の中近東を舞台に修行者たちの間で起こる密室殺人を描いた本作は、本格ミステリ史上に残る伝説的傑作と評価されてる。

『火蛾』はイスラム世界を舞台にした幻想ミステリである。ミステリ要素よりも、イスラムの特異な世界観に魅力がある小説だ。「本格ミステリこれがベストだ!」2001年版第一位を初めとして、「本格ミステリ・ベスト10」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」などあらゆるミステリー・ベスト10にランクインしている。

 

 

『ヴィーナスの命題』 / 真木 武志

ヴィーナスの命題 (角川文庫)

ヴィーナスの命題 (角川文庫)

  • 作者:真木 武志
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon

夏休み、学園のグランドで発見された生徒の死体。自殺? 他殺? 才能溢れる高校生たちの仮説がついにあぶり出す"解"とは? 『読者を選ぶ』ともいわれる難解さゆえに賛否が大きく分かれた野心的、待望の文庫化!

真木武志の『ヴィーナスの命題』は、第20回横溝正史賞の選考会で賛否両論をよんだ作品だ。横溝正史賞の受賞は逃したものの、選考委員の1人である綾辻行人の推薦もあり、刊行されることとなった。ミステリよりも青春小説に近いような内容だ。

 


『予告された殺人の記録』 / 高原 伸安

ダイイングメッセージは華麗なカトレアの花…。ロサンジェルスの高級住宅街で起こった殺人事件は、密室で自殺した男の犯行なのか。物言わぬ花はいったい何を告げるのか。事件に巻きこまれた“私”推理行は、ありうるべからざる犯人の名前を指し示す。ミステリー最後の放れ業に挑戦した驚天動地の大異色作。

『予告された殺人の記録』は、ミステリ最後の放れ技と言われている「読者が犯人」に挑戦した作品だ。

 


『鬼に捧げる夜想曲』/ 神津 慶次朗

続発する怪死、更には十九年前の失踪事件をも包含する真相が暴かれるとき、満月島は震撼する。第十四回鮎川哲也賞受賞作。

戦後間もない時代設定、曰く付きの島、奇妙な風習とそして新婚初夜に密室で惨殺されるというように横溝をかなり意識している内容になっている。

 

意外すぎる!?芥川賞を受賞していない有名作家まとめ

芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。

純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房大江健三郎中村文則平野啓一郎川上未映子綿矢りさ阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。

実力のある作家に賞を与えて世に送り出してきた芥川賞だが、一部の作家は正当に評価できていなかったという声もある。実力はあるが、意外にも芥川賞を受賞していない作家もいるのだ。

かつて選考委員だった池澤夏樹は、「かつて芥川賞は村上春樹、吉本ばなな、高橋源一郎、島田雅彦に賞を出せなかった。」というコメントを残している。

そんな実力があるが芥川賞を受賞してない有名作家を紹介したい。

 

 

 

芥川賞とはどんな文学賞?

まず、芥川賞について簡単に説明する。芥川龍之介賞、通称芥川賞は、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞じゃないだろうか。他の文学賞と違って、一年に2回実施されている。

純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品となる小説の長さは中編程度が多い。

「三島由紀夫賞」と「野間文藝新人賞」とならんで、三大純文学新人賞と言われている。純文学の新人にとっては登竜門的な賞だ。

 

 

芥川賞を受賞していない作家

 

太宰 治

『人間失格』や『斜陽』などの作品で知られる太宰治だが芥川賞を受賞していない。太宰治が生きていた時には芥川賞はなかったんじゃないかと思う人もいるかもしれない。だが実は、太宰治は第1回芥川賞で候補になっているのだ。太宰治がデビューしたての頃の話だ。

太宰治は当時パビナール中毒症に悩んでいることもあり、薬品代の借金もあったため芥川賞の賞金を熱望していた。だが結局は受賞しなかった。

ちなみにこの時の選考委員には川端康成がいた。この時選考委員の一人だった川端康成は太宰について、「例へば、佐藤春夫氏は『逆行』よりも『道化の華』によつて作者太宰氏を代表したき意見であつた。(中略)そこに才華も見られ、なるほど『道化の華』の方が作者の生活や文学観を一杯に盛つてゐるが、私見によれば、作者目下の生活に嫌な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みがあつた」と言ったことに対し[、太宰は『文藝通信』において以下のように反論し

 

中島敦

高校国語でお馴染みの「山月記」を書いた中島敦も実は芥川賞を受賞していない。中島敦は、「光と風と夢」で第15回芥川賞の候補になっているのだが、惜しくも受賞を逃している。

中島敦は喘息を患っており、それが原因で33歳という若さでこの世を去ってしまう。もっと長生きしていたら数多くの名作を残していただろうに。遺作となった『李陵』の評価は高く、代表作として読まれている。

 

 

三島由紀夫

三島由紀夫も芥川賞を受賞していない。よく言わせる説としては、三島由紀夫が新人の時は戦争が原因で芥川賞が中断されていたというものだ。芥川賞が再開された時には三島由紀夫は新人という範疇に入らない作家になっていたために候補に選ばれていないという理由である。ただ厳密にいうとそこまで、新人の時期と芥川賞中断の時期が被っていないので、他にも理由がある気がする。

 

 

津島佑子

『ヤマネコ・ドーム』などで知られる津島佑子も芥川賞を受賞していない。ちなみに、津島佑子は太宰治の娘である。これまでに、「狐を孕む」、「壜のなかの子ども」、「火屋(ほや)」が候補に挙げられている。

 

 

村上春樹

現代日本文学を代表する作家・村上春樹も実は芥川賞を受賞していない。村上春樹はデビューしてから2回芥川賞候補にあげられている。候補になった作品というのが、デビュー作の『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』だ。

今では世界的な作家となっている村上春樹だが、デビュー当時の文壇の反応は賛否が分かれていた。村上春樹は、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビューした。この時の群像文學新人賞の選考委員は佐々木基一、佐多稲子、島尾敏雄、丸谷才一、吉行淳之介だ。この中では、丸谷才一吉行淳之介からは高い評価を受けた。

デビュー作の『風の歌を聴け』は第81回芥川賞候補作品に選ばれたが、そこでは否定的な反応の方が多く、受賞にはつながらなかった。結局、村上春樹は『1973年のピンボール』でも芥川賞を受賞できなかった。

次回作の『羊をめぐる冒険』から村上春樹は長編小説を中心的に書くようになり、芥川賞候補になることはなかった。芥川賞は中短編の小説を対象とする賞だからである。

村上春樹を評価できなかったというのも芥川賞が批判される理由の1つである。

 

 

高橋源一郎

高橋源一郎は、パロディやパスティーシュを駆使し、前衛的なポストモダン文学を数多く生み出してきた作家だ。

代表作には、『さようなら、ギャングたち』、『ジョン・レノン対火星人』、『優雅で感傷的な日本野球』、『日本文学盛衰史』などがある。個人的には『さようなら、ギャングたち』を初めて読んだ時の驚きが忘れられない。

高橋源一郎に関しては一度も芥川賞候補に入ったことがない。芥川賞と同様の若手向けの文学賞・三島由紀夫賞は受賞しているのだが。芥川賞が取りこぼした有名作家というと高橋源一郎や村上春樹、島田雅彦あたりが1番に思い浮かぶ。

 

 

島田雅彦

芥川賞の選考委員を務めている島田雅彦も実は芥川賞を受賞していない。

デビューからわずか四年で、芥川賞に六回ノミネートされたのだが、六回とも落選している。候補になったのは、「優しいサヨクのための嬉遊曲」「亡命旅行者は叫び呟く」「夢遊王国のための音楽」「僕は模造人間」「ドンナ・アンナ」「未確認尾行物体」の6作品。どの作品も素晴らしいのだが、何故か受賞を逃している。これに関してはどう考えても選考委員側でのミスではないかと思う。

ちなみに、これらの候補作は『島田雅彦芥川賞落選作全集』という短編集に収録されている。凄まじいタイトルだ。気になる人は是非読んで見てほしい。

 

 

山田詠美

芥川賞選考委員を務める有名作家・山田詠美も芥川賞を受賞していない。山田詠美に関しては芥川賞ではなく直木賞を受賞している。芥川賞と直木賞を同時に取れることはかなり難しいのだ。

山田詠美は、「ベッドタイムアイズ」や 「ジェシーの背骨」、「蝶々の纏足」で芥川賞候補になっていた。

結局、山田詠美は『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞している。『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』だが、現在は絶版になっているので、是非とも幻冬舎には復刊して頂きたいものだ。

 

 

吉本ばなな

TSUGUMI』や『キッチン』といった名作を残している吉本ばななも芥川賞を受賞していない。意外である。「うたかた」や「サンクチュアリ」という小説が芥川賞候補になっているのだが、受賞には至っていない。

 

 

松浦理英子

松浦理英子は、前衛的な小説で知られる小説家だ。

寡作で有名な作家で、『親指Pの修業時代』から次作『裏ヴァージョン』まで7年、『犬身』までさらに7年が費やされている。寡作なのも影響しているかもしれない。

「葬儀の日」や「乾く夏」が芥川賞候補になっている。

 

 

舞城王太郎

舞城王太郎はエンタメや純文学といったジャンルを横断し活躍している作家だ。小説内構造をいじるメタフィクション小説に定評があり、『九十九十九』や『ディスコ探偵水曜日』などインパクトの大きい問題作を多く執筆している。 『好き好き大好き超愛してる。』や『ビッチマグネット』、『短編五芒星』、『美味しいシャワーヘッド』が候補入りしている。特に『短編五芒星』は、短編集が芥川賞候補になるという異例の事態だった。村上龍が選考を棄権するという珍事も起こった。

 

 

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社会現象にも!話題になった芥川賞受賞作品まとめ

芥川賞といえば純文学の登竜門的な賞だ。

純文学で優れた新人に与えられる賞で、安部公房や大江健三郎、中村文則、平野啓一郎、川上未映子、綿矢りさ、阿部和重など数多くの有名作家が受賞してきた。

芥川賞は文学賞の中でも特に有名な賞である。それもあって、受賞作がベストセラーになったり、社会現象になったことも数多くあった。

歴代の芥川賞受賞作品の中でも、特に話題になった受賞作品について紹介したい。

 

 

 

芥川賞とはどんな文学賞?

まず、芥川賞について簡単に説明する。芥川龍之介賞、通称芥川賞は、新人作家の純文学作品に与えられる文学賞だ。文学賞の中で一番知名度がある賞だと思う。他の文学賞と違って、一年に2回実施されている。

純文学というと定義が難しいのだけれど、芥川賞に限っていえば、「文學界」・「新潮」・「群像」・「すばる」・「文藝」の五大文芸誌に掲載された作品が候補の対象となる。候補の作品となる小説の長さは中編程度が多い。

三島由紀夫賞」と「野間文藝新人賞」とならんで、三大純文学新人賞と言われている。純文学の新人にとっては登竜門的な賞だ。

 

社会現象・話題になった芥川賞受賞作品の紹介

太陽の季節 / 石原 慎太郎

ベストセラー、映画化、「太陽族」、PTAが大攻撃……。戦後の日本社会に衝撃を与えた若き石原慎太郎の鮮烈なデビュー作。女とは肉体の歓び以外のものではない。友とは取引の相手でしかない……。退屈で窮屈な既成の価値や倫理にのびやかに反逆し、若き戦後世代の肉体と性を真正面から描いた「太陽の季節」。

芥川賞受賞作で社会現象になったといえば石原慎太郎の『太陽の季節』を思い浮かべる人が多いかもしれない。石原慎太郎といえば、東京都知事の印象が強いかもしれないが、芥川賞を受賞した小説家なのである。

既成の倫理感を揺さぶる反倫理的なストーリーが話題を呼び、戦後の日本社会に影響を与えた作品だ。『太陽の季節』は映画化もされ社会現象にもなった。特に、慎太郎刈りやサングラスといった格好をした無秩序な行動をとる享楽的な若者は「太陽族」と呼ばれ流行語化した。「太陽族映画」を観て影響を受けたとして、青少年が事件を引き起こすのも問題となった。

ストーリーは、自堕落な生活を送る高校生の竜哉とナンパした英子と関係性を描くというのものだ。竜哉の英子に対するぞんざいな扱いが物議を醸した。また、障子のシーンがセンセーショナルで特に有名だろう。

反倫理的なストーリーや、有名な障子のシーンなどセンセーショナルな面が強調される『太陽の季節』だが、根本で描かれているのは古典的な恋愛だったりする。ぜひ一読あれ。

 

 

されどわれらが日々 / 柴田 翔

1955年、共産党第6回全国協議会の決定で山村工作隊は解体されることとなった。私たちはいったい何を信じたらいいのだろうか。
「六全協」のあとの虚無感の漂う時代の中で、出会い、別れ、闘争、裏切り、死を経験しながらも懸命に生きる男女を描き、60~70年代の若者のバイブルとなった青春文学の傑作。第51回芥川賞受賞作品。

小説で話題になるものは、時代性を反映した青春小説が多い。柴田翔の『されどわれらが日々 』は、1950年代末の時代性を大きく反映させ、発行部数が多い小説だ。この小説が描いているのは、「六全協」のあとの虚無感だ。

六全協とは、1955年7月の日本共産党第六回全国協議会のことである。この会議を機に日本共産党は、「武装闘争」を放棄して、議会を重視する方針に転換した。この出来事が学生運動に身を投じる学生に虚無感を与えたのだ。

語り手の「私」こと文夫は、東京大学大学院程に在籍中の「知識人予備軍」だ。文夫には節子という婚約者がいる。文夫と対照的な生き方をしている登場人物として佐野という男性が描かれている。彼は共産党員で、大学時代は「山村工作隊」として地下に潜っていた。しかし彼は六全協の後に自殺したのである。「武力闘争」という生活の中心を失い、虚無感に襲われた佐野は自殺を選んだのだ。文夫と節子は佐野の死に衝撃を受け、自分の人生に後ろめたさを感じるのである。

『されどわれらが日々』は、「革命に命をかける人もいる中で、自分は知識人として生きるだけでいいのか」というという問いを突きつけているのである。六全協という時代背景が分からないととっつきにくい小説だが、1950年代の雰囲気を味わうには良い小説だ。

 

 

赤頭巾ちゃん気をつけて / 庄司 薫

学生運動の煽りを受け、東大入試が中止になるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ愛犬が死に、幼馴染の由美と絶交し、踏んだり蹴ったりの一日がスタートするが―。真の知性とは何か。戦後民主主義はどこまで到達できるのか。青年の眼で、現代日本に通底する価値観の揺らぎを直視し、今なお斬新な文体による青春小説の最高傑作。

時代を反映しているためか学生運動を描いた作品はベストセラーになったものが多い。庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、学生運動の煽りで東大入試が無くなった年を描がいた青春小説だ。この小説は第61回芥川賞を受賞し、ベストセラーにもなった。

ストーリーとしては、東大入試が中止になるという災難に見舞われた薫くんのツイてない一日が綴られた小説だ。『ライ麦畑でつかまえて』を彷彿とさせるような、口語体の斬新な文体が用いられていることでも話題になった。主人公の薫くんの視点から描かれているのは、知性の危機と大衆消費社会の興隆、そして「優しさ」が失われてしまうことへの危惧だ。

 

 

限りなく透明に近いブルー / 村上 龍

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。

芥川賞受賞作品が社会現象となるパターンの一つとして、センセーショナルな内容が描かれているというものがあると思う。石原慎太郎の『太陽の季節』もそのパターンに当てはまるだろう。

同じパターンでいうと、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』が一番話題になったのではないかと思う。

村上龍の『限りなく透明に近いブルー』は、米軍基地の街・福生を舞台にドラックとセックスに満ちた退廃的な生活を送る若者を描いた作品だ。主人公のリュウの視点で退廃的な生活が描かれていくのだが、感情移入を排した客観的な表現でセックスや暴力が描かれているのが特徴だ。

『限りなく透明に近いブルー』の発行部数は単行本131万部(2005年時点)で単行本・文庫本の合計で367万部(2015年時点)に達する。単行本部数のトップは『火花』だが、芥川賞受賞作としては歴代1位の売り上げになる。

 

 

僕って何 / 三田 誠広

僕って何 (河出文庫)

田舎から上京し、学園闘争真っ只中の大学に入学した僕。受験勉強の他に何も知らない母親っ子の僕が、いつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻き込まれ、年上の女子学生・レイ子と暮らすことになる…。僕って何?青春の旅立ちを描いた、芥川賞受賞の永遠の青春小説。

三田誠広の『僕って何』は、『赤頭巾ちゃん気をつけて』のように学生運動を描いた青春小説だ。この頃になると学生運動の勢いは衰えていて、この小説では激化する学生運動やその空疎さを皮肉交じりに描いている。この小説は学生運動そのものが主題というわけではなくて、主人公の「僕」が「B派」というセクトに身を置き、セクト争いに巻き込まれる中で、自らのアイデンティティを模索するというのがあらすじだ。まさしく、タイトル通り「僕って何」?だ。

「僕」は学生運動にのめり込んでいるという訳ではなく、部活やサークルの延長線上で、学生運動に参加しているに過ぎなかった。「僕」にとってセクトとは自らのアイデンティティを保つための装置にしか過ぎないのだ。「僕」が求めていたのは、自分を認めてくれる場所だった。コミュニティのとしての学生運動や派閥を描いているのが面白いなと思う。

 

 

エーゲ海に捧ぐ / 池田 満寿夫

サンフランシスコのアトリエにいる彫刻家を責め立てる、日本の妻からの長い国際電話。彫刻家の前には二人の白人女性が…。卓越したシチュエーションと透明なサスペンスで第七十七回芥川賞に輝いた表題作ほか二篇を含む、衝撃の愛と性の作品集。

官能的でセンセーショナルな内容で話題を集めたのが、池田満寿夫の『エーゲ海に捧ぐ』だ。池田満寿夫は、元々版画などを手がける画家であり、画家が芥川賞を受賞したのは池田満寿夫が初めてである。芥川賞は三田誠広の『僕って何』との同時受賞である。

官能的な内容が物議を醸し、芥川賞選考委員の間でも評価が真っ二つに分かれた。内容としては、日本の妻から電話がかかってくる中で彫刻家の目の前で二人の白人女性が痴態を繰り広げているというような内容だ。視覚と聴覚を分断した表現は現代でも新鮮で、もっと評価されてもいい作品だとも思う。後に、『エーゲ海に捧ぐ』は池田満寿夫自身の手によって映画化されている。

『エーゲ海に捧ぐ』と『僕って何』が掲載された文藝春秋1977年9月号は100万部を記録している。

 

 

蹴りたい背中 / 綿矢 りさ

ハツとにな川はクラスの余り者同士。ある日ハツは、オリチャンというモデルのファンである彼の部屋に招待されるが……文学史上の事件となった百二十七万部のベストセラー、史上最年少十九歳での芥川賞受賞作。

2000年代に入って話題を集めた芥川賞受賞作といえば、綿矢りさの『蹴りたい背中』だろう。金原ひとみの『蛇にピアス』と同時受賞で話題を集めたのを覚えている人は多いかもしれない。綿矢りさはそれまでの最年少記録(第56回・丸山健二の23歳0ヶ月)を大幅に更新した。芥川賞受賞作と選評が掲載された『文藝春秋』は、雑誌としては異例の初回刷80万部、最終的には118万5000部を記録したようだ。単行本は芥川賞受賞作としては村上龍『限りなく透明に近いブルー』(131万部)以来、28年ぶりのミリオンセラーとなった。ちなみに2004年末までの発行部数は127万部だ。

ストーリーとしては、クラスの余り物同士のハツとにな川の交流を描くというものだ。感覚的でリズミカルな文体が新鮮で、文体にすごく魅力を感じる作品だ。すごく読みやすいのでぜひ読んでみてほしい。

 

 

蛇にピアス / 金原 ひとみ

蛇のように舌を二つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。恋人アマとサディスティックな刺青師シバさんとの間で揺れる心はやがて…。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞W受賞作。

上で書いた綿矢りさの『蹴りたい背中』と同時受賞で注目を集めたのが金原ひとみの『蛇にピアス』だ。この時は金原ひとみと綿矢りさという若手女性作家が同時受賞ということもあって、芥川賞の歴史の中でもかなり話題になった回だ。

『蛇にピアス』はスプリットタンや舌ピアス、タトゥなどの身体改造を通じて、生きていることの痛みや切実さを描いている。『蛇にピアス』でモチーフとして扱われているのは、タイトルにある様にピアスやスプリットタン、タトゥといった身体改造だ。主人公のルイは、アマと同棲しながらも、サディストの彫り師シバとも関係を持っている。アマは舌にピアスを入れており、舌先が二つに別れたスプリットタンになっている。ルイはアマのスプリットタンに影響を受けて、自らも舌にピアスを入れ、タトゥを彫り、どんどんと「身体改造」にはまっていく。痛みを通じてしか生きることの実感を得られないアマの痛みと快楽、愛と絶望が描かれている。

歳をとらないと深く理解できない小説があるように、歳をとってしまうと深く理解できない小説があると思うのだが、金原ひとみの『蛇にピアス』は後者に属する小説だと思っている。

 

 

abさんご / 黒田 夏子

abさんご

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二つの書庫と巻き貝状の小べやのある「昭和」の家庭で育ったひとり児の運命。記憶の断片で織りなされた、夢のように美しい世界。第148回芥川賞受賞作。

芥川賞には難解な作品が選ばれることがある。難解な内容だが、話題にもなった芥川賞受賞作が黒田夏子の『abさんご』だ。

『abさんご』の難解なところは、全文横書きで「固有名詞」や「かぎかっこ」、「カタカナ」を一切使わない実験的な試みにある。ある意味、日本語の限界に挑んだ超実験小説だ。

やっぱりというべきか、横書きの小説による受賞は芥川賞史上初だ。また作者は受賞時75歳で、受賞時点では史上最高齢の芥川賞受賞者である。

 

 

火花 / 又吉 直樹

売れない芸人の徳永は、、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。

作家自身が有名であると芥川賞受賞作品はベストセラーになる。直近の芥川賞で最も売れたといっても過言でないのは、又吉直樹の『火花』だ。第153回芥川賞を受賞し、累計発行部数283万部を誇る。

みなさんご存知だと思うが、又吉直樹はお笑いコンビ・ピースとして活躍するお笑い芸人だ。綾部がアメリカに行ってからコンビで活動することはあまり見なくなったが。お笑い芸人が芥川賞を受賞するというのは史上初だ。

又吉直樹はかなりの読書家でエッセイも面白い。又吉直樹のデビュー小説が『火花』である。

特に『火花』は漫才師のことを描いていることもあって、ネタが散りばめられている。『火花』は、冒頭の太鼓の音のシーンが出囃子に見立てられるように、構成的にも漫才の形式を取り込んだ小説だ。また、お笑い芸人ということもあり、又吉直樹の小説はすごく面白い。ボソッと破壊力のあるフレーズや面白エピソードが挿入され、時たま斜め上すぎて意味不明なエピソードもあるが、それがまた笑いを誘う。

 

 

コンビニ人間 / 村田 沙耶香

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。

村田沙耶香といえば、子供をたくさん産めば人を殺しても良いという世界を描いた「殺人出産」など、かなり尖った内容の小説を書く作家として知られている。村田沙耶香の作品にしては丸い気がするが、『コンビニ人間』はコンビニを題材に「普通」とは何かと突きつけられる作品だ。

主人公はコンビニでバイトをし続けている恵子。彼女にとって、コンビニは「普通」を指し示していくれる人生の羅針盤だ。だが、そんな彼女の生活も乱されていく...

2016年の発売から年内に50万部を超えてからもじわじわと売れ続けており、2年を経て100万部に到達している。村田沙耶香作品の中ではとっつきやすい部類に入ると思うので、ぜひこの本で村田ワールドを楽しんでほしい。

 

 

むらさきのスカートの女 / 今村 夏子

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

デビューから一貫して話題作を世に送り出している作家が今村夏子だ。太宰治賞を受賞したデビュー作「こちらあみ子」は三島由紀夫賞を受賞。2017年には『あひる』で河合隼雄物語賞、『星の子』で野間文芸新人賞を受賞と数々の文学賞を総なめにしてきた。

そんな期待の作家・今村夏子が満を辞して芥川賞を受賞したのが『むらさきのスカートの女』だ。少しホラー的な内容でもある。最近では、TikTokの本紹介がきっかけで話題になっていた。

 

 

推し、燃ゆ / 宇佐美 りん

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

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逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。

直近の芥川賞でベストセラーとなった作品といえば宇佐美りんの『推し、燃ゆ』だろう。アイドルを「推す」ことやネットでの炎上という現代的なテーマを描いた作品だ。題材に時代性があり、また新しいことから発売当初から話題になっていた。

第164回芥川賞を受賞し、『推し、燃ゆ』は50万部を超えるベストセラーになっている。

 

話題になった芥川賞作品から文学作品に触れてみるのはどうだろうか?

 

 

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村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』が2023年4月13日(木)に刊行される。待ちきれない人も多いのではないだろうか。『一人称単数』といった短編集は出版されてきたが、新作の長編小説は久しぶりだ。長編だと、2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる。

『街とその不確かな壁』は、1200枚の書き下ろし新作長編小説であるようで、今から読むのが楽しみである。Twitterなどでは、村上春樹新作長編のニュースで祭り状態になっていた。

刊行が待ちきれない人のために、『街とその不確かな壁』に向けておすすめの村上春樹作品を五つ紹介したい。

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