日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

「村上春樹が新ノーベル文学賞最終候補」について思うこと

村上春樹が正式に候補に!?

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もはや秋の風物詩ともいえる「村上春樹はノーベル文学賞を受賞するのか」祭り。ハルキストたちがカフェに集まって、今年こそは受賞するとインタビューに答えている風景は見慣れた景色だ。そして、村上春樹が受賞を逃し、落胆するハルキストたちを観るまでがテンプレート。毎年毎年良く騒げるなと思う。やれやれ。そもそも村上春樹がノーベル文学賞候補かどうかはわからない。芥川賞や直木賞と違って、ノーベル文学賞は候補作家を公表したりしない(安部公房のように、作家の死後にノーベル賞候補だったといわれることはあるが)。

 

村上春樹がノーベル文学賞の候補と言われている根拠としては、1)村上春樹が海外で広く読まれており、その文学作品に普遍性がある、2)フランツ・カフカ賞などの海外の文学賞を受賞している、の二つじゃないかなと思っている。けれども、確実にノーベル文学賞候補とは言えない。なぜなら候補作家は発表されないから。日本では「ノーベル文学賞終身名誉候補」みたいな扱いになっているが、今回は本当に候補になった。しかし、普通のノーベル文学賞候補ではない、新ノーベル文学賞候補なのだ。

 

今回ノーベル文学賞は選考委員が色々と不祥事を起こしたために、受賞者が発表されなくなった。来年にまとめて発表するようだ。記事によると

今年のノーベル文学賞の発表が見送られるのに伴い、スウェーデンでこれに代わる新たな文学賞が今年に限りつくられることになり、最終候補に村上春樹氏ら4人が選ばれた。地元紙が29日報じた。

 新文学賞はスウェーデンのジャーナリストや作家らが中心となって新たに設立した団体「ニューアカデミー」が選考。10月12日に受賞者を発表するという。

ようやく正式な候補になったのである。

 

気になる他の候補は?

他に最終候補に残ったのはベトナム生まれのカナダ人作家キム・チュイ、フランス海外県グアドループ出身のマリーズ・コンデ、英作家ニール・ゲイマンだ。キム・チュイは聞いたことがないので良く分からない。マリーズ・コンデはクレオール文学で有名だったと思う。ニール・ゲイマンはSF小説や映画の脚本、アメコミの原作を書いている。ニール・ゲイマンは映画『パーティで女の子に話しかけるには』の原作も書いていて、候補作家の中では大衆文学寄りじゃないかな。個人的にはミラン・クンデラやトマス・ピンチョン、ポール・オースター、ジョン・バースが候補に入っていないのが不思議だ。

 

今回は盛大な村上春樹祭りになりそうだ

正式な候補になったこともあり、今年の「村上春樹祭り」はかなり盛り上がるんじゃないかなと思う。気になるのが、この新ノーベル賞を受賞すると、もともとのノーベル賞は受賞できなくなるのだろうか?気になるところである。村上春樹は好きなので受賞してほしい。村上春樹祭りはまだまだ続きそうだ。やれやれ。

 

 

 

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