日々の栞

本、映画、ファッションについて気ままに書く。理系の元書店員。

ギリシャ・トルコをめぐる冒険 / 『雨天炎天』 村上 春樹

ギリシャ・トルコ辺境紀行

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僕はエッセイはほとんど読まないし、海外の地も踏んだことがない。なので、新しいものみたさで、海外旅行についてのエッセイを読んでみた。その他にも、村上春樹の小説をほとんど読んでしまって、未読はエッセイぐらいだったという理由もあるけど。この『雨天炎天』はギリシャにあるギリシャ正教の聖地アトスとトルコを一周した旅行について綴られている。文体も小説の時と大きく変わらず、村上春樹独特の言い回しがあって小説と同様に楽しめた。ギリシャ・トルコ両方の旅は凄く過酷そうで、生きているうちに行くことはないのかなと思いながら読んでいた。この一冊読んだだけでギリシャとトルコを旅行した気分。途中では、トラブル続きで船が来なかったり、知らず知らずのうちに政治的にひどくややこしい場所に来てしまったりと、旅に付き物のトラブルも他人の読者からしてみれば面白い。当人は大変だろうと思うけど。

 

アトスの巡礼の旅

ギリシャ編では、ギリシャ正教の聖地アトスでの巡礼の旅が描かれている。アトスは女性が立ち入ることが許されない場所だ。海外のことに疎い僕は、ギリシャにそんなところあるんだと頭が少し賢くなった気分で読んでいた。エッセイってガイドブックには載っていないニッチな情報や観光者に寄り添った目線で書かれているから、実際の旅の参考になるなと、海外旅行に行ったこともないのにそんなことを考えていた。このギリシャの旅ではアトス半島にある修道院を巡っていく。行く先々の修道院で出されるルクミとコーヒーとウゾーが美味しそう。読んでいるだけでアトスという場所が濃密な場所であることが感じられる。

 

トルコ一周の旅

トルコ編では、文字通りトルコの広大な土地を、国境沿いにぐるりと一周している。トルコといったらイスタンブールとかケバブぐらいしか知らなかったから、黒海沿いの地域や中東寄りの地域の旅は凄く新鮮で刺激的だった。トルコ人の度を超えた親切さや、チャイの文化、トルコの政治的な状況など目から鱗だった。トルコに行くなら、マルボロが必需品なんだな。

 

旅の醍醐味

上手く運ばないからこそ、我々はいろんな面白いもの・不思議なもの・唖然とするようなものに巡り合えるのである。そして、だからこそ我々は旅をするのである。

 引用元『雨天炎天』p85

 

これはギリシャ編で帰りの船が来なかったときの文章だけど、旅の醍醐味を言い当てているような気がして、一番印象に残っている。出不精の僕でも、この『雨天炎天』を読んで、ギリシャやトルコに行ってみたくなった。

 

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

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